ニキビがなかなか治りません…
そういう方にイソトレチノインの内服を
お勧めすることがあります。
どんな薬ですか?教えてください!
みなさんこんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
診察している患者さんから「ニキビが保険治療ではなかなか良くならない」と言われることがあります。
その時に処方するのがビタミンA誘導体のイソトレチノインの内服。
ということで今日お話する内容はこちらです!!
1 イソトレチノインとは
イソトレチノインというのは成分名です。
商品名としてはロアキュタンやアキュテイン、イソトロイン、アクネトレントなどがありますがどの製品でも効果は同じです。
この薬は海外では保険適応となっていますが、日本ではまだ3割負担の保険適応には残念ながらなっていません。
ディフェリンゲルやベピオゲル、エピデュオゲルなどの治療がニキビではスタンダードではありますが、 それらではどうしても治らないって患者さんもやはりいらっしゃいます。
「保険の治療や他の治療をしてもなかなか治らないニキビ」や「広範囲なニキビ」「ボコボコした重症なニキビ」で悩んでおられる方ですね。
トレチノインはたとえ軽症でも繰り返しニキビができる方にも向いている治療です。
海外では中等度から重症のニキビ治療に必要不可欠とされています。
残念ながら日本では厚生労働局の許可が降りていないので3割負担の健康保険が適応されません。
1日1回内服するのですが、半年ほど内服すると3~5年にわたりニキビができにくくなり治療後60%の方が再発しないと言われています。
つまりイソトレチノインは60%の方が完治するというお薬で、重症のニキビの方や繰り返すニキビの方には非常に効果的です。
保険治療ではニキビが疥癬しない方は試す価値はあると思います。
イソトレチノインの作用
イソトレチノインはビタミンA誘導体で、ニキビの原因となる皮脂腺そのものを小さくし皮脂の分泌を大きく減らし毛穴を縮小させる作用があります。
さらに細胞にはたらきかけて表皮細胞の角化を正常化する働きがあるので、皮膚が厚くなったり毛穴が詰まるという異常な角化が起こらなくなり、また抗炎症作用があるので重症のニキビに効果があります。
特にぼつぼつがある酒さの方は、イソトレチノインで毛穴の炎症が収まり皮脂分泌抑制作用により赤みが改善する効果が期待できます。
飲み方
1日1回食後に内服します。
量は体重の半分量で治療を開始します。
例えば50kgの患者様なら25mgです。
しかし用意できるカプセルが10mgと20mgの2種類しかないので、この場合は20mgで治療します。
ただこれからお話する副作用のことを考えて、10mgで治療される方もいらっしゃいます。
効果を実感するタイミングは個人差はありますが、早い方だと1ヶ月、遅い方でも4ケ月ほど内服すると効果を実感されます。
すぐに内服をやめてしまうと再発率が高いので注意が必要です。
大体6ケ月を1クールとして治療すると、1クール終了後35%の方がニキビの再発が見られません。
イソトレチノインで治療できない方
・内服中と内服後6ケ月は妊娠できません。
内服中に妊娠すると赤ちゃんに先天的な異常や奇形が出たり、流産・死産の可能性があるので内服中と内服後6ケ月は妊娠できません。
女性の方は妊娠していないことを確認するために、次の生理が始まってから内服するのをおすすめしています。
授乳中ももちろんやめてください。
男性の方は1ケ月は避妊をお願いします。
また内服中や最終内服から半年は献血はしないでください。
・成長期の方は内服できません。
骨端線の閉鎖(骨の成熟がおとなのレベルに達し身長の伸びが止まること)により身長が伸びにくくなるので、成長期の方は内服できません。
・肝機能障害や高脂血症、高コレステロール血症の方は内服できません。
・イソトレチノインやビタミンAにアレルギーがある方は内服できません。
・うつ病の方は内服できません。
・飲み合わせの悪い薬に注意してください。
飲み合わせが悪い薬としてミノマイシン・ビブラマイシンなどがあり、これはニキビでよく処方される抗生物質ですがイソトレチノインと一緒に飲めません。
副作用
イソトレチノインの副作用としてはいろいろあります。
鼻の粘膜が乾燥しすぎると鼻血が出たり、目が乾燥したり、皮膚の中では特に起こりやすいのは唇です。
リップクリームなどで改善されることが多いですが、あまりにも唇がカサカサしたら主治医の先生にご相談くださいね。
内服量を減らすか、中止すれば症状は落ち着きます。
この注意点・副作用の問題点をクリアすれば、他のニキビ治療にはない高い効果があり、近年問題となっている耐性菌の発生も抑制できるのでとても有効な治療法です。
動画でも解説していますのでご覧になってくださいね。