皮膚科でデュアック配合ゲルっていうお薬を処方されたんですけど、どんなお薬ですか?
デュアックは赤にきびを早く治すことができるお薬なんですよ。
この記事ではデュアック配合ゲルはどんな薬か?、また正しい使い方についてを解説していきますね!
よろしくお願いします!
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
ニキビで皮膚科に行ったとき、エピデュオゲルというお薬をもらうことがあります。ニキビで皮膚科に通ったことのある人がよく処方される塗り薬は大体以下の4種類です。
- ディフェリン
- ベピオゲル
- エピデュオゲル
- デュアック配合ゲル
今回解説するのはその中のデュアック配合ゲルというお薬です。
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルはどんな軟膏か?
主成分のベピオゲルの成分である過酸化ベンゾイルは60年も前から世界でニキビ治療薬として第一線で活躍してきましたが、日本で承認されたのは2015年と比較的最近のことです。ディフェリンが2008年に保険適応になり、その7年後からベピオとデュアックが処方できるようになりました。日本ではクリンダマイシン(ダラシン)1%・過酸化ベンゾイル(ベピオ)3%配合ですが、海外では過酸化ベンゾイルの濃度が3%ではなく5%が使用されています。
抗菌作用
デュアック配合ゲルは、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルという2種類の抗菌成分を含んでいます。 クリンダマイシンはリンコマイシン系抗生物質であり、細菌のタンパク質合成を阻害することで抗菌作用を示します。 過酸化ベンゾイルは、ニキビの原因となるアクネ菌や黄色ブドウ球菌に対して優れた抗菌作用を示します。 デュアック配合ゲルはこれらの成分の相乗効果により、ニキビの炎症を抑え、症状の改善を促します。
過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンの合剤
デュアック配合ゲルはベピオゲルと抗生剤のダラシンTゲルが配合されている薬ですが、デュアック配合ゲルは医療用医薬品のため、市販や通販で購入することはできず、医師の処方箋が必要となります。
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルの効果
毛穴詰まり解消
毛穴の入り口の角化を除去する「ピーリング作用」があります。ピーリングとは古い角質を取り除くことです。このピーリング作用で毛穴がつまりにくくなります。毛穴のつまりがなくなってくると薬が毛穴の奥まで入り殺菌作用も効きやすくなります。
赤ニキビの早期改善
フリーラジカルがニキビ菌を殺菌する、抗菌薬のような効果があります。
ニキビ跡の予防
ニキビの原因菌であるアクネ菌の繁殖を抑え、炎症を鎮めることで、ニキビの悪化を防ぎ、ニキビ跡の形成を予防します。さらに、古い角質を取り除き毛穴の詰まりを改善することで、ニキビの再発も予防するので、デュアック配合ゲルは、ニキビ跡の予防に効果が期待できます。
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルの副作用
デュアックの副作用がひどいという情報を見ることがあるかもしれません。デュアックの副作用の症状と副作用が出るやすい期間を知っていただきたいと思います。
「かゆみ」や「赤み」「皮むけ」
副作用としてはディフェリンやベピオと同じで、最初の約2週間くらいは刺激やほてりなどが感じられます。時期によっては粉を吹いてしまうし、肌がすごくボロボロに皮膚が剥がれてきてしまうので、お化粧ができなくなってしまうこともあります。ですので、途中で断念する人がかなりいらっしゃいます。
また、赤みや晴れが顔全体や首にまで広がり、水疱やびらんが出た患者さんもおられます。
ピーリングの副作用がすごくてかゆかったり、ヒリヒリしたり、痛かったりするので続けられないという方もいるかもしれません。その場合でも、できればノンコメドジェニックの保湿クリームをたくさん塗ってからデュアックを塗るなど肌と相談しながら塗ってみてください。
でも、安心してください。1ヶ月程度継続すると症状は軽減していくことが多いとされています。
ただ、過酸化ベンゾイルにかぶれる方はベピオやデュアックは使えません。初期の頃の刺激感と区別がつきにくいケースもありますので、違和感を感じた場合は一度使用を控えた上、主治医の先生に相談していただくといいと思います。
ひどい場合は「重症の下痢」
デュアック配合ゲルの副作用で、稀に重症の下痢や大腸炎が起こることがあります。 重症の下痢の場合、出血を伴う下痢や激しい腹痛が起こることもあります。 ただこのような副作用は例は少なく、大腸炎の副作用は5件・下痢や血性下痢の副作用は9件報告があったとの事です。これらの症状が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルの塗り方と塗る量
洗顔後、柔らかいタオルで水分を拭き取り、ニキビとその周りに広げるように優しく1日1回塗ります。赤いニキビができやすいところに塗っても大丈夫です。ニキビは刺激を受けると悪化しやすいので、力を入れないで、優しく塗ってください。
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルの使用期間
治療の目安は3ヶ月です。だいたい3ヶ月で効果を実感できますが、3ヶ月外用しても効果がない場合は薬の変更を考えたほうがいいでしょう。
ニキビの治療は、3ヶ月までの急性期といわれる時期と3ヶ月以降の維持期という二つの時期に分けて治療をします。3ヶ月までの急性期というのはいわゆる炎症が起こっている赤いニキビの時期のことです。積極的に抗生剤を使っていき、その後はディフェリン、ベピオ・エピデュオを使ってニキビをできにくくするという治療をしていくのです。
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルの適応患者さん
白ニキビ・黒ニキビといった初期の毛穴詰まりに対しても有効ですし、ニキビ菌が増殖している真っ赤な炎症期に対しても有効な成分です。
ただデュアックは赤いニキビに使うことが推奨されています。なぜかというと、デュアックに配合されているクリンダマイシンには耐性があって赤いニキビがなくなって白ニキビだけになったのに、ずっとデュアックを使っているとダラシンTゲルのクリンダマイシンに耐性ができて薬が効かなくなり、ニキビが治りづらくなってしまうのです。過酸化ベンゾイルが一緒に入っているので、クリンダマイシン単体のダラシンよりは耐性菌はできにくくなっていますが、赤ニキビがよくなったらデュアックではなく、ベピオゲルのみにしたほうがいいと思います。
ただ成分にベピオゲルが配合されていますので、ベピオが使えない方は当然デュアックも使うことができません。
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルの使用上の注意
副作用で脱色があり、髪の毛や洋服につくと脱色することがあります。
また、朝洗顔するときに水だけで洗顔すると茶色いタオルが脱色されてオレンジ色になりますので、洗顔フォームを使って洗顔するか、白いタオルを使ってください。
使用を継続しても効果がでない場合
デュアック配合ゲルは、一般的に2週間から3ヶ月程度で効果が現れると言われています。しかし、12週間使用しても効果が実感できない場合は耐性菌ができるのを抑えるために、薬を変えたほうがいいと思います。
妊婦・12歳未満の子ども
デュアック配合ゲルは、妊娠中の女性は有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ使用し、使用前に医師に相談する必要があります。 また、12歳未満の子供については、安全性が確認されていないため使用を控えるべきです。 これは、妊婦や発育途上にある子供の肌が特に敏感であるためです。
効果を半減させる成分の併用を避ける
デュアック配合ゲルを使用する際は、効果を半減させる可能性のある成分との併用は避けましょう。特に、エリスロマイシンを含む製剤との併用は、デュアックの効果を減弱させる可能性があります。また、トレチノインとの併用も注意が必要です。ベピオとトレチノインを混ぜると、2時間後に50%・6時間後に95%が分解されたという報告がございます。
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルの保存方法
2〜8度の冷蔵庫の中で保存し、常温や日光の当たる場所は避けるようにしましょう。30度の室温の中で保存した場合、クリンダマイシンに変化がみられることがあるのです。ゲルの質感や匂い、塗り心地に異変を感じた場合はすぐに使用を中止し、新しい製品を使うようにしてください。
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルと他のニキビ治療薬との違い
名称 |
デュアック配合ゲル |
ベピオゲル | ディフェリン |
エピデュオゲル |
成分 |
・クリンダマイシン
・過酸化ベンゾイル |
過酸化ベンゾイル | アダパレン | ・過酸化ベンゾイル
・アダパレン |
効果 |
・赤ニキビの早期改善
・ニキビ跡の予防 |
・毛穴のつまり改善
・赤ニキビの改善 ・白ニキビの改善 |
・毛穴のつまり改善
・白ニキビの改善 |
・毛穴のつまり改善
・ニキビ改善 |
副作用 | ・乾燥
・かゆみ ・かぶれ ・赤み ・皮むけ |
・毛穴のつまり改善
・赤ニキビの改善 ・白ニキビの改善 |
・乾燥
・ヒリヒリ感 ・皮むけ ・赤み ・かゆみ |
・乾燥
・ヒリヒリ感 ・皮むけ ・赤み ・かゆみ |
特徴 |
・ベピオゲルにダラシンTゲルが混合された外用剤 | ・顔面以外にも使用できる
・妊娠中でも使用可能 |
・赤ニキビの改善は期待できない
・アレルギー性のかぶれが起きない |
・ベピオゲルとディフェリンの両方の成分を含む外用剤 |
ニキビ治療薬デュアック配合ゲルの患者負担・費用の目安
現在薬価は107円であり一本10gですので一本当たり1070円です。
三割負担の患者様で約330円弱の薬剤費となります。
跡を残さない早めにもニキビ治療を
ひどいニキビを放置すると皮膚が凹んだり、赤みがずっと残ったり、簡単には治らない状態になります。そうなるとなかなかきれいな肌には戻りません。だから、ひどくならないように早めにケアすることをおすすめします。まだニキビ治療で抗生剤の軟膏だけしか処方されていないって方は、是非デュアック配合ゲルを使ってみてください。
動画でもデュアック配合ゲルについて解説していますので、ご覧になってくださいね。