
皮膚科でエピデュオゲルっていうお薬を処方されたんですけど、どんなお薬ですか?

ニキビ治療で一般的に処方されるお薬ですね。
この記事ではエピデュオゲルを上手に使うための正しい塗り方などを解説していきますね!

よろしくお願いします!
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
ニキビで皮膚科に行ったとき、エピデュオゲルというお薬をもらうことがあります。ニキビで皮膚科に通ったことのある人がよく処方される塗り薬は大体以下の4種類です。
- ・ディフェリン
- ・ベピオゲル
- ・エピデュオゲル
- ・デュアック配合ゲル
以前ディフェリンやベピオゲルの解説をしましたが、エピデュオゲルはその2つが合わさったお薬です。今回はエピデュオゲルの正しい取り扱い方について徹底的に解説したいと思います。


ニキビ治療薬エピデュオゲルはどんな軟膏か?
ニキビ治療薬ディフェリンが2008年に保険適応になりました。その7年後の2015年にベピオが使えるようになり、2016年にエピデュオが使えるようになりました。エピデュオゲルは何かというと、ディフェリンとベピオが合わさった薬です。
エピデュオゲルの配合濃度は、ディフェリンはアダパレンが0.1%配合、ベピオは過酸化ベンゾイルが2.5%配合されていますが、エピデュオゲルにはこの2つと同じ濃度が配合されています。
近年、ニキビの治療薬において耐性菌が非常に問題になってきています。ニキビ菌を殺菌する「塗り薬」や「飲み薬」は長期間使用すると、ニキビ菌が薬に対して抵抗力を持つようになり、薬が効きにくくなるという問題が発生していました。でも、ベピオゲルには薬剤耐性菌が無いと考えられていて長期使用可能となっています。ですのでぜひ、使う場合は歯磨きをするような感覚で年単位で長期に塗っていただくことをおすすめします。
エピデュオゲルの2つの有効成分
エピデュオゲルにはニキビに有効な2つの成分が含まれています。
アダパレン
アダパレンは、 白ニキビ や 黒ニキビ のような、毛穴の詰まりが原因で発生するニキビに効果があり、毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの発生を抑制します。アダパレンは レチノイド(ビタミンA誘導体) と似た働きをしますが、レチノイドよりも副作用が弱いとされています。
アダパレン単体では、炎症を伴う 赤ニキビ や 膿を持つ黄ニキビ への効果は認められていません。
過酸化ベンゾイル
過酸化ベンゾイルは、 白ニキビ、黒ニキビ、毛穴の詰まりに効果的で、以下の2つの作用があります。
抗菌作用: ニキビの原因菌であるアクネ菌の活動を抑制します。
ピーリング作用:詰まった角質を薄く剥がし、毛穴の詰まりを取り除きます。
ニキビ治療薬エピデュオゲルの塗り方、塗る範囲と量の目安
塗る量に関してです。第1関節から指先までだすと0.5g出てきます。その量を顔全体につけます。エピデュオは基本的にディフェリンやベピオと同じで、ニキビだけではなくその周りのニキビができやすいところにも塗ります。そうすると1日0.5gなので、15g入りのチューブは1ヶ月でなくなるはずです。
ですから「1ヶ月に1本もなくならない…」ということでは「塗ってない」ということになります。だからみなさんにも薬を使うにあたっての正しい量・使用方法というものを知ってもらいたいと思います。
ニキビ治療薬エピデュオゲルを塗る順番
就寝前に、洗顔し、化粧水・乳液の後で、エピデュオゲルをニキビがあるところや、以前にきびができていたところにも塗ります。ニキビができているところにダラシンやアクアチムなどの抗生剤をピンポイントに塗ります。
ニキビ治療薬エピデュオゲルの効果
ベピオの成分の過酸化ベンゾイルとディフェリンの成分アダパレンには、皮をむくようなピーリング効果があって毛穴を詰まらせないようにします。ですからこの2つを上手い具合に組み合わせて両方使えるといいということになります。
それでディフェリンやべビオではなく、最初からエピデュオを使えればいいのですが…一概にそうとは言えないのです。なぜなら、効果が高い分、副作用も非常に強いからです。
微小面ぽう(マイクロコメド)を改善する
エピデュオゲルは、アダパレンの角質生成抑制効果と過酸化ベンゾイルの抗菌・ピーリング作用の相乗効果により、微小面皰の改善に効果を発揮します。
白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビを改善する
エピデュオゲルは、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビといった様々な種類のニキビに効果を発揮します。これは、エピデュオゲルに含まれる2つの有効成分、アダパレンと過酸化ベンゾイルの相乗効果によるものです。それぞれの成分が異なるメカニズムでニキビに働きかけるのです。
ニキビ治療薬エピデュオゲルの副作用
副作用としてはディフェリンやベピオと同じで、最初の約2週間くらいは、刺激やほてりなどが感じられます。時期によっては粉を吹いてしまうし、肌がすごくボロボロに皮膚が剥がれてきてしまうので、人によってはお化粧ができなくなってしまうのです。
実際、皮膚科に行って最初からエピデュオを処方されてしまうと、刺激感が強くてすぐに辞めてしまう方がいらっしゃいます。いくら効果が高いからといって、副作用がひどくて塗れないとなると意味がありません。最初はベピオやディフェリンを使って、副作用がない方や治りが悪い方にレベルアップとして処方することが多いです。
ベピオかディフェリンが使えているなら、本当はベピオとディフェリンの合剤のエピデュオに変更したいのですが、刺激が心配という方はあえてベピオとディフェリンを処方してもらってどちらが先でもいいので塗ってもらい、使いこなせるようになったらエピデュオにする方もいます。
まれにべピオゲルの成分の過酸化ベンゾイルで接触皮膚炎、つまりかぶれてしまう方がいます。当然エピデュオゲルにもベピオの成分である過酸化ベンゾイルが入っているので、ベピオゲルでかぶれてしまう方はエピデュオゲルは使えません。
あと割合は低いのですが、注意が必要なのはアレルギー性の接触皮膚炎、つまりかぶれを起こすことがあります。初期の頃の刺激感かぶれは区別がつきにくいケースもありますので、違和感を感じた場合は一度使用を控えた上、主治医の先生に相談しながら指示に従ってください。
肌に赤みのある炎症やヒリヒリとした痛みが現れる
エピデュオは、アダパレンと過酸化ベンゾイルという2つの有効成分を含むニキビ治療薬です。これらの成分は、毛穴の詰まりを改善し、アクネ菌を殺菌することでニキビの発生や悪化を抑えます。 しかし、これらの有効成分によるピーリング作用は、肌に刺激を与える可能性があり、赤みのある炎症やヒリヒリとした痛みなどの副作用を引き起こすことがあります。
特に、使用開始から2週間程度は、肌がエピデュオに慣れていないため、これらの副作用が現れやすい時期です。副作用は、ほとんどの場合、使い続けるうちに自然と治まっていくことが多いですが、あまりにつらければ主治医の先生に相談してください。
乾燥で皮剥けや肌がボロボロになる
乾燥を感じる方もかなり多く、乾燥しすぎてかゆくなったり、粉が吹いている方もいます。
紫外線のダメージに対して敏感になる
エピデュオに含まれるアダパレンは、肌のターンオーバーを促進する効果があります。肌のターンオーバーが促進されると、新しい肌細胞が早く生まれますが、細胞が成熟する前に肌の表面に出てきてしまうことがあります。成熟していない肌細胞は、紫外線などの外部刺激に対する抵抗力が弱いため、紫外線ダメージを受けやすくなります。 その結果、シミができやすくなったりします。
ニキビ治療薬エピデュオゲルの効果が出るまでの期間
前述したように、最初の約2週間くらいは、刺激やほてりなどが感じられます。それにより、途中で断念する人がかなりいらっしゃいます。でも、1ヶ月程度継続すると症状は軽減していくことが多いとされています。
ちなみにこの乾燥の度合いなのですが、一番ひどく出るのがエピデュオだといわれています。そしてその次がディフェリン。比較的マイルドなのがデュアックとベピオゲルというふうに位置づけられています。
少しずつ肌に慣れさせていくのが、長期にかけて塗り続けていく一つポイントになってきますので諦めずに続けてみましょう。年単位で使って初めてその効果が実感できる薬と思ってください。よくありがちなのが「1本使っても良くならないから効かなかった!この薬って効果ほんとにあるの?」という方がいます。何度も申し上げますが、効果が出てくるのは約3ヶ月後です。1ヶ月に1本使うので3本使った頃だと思ってください。
歯磨きを毎日するように、毎日つけていただきたいのです。
エピデュオの使用後の経過
使用開始から2週間: この期間は、アダパレンと過酸化ベンゾイルのピーリング作用により、肌に赤み、皮むけ、ヒリヒリとした痛みなどの刺激症状が現れやすいですが、これらの症状は使い続けるうちに改善していきますが、乾燥は1ヶ月程度続くことがあります。強い赤み、かゆみ、ひどい腫れがみられる場合は、使用を中止して医師に相談してください。
2週間から3ヶ月: ニキビが徐々に減少し始め、効果を実感し始める人が多いです。
3ヶ月から1年: ニキビは減少傾向にありますが、エピデュオの使用を継続することで、ニキビができにくい肌状態を維持することができます。
エピデュオの効果や副作用の出方には個人差がありますので、効果がなかなか実感できない場合や、副作用が気になる場合は、自己判断で治療を中断せずに、医師に相談することが大切です。
エピデュオの使用をやめるタイミング
エピデュオの使用をやめるタイミングは、自己判断せず必ず医師の指示に従ってください。 ニキビの症状が改善したように見えても、肌には目に見えないニキビの初期段階である「微小面皰(マイクロコメド)」が残っている可能性があります。自己判断でエピデュオの使用を中止してしまうと、ニキビが再発するリスクが高まります。
エピデュオは、赤み、皮むけ、ヒリヒリ感、乾燥など、様々な副作用を引き起こす可能性があります。これらの副作用が強く、日常生活に支障が出る場合は、使用を中止し、医師に相談してください。
ニキビ治療薬エピデュオゲルの副作用を軽減するための対処法
ピーリングの副作用がひどくかゆかったりヒリヒリしたり、痛かったりするので続けられないという方のために副作用を軽減するための具体的な塗り方についてお話します。
①少量から塗ってみる
初めて塗るときには指先に少量取り直径2cm以下の広さに刷り込まないようにやさしく塗り広げます。徐々に塗る範囲を広げていって、かさつきや赤みが強く出なければ顔全体に広げていきます。
②まず保湿する
できればノンコメドジェニックの保湿剤を使用してください。保湿したあとにエピデュオを塗りましょう。
③1日おきに使ってもOK
どうしても刺激感が強い方は1日おきでもいいでの塗ってみてください。肌と相談しながら塗ってみましょう。
④洗い流す
刺激感が強い方は洗い流してしまっても問題ありません。夜、お風呂やシャワーでメイクを落とす前に塗って15分くらいしたら洗い流す方法もあります。
ニキビ治療薬エピデュオゲルの使用上の注意
エピデュオゲルを使用する際の副作用以外に注意する点をお伝えします。
妊婦や授乳中の方
妊婦中の方は、ディフェリンが入っているので残念ですが使用できません。
12歳未満(小児)の方
エピデュオは、12歳未満の小児には使用できません。
その理由は、12歳未満の子供に対するエピデュオの臨床試験が実施されておらず、安全性が確立されていないためです。 12歳未満のお子様でニキビ治療が必要な場合は、アゼライン酸やピーリングの石鹸など他の薬剤での治療を検討する必要があります。
保湿の徹底
エピデュオの効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためには、保湿を徹底することが非常に重要です。 特に、使用開始直後は肌が過敏になっているため、より丁寧な保湿を心がけてください。
脱色に注意する
背中のニキビにエピデュオゲルをつけているとパジャマの色が白くなることがありますので大事なパジャマは使わないでくださいね。よく乾かしてからパジャマを着ると脱色しにくくなります。朝洗顔するときに水だけで洗顔すると茶色いタオルが脱色されてオレンジ色になりますので、洗顔フォームを使って洗顔するか白いタオルを使ってください。
日焼け対策を行う
エピデュオゲルを使用中は、お肌が敏感な状態になっているので、日焼け止めをつけて紫外線対策を行ってください。
ニキビの原因とニキビができる仕組み
ニキビは、複数の要因が複雑に絡み合ってできる皮膚の病気ですが、主な原因は以下の3つが挙げられます。
- 皮脂の過剰分泌: 男性ホルモンの影響などにより、皮脂が過剰に分泌されると、毛穴に皮脂が詰まりやすくなります。
- 毛穴の詰まり: 古い角質やメイク汚れ、皮脂などが混ざり合って毛穴が詰まると、皮脂が排出されにくくなり、ニキビの原因となります。
- アクネ菌の増殖: 毛穴に詰まった皮脂を栄養源としてアクネ菌が増殖すると、炎症が起こり、赤ニキビへと進行します。これらの原因が重なって、ニキビができます。
ニキビ治療を早めにしてほしい理由
ひどいニキビを放置すると、皮膚が凹んだり、赤みがずっと残ったり、簡単には治らない状態になります。そうなるとなかなかきれいな肌には戻りません。だから、ひどくならないように早めにケアすることをおすすめします。
エピデュオゲルはニキビを治すだけでなく、ニキビをできにくくするお薬でもあります。長期に塗ることが非常に大切です。まだニキビ治療で抗生剤の軟膏だけしか処方されていない方は、是非エピデュオゲルを使ってみてください。
動画でもエピデュオゲルについて解説していますので、ご覧になってくださいね。