背中は顔と同じようにニキビが出来やすい場所です。背中はお洋服で覆われていますし、合わせ鏡を使わないと見えないので、にきびがあるかをチェックしづらい場所ですので、気づかずにニキビ跡になってしまうことがあります。薄着の季節になり、こんなににきびがあったの!?と驚くことがあります。
背中にニキビができやすい原因
そもそも背中にニキビができる原因は何なのでしょうか?
背中には皮脂を分泌する皮脂腺がたくさんある
背中には皮脂を分泌する皮脂腺がたくさん存在するので、顔と同じく背中はニキビが出来やすい場所です。
生活習慣の乱れやストレス
不規則な生活や睡眠不足でストレスがかかると、ニキビの悪化に大きく関与します。人はストレスが増えると、ストレスに対抗するホルモンとして、体内で男性ホルモンやコルチゾールというホルモンが分泌されます。この成分が皮脂の分泌を増やすので、これにより毛穴が詰まりやすくなり、ニキビができやすくなります。その他にもストレスがかかると、交感神経が優位になるためアドレナリンが分泌され、このアドレナリンにも皮脂の分泌を促進する作用があります。つまり人はストレスを感じると交感神経が優位になり、その影響によって皮脂が過剰部分泌されることがあるのです。皆さんの中にも緊張した時などに、顔の肌が脂っぽくなった感じがしたという経験を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
他にも、ストレスは肌のバリア機能を低下させ、外部からの刺激に対して敏感になります。ニキビの原因がストレスにあるならば、ストレスの「もと」を除去するのが最も効果的です。ストレスの原因としては心の問題に限りませんが、以下の方法で対応できることがあれば試してみてください。
背中ニキビは”真菌(カビ)”が原因の可能性も
背中やデコルテに、広範囲でポツポツと数ミリ程度の赤いできものができた場合、マラセチア毛包炎である可能性もあります。どちらも毛穴に一致して発生し、症状も似ているため間違われやすいのですが、ニキビ(尋常性ざ創)の原因菌が細菌のアクネ菌であるのに対し、マラセチア毛包炎は、マラセチアという真菌(カビ)によって起こります。マラセチアは顔よりも体に多く存在し、皮脂と高温多湿を好みます。
背中は皮脂が多く、衣服で蒸れやすくなっているので、マラセチア毛包炎ができやすい場所です。特に、春や夏は汗をかきやすいので、繁殖しやすいです。
マラセチア毛包炎になると市販のニキビ薬では治療できませんので、気になる方はお近くの皮膚科を受診してください。
背中ニキビの種類
背中ニキビもお顔のニキビと同様に症状によって4種類があります。
白ニキビ(初期段階)
ニキビの初期段階です。詰まった毛穴に皮脂がたまって芯のようになり、白っぽく見えるニキビでコメドまたは面皰(めんぽう)と言われる状態です。炎症はまだありません。
黒ニキビ(酸化)
白ニキビを放置していると、それまで塞がっていた毛穴の出口が開き、皮脂が酸化して酸化し、黒っぽく見えている状態です。黒ニキビの段階では、まだ炎症はありません。
赤ニキビ(炎症)
赤く盛り上がった状態のニキビです。毛穴に溜まった皮脂を栄養にしてアクネ菌が増殖し、炎症を起こしています。
黃ニキビ(化膿)
赤ニキビの炎症が悪化し、膿(うみ)が発生してしまったニキビです。膿で黄色くみえるため黄ニキビといわれます。ニキビが治った後に肌に跡が残ってしまうリスクが高いニキビです。
背中ニキビを撃退するスキンケア方法
普段から以下のポイントに気をつけてみてください。
入浴時には上から順番に洗う
流したシャンプー・リンスが背中に残らないようにしっかり洗い流しましょう。流すときに、横向きに流すと、顔や背中につきにくくなります。
背中にも顔と同じように保湿ケアをする
化粧品の選び方によっては、ニキビが悪化することがあります。特に、オイルベースの化粧品や、重いクリームは毛穴を詰まらせやすく、ニキビの原因となることがあります。一方で、ノンコメドジェニックと表示された製品は、毛穴を詰まらせにくいとされています。これらの製品は、肌に優しく、ニキビのリスクを減らすのに役立ちますので、化粧品を購入するときは、ノンコメドジェニックテスト済と記載されているものを選ぶようにしてください。必ずしも高い化粧品がいいというわけではありません。
肌のターンオーバー(代謝)が正常になる生活をする
ターンオーバーとは、新しい皮膚が生まれて古い皮膚がはがれ落ちるサイクルのことで、わかりやすく言うと、肌の新陳代謝・肌の生まれ変わりを指します。
ターンオーバーが乱れる原因としては、加齢や栄養バランスの崩れなど、身体の内側からのものも原因なのですが、外的な影響もあります。それが、紫外線と乾燥です。ターンオーバーは短くても遅くても良くないのですが、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか?
①スキンケアの見直し
洗顔や体を洗うときにタオルでゴシゴシ擦ると、摩擦の刺激によって、防衛力を高めようと角質を強化しようと厚くなりますし、角質層が傷ついてバリア機能が低下しますので、ゴシゴシ洗いはやめ、しっかり保湿をしましょう。
②紫外線対策
外出時には必ず日焼け止めを塗り、しっかり紫外線対策をしましょう。
③精神的ストレスを防ぐ
ストレスがかかると、血管収縮による肌の栄養不足や、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、その結果、肌の新陳代謝を阻害してしまいます。
④生活習慣を整える
質の良い睡眠をとって、栄養バランスのいい食事をすること。喫煙や過度な飲酒をすると、血液循環や代謝機能に影響を与えることで、ターンオーバーの乱れにつながります。
背中ニキビの毎日できる対策
先程申し上げたように、ニキビが気になるからといって、ゴシゴシこすらず、優しく丁寧に洗ましょう。シャンプーやボディソープなどのすすぎ残しがないよう、背中をシャワーでよく洗い流し、洗髪後は髪にタオルを巻いて、髪の毛が背中につかないようにしましょう。また、衣服や寝具を清潔に保つ、衣服の洗剤や柔軟剤を低刺激性のものに変更する、汗ばむ季節は汗を吸い取る素材の衣服を選び、こまめに着替えるなどの対策が考えられます。
背中ニキビがニキビ跡になってしまったら
頬のにきび痕が残るのが気になる方は多いと思いますが、頬のニキビ跡が気になる方が50%であるのに対して、背中のニキビ跡が気になる方は30%くらいもいらっしゃいます。結構な方が背中のニキビも気にされています。
ニキビ跡の症状は、「赤み」「色素沈着」「凹み」「クレーター」「白色瘢痕」など様々です。赤みや色素沈着の場合、半年から1年くらいの時間の経過とともに自然と消えていくことも多いのですが、凹みやクレーター状のニキビ跡が残ってしまった場合は、時間がたっても消えずに残ってしまうことがほとんどです。特に背中の場合は、顔に比べてターンオーバーが遅いため、色素沈着が残りやすい傾向がみられます。
「赤み」の改善方法
炎症後の赤み、これは、いわゆるニキビ跡のずっと続く赤みを言います。毛穴に炎症や化膿が起こると皮膚の表面に傷がつきますが、通常皮膚の真皮の浅いところまでの傷であれば、赤み・色素沈着といったニキビ跡のみとなって、時間がたつとともに自然に治まることが多い傾向です。
赤みのピークは1ヶ月位で、早い方では2~3ヶ月くらいで赤みが徐々に消えていきます。赤み時間がたてば少しずつ、消えていくこともあるのですが、ただ先ほど申し上げたように、かなり炎症が長引いたものだったり、強い炎症が起こってしまうと、治るのに年単位かかりますので、何らかの治療をしたほうがきれいになると思います。
「色素沈着」の改善方法
茶色っぽくなっている跡は、皮膚を守ろうと大量に生成されたメラニンが原因です。炎症後にシミが出来るのは 炎症後色素沈着と言って、にきびの炎症によって様々なサイトカインが産生されてしまうと、メラニンがたくさん作られてしまい、茶色いシミのようになります。
炎症後の赤みやシミを改善するには、自費治療になってしまいます。ビタミンC誘導体といって、ビタミンC自体は、肌に吸収されにくいのですが、ビタミンC誘導体にすることで肌に吸収されやすくしたものです。毛穴を引き締めたり、皮脂の分泌を抑制します。活性酸素をおさえて「にきびの炎症も抑える効果」・メラニンの産生を抑えることで「炎症性色素沈着の改善」が期待されます。
他にはトレチノインの外用も取り入れることがあります。トレチノインはビタミンA誘導体の一種で、古い角質を除去することで皮膚のターンオーバーを促進し、シミを抑えたり、ニキビ跡を改善します。新らしい表皮の形成を促し、真皮のコラーゲン産生も促進し、お肌のハリを改善します。皮脂の分泌を抑え、ニキビの予防にも有効です。その他だと、ピーリングやピーリング石鹸で、古い角質を徐々に取ることによって、皮膚のターンオーバーを促進するので炎症後の赤みやシミに有効です。
あと、炎症後の色素沈着の予防には、紫外線対策も大切です。
「クレーター」の改善方法
クレーターは毛穴に炎症が出来た結果として、毛穴の壁が壊されて真皮組織自体が破壊されることが原因で起こります。真皮の深いところまで傷が付いてしまって、ニキビの炎症が激しく、組織が破壊されて陥凹(へこみやくぼみ)になった状態です。背中は顔よりも陥凹症状は少ないです。
「白色瘢痕」の改善方法
ニキビの炎症により組織が破壊された後、瘢痕組織に置き換わった状態で、ニキビと同じくらいの大きさの、小さくて白い瘢痕が多数みられることがあります。これは時間が立つと消える方もいらっしゃいますが、そのまま白い色が残る事が多いですので、結婚式のフォレスで、背中が大きく空いたものをお召しになられる方は、ファンデーションで隠されています。
早めの対策と治療で綺麗な背中をキープしましょう
背中ニキビは、自分で見えない分、どうしても発見が遅くなってしまいがち。ニキビ跡を作らないためにも、初期段階での発見が大切です。
セルフケアを行ってもニキビが治らないときは、一度保険診療のニキビ治療に取り組んでみてください。皮膚科で処方される薬は、毛穴のつまりをとってピーリング作用がありますので、今あるニキビを治すだけではなく、続けることでニキビの再発を防ぎますので、お近くのクリニックにご相談ください。