こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
ラプシドとは
ラプシド(一般名:レミブルチニブ)は、2026年6月19日に承認され、同年10月14日から薬価収載・発売された、特発性の慢性蕁麻疹の患者さんに処方できる新しいお薬です。


通常は抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の内服や増量、ガスター(H2拮抗薬)の追加などで治療を行いますが、それでもなかなか改善しない方がいらっしゃいます。これまでは、そうした方にはデュピクセントやゾレアといった注射薬を使用していましたが、今回、飲み薬であるラプシドが新しい選択肢として処方できるようになりました。

どのように効く薬なのか
これまでの抗ヒスタミン薬は、肥満細胞から放出されたヒスタミンが受容体に結合するのをブロックするタイプのお薬でした。

一方ラプシドは、肥満細胞や好塩基球の表面にあるIgE受容体の下流にあるBTKという酵素を阻害することで、かゆみや膨疹を引き起こすヒスタミンの放出そのものを元から抑えるお薬です。

飲み方と効果が出るまでの期間
1回25mgを1日2回内服します。
- 内服開始から1週間で、約半数の重症患者さんが中等度レベルまで改善
- 4〜8週間の内服で、さらに効果が高まる
- 12週間ほど内服すると、紅斑や膨疹が出なくなる患者さんが多い
気になるお薬の値段
2026年10月現在、ラプシドは1錠929円です。1日2回内服するため、30日分で55,740円となり、3割負担の方では1ヶ月あたり16,722円ほどかかる計算になります。
同じく慢性蕁麻疹の治療に使われる注射薬と比べると、ゾレアは3割負担で月1万2,000円程度のため、ラプシドの方が割高になりますが、デュピクセントよりは抑えられる価格です。

副作用
- 鼻づまりや喉の痛みなどの上気道感染が1〜5%程度
- 皮膚のどこかに点状出血が出ることがあり(内服開始から22日目頃に出現することが多く、継続していても1ヶ月ほどで消失。報告は3%程度)
- 1%未満ですが、紫斑・鼻出血・歯肉出血・結膜出血の報告もあります
腎機能障害で透析中の方や肝機能障害がある方でも内服は可能で、定期的な採血の必要はありません。ただし、こうした副作用が出た場合は主治医の先生にご相談いただくことになりますが、多くの方は服用を継続しています。

妊娠中・授乳中・お子さんへの使用について
妊娠の可能性がある方は、内服終了後1週間は避妊が必要です。妊娠中・授乳中の方は内服しないでください。
処方できるのは18歳以上の方で、それより小さいお子さんは現段階では対象となっていません。
処方を受ける際の注意点
- 他院で抗アレルギー薬を6週間以上内服しても効果がなかった方は、初めて受診するクリニックでもその旨を伝えれば処方を受けられます
- 新しいお薬のため、2027年10月後半頃までは一度に2週間分までしか処方できません
- 薬による出血のリスクが増加するため、内服中に手術を受ける場合は、手術の種類や出血リスクに応じて手術前後3〜7日ほどラプシドの内服を中断する必要があります
他の薬との飲み合わせに注意
ラプシドは他の薬剤との飲み合わせに注意が必要なお薬です。現在服用中のお薬がある方は、必ずお薬手帳を医師に見せるようにしてください。
- ワクチン:不活化ワクチン・生ワクチンの効果を十分に得るため、接種の1週間前から2週間後まではラプシドの投与中断を考慮します(特に冬のインフルエンザワクチン接種時は要注意)
- 強いCYP3A阻害剤(HIV感染症治療薬のリトナビル、水虫の内服薬イトラコナゾール、抗生剤のクラリスロマイシンなど):ラプシドの血中濃度が上昇する可能性があるため慎重投与
- 強い/中程度のCYP3A誘導剤(てんかん治療薬のカルバマゼピン・フェニトイン、結核治療薬のリファンピシンなど):ラプシドの血中濃度が低下する可能性があるため、可能な限り併用を避けます
- 治療域の狭いP-gpの基質となる薬剤(心臓の薬のジゴキシン・ダビガトランエテキシラート、痛風の薬のコルヒチンなど):これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるため慎重投与
- 治療域の狭いBCRPの基質となる薬剤(リウマチの薬のメトトレキサートなど):同様に血中濃度が上昇する可能性があるため慎重投与
- ワーファリン・リバーロキサバン・アピキサバンなどの抗血栓薬:リスクとベネフィットを考慮し、慎重に判断する必要があります

まとめ
今回は、慢性蕁麻疹の新しいお薬「ラプシド」について、効果の仕組みからお値段、副作用、注意点までお話ししました。抗アレルギー薬を続けてもなかなか蕁麻疹が改善しない特発性の慢性蕁麻疹の方にとって、これまでの注射薬に加えて飲み薬という新しい選択肢が増えたことは大きなメリットです。
一方で、他の薬との飲み合わせに制限が多く、妊娠中・授乳中の方は使用できないなど、注意すべき点も多いお薬です。ご自身に合った治療かどうかは、普段飲んでいるお薬や体調を主治医としっかり相談しながら判断していきましょう。
