こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
今回は、強い日差しを浴びた後に肌に赤みや痒みが出る「日光蕁麻疹(にっこうじんましん)」について、わかりやすく解説いたします。

症状の特徴から、意外な原因、治るまでの期間まで詳しくお話ししますので、ぜひ参考にしてください。
日光蕁麻疹とは?(刺激誘発性蕁麻疹の一つ)
蕁麻疹と聞くと「食べ物」や「薬」が原因と思われがちですが、実は蕁麻疹全体の約80%は特に原因が特定できない「特発性」のものです。 残りの約20%が、何らかの刺激や負荷が加わった時に誘発される「刺激誘発性蕁麻疹」に分類されます。

●機械性蕁麻疹(擦る刺激など):約9%
●コリン性蕁麻疹(汗など):約5%
●寒冷蕁麻疹(冷たさ):約0.8%
●温熱蕁麻疹(温かさ):約0.4%
●日光蕁麻疹:約0.3%
●食物・薬による蕁麻疹:約0.7%
このように、日光蕁麻疹は全体の0.3%程度と比較的珍しい疾患ではありますが、決して無視できない辛い症状を伴います。

普通の蕁麻疹との違いと、日光蕁麻疹「5つの特徴」
通常の蕁麻疹(特発性)は、発疹の形や大きさがバラバラで、花びらのようだったり、くっついて地図のようになったりします。また、一度出ると半日〜1日程度症状が持続することが多いです。

一方で、日光蕁麻疹には以下のような特徴的な症状があります。
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日光が当たった場所のみに出る 光を浴びた部分の皮膚にだけ、境界がはっきりした均一な赤みや膨らみが出ます。
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即時的に発症する 日光に当たっている最中や、数分後というごく短時間で皮膚症状が現れます。
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顔や腕には出にくい 日常生活で常に日光にさらされ、ある程度耐性ができている「顔」や「腕」には症状が誘発されにくい傾向があります。
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短時間で消失する 通常の蕁麻疹と異なり、光を避ければ「2時間以内」に発疹がスッと消えていくのが特徴です。
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アナフィラキシーの危険がある 海やプールなどで広範囲に日光を浴びてしまうと、全身に赤みが出るだけでなく、呼吸困難感などを伴うアナフィラキシーを起こすことがあり、十分な注意が必要です。
症状を引き起こす「原因」は紫外線だけではない?
「日光で蕁麻疹が出る=紫外線対策をすればいい」と思われがちですが、実はそう単純ではありません。太陽の光には様々な波長が含まれており、患者さんによって蕁麻疹を引き起こす波長が異なります。

日光蕁麻疹の原因として特に多いのが、UVAやUVBといった紫外線だけでなく、人間が光として眩しく感じる「可視光線(波長380nm〜780nm)」です。

日光蕁麻疹の治療法と対策
日光蕁麻疹をはじめとする「刺激誘発性蕁麻疹」は、内服治療(飲み薬)だけでは不十分なことが多いという特徴があります。
1. 抗アレルギー薬の内服 まずは抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)を服用します。しかし、お薬だけで症状が完全に抑えられる方は約3分の1程度で、残り3分の2の方はお薬だけでは完全に効ききりません。

2. 物理的な遮光(最も重要) 紫外線への対策なしに無症状へ持っていくことは難しいため、原因となる光の刺激をできる限り避けることが基本かつ最も重要な治療となります。
●長袖などの衣類で覆う
●UVカット効果のある帽子やサングラスを使用する

3. 原因波長に合わせた日焼け止めの活用 原因が紫外線(UVA・UVB)と分かっている場合は、一般的な日焼け止めを塗ることが有効です。しかし、原因が「可視光線」の場合は一般的な日焼け止めをすり抜けてしまうため、「可視光線カット」に特化した日焼け止めやカバー力の高いファンデーションを使用する必要があります。

治るまでの期間は?
「この蕁麻疹は一生続くのでしょうか?」と不安に思われる患者さんも多いですが、ずっと続くわけではなく、自然に治癒することもあります。
発症してから治るまでの期間の目安は、平均して約5年程度と言われています。
●遅発性圧蕁麻疹:約7年
●寒冷蕁麻疹:約6年
●日光蕁麻疹:約5年
●コリン性蕁麻疹:数か月から数年
また、日光蕁麻疹の患者さんは、衣服の擦れや圧迫、皮膚を引っ掻く刺激で起きる「機械性蕁麻疹」を同時に合併しやすい傾向にあるため、日常生活で皮膚への摩擦を減らすことも大切です。
本日のまとめ
これからの季節、日差しを浴びて皮膚に異常を感じた方は、決して無理をして日光を浴び続けず、お早めに皮膚科までご相談ください。




