

アゼライン酸って聞いたことはありますか?
今日はアゼライン酸を使った化粧品についてお話します。

教えてください!!
みなさんこんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
ニキビや酒さ、脂っぽい肌のときに使えるアゼライン酸の化粧品はご存知ですか?
もともとはメラニンの生成を抑える事がわかり美白剤として開発されたのですが、途中でニキビにも効果がある事が分かりました。日本では特にロート製薬が化粧品の分類としてアゼライン酸を販売していることがよく知られています。
実はアゼライン酸はにきび・しみ・酒さにも効果があるんです。今回はそんなアゼライン酸について徹底的に説明したいと思います。
今日お話する内容です。
アゼライン酸について
アゼライン酸は小麦粉やライ麦などの穀物に含まれていて、日常的に摂取している成分なので非常に安全性が高いもので、妊娠・授乳中でも使えます。
使い始めの頃、最初の1週間くらいだけは塗って10分後くらいに軽いピリピリした刺激や赤みを感じるって方もおられますが、使い続けると刺激を感じることがなくなる方が多く長期的に使えます。
刺激が気になるという方は、最初は少なめに使うとか皮脂が多い鼻だけ使ってみるのもおすすめです。
アゼライン酸の6つの効果
アゼライン酸の効果は、ニキビ・シミ・酒さ・毛穴開き・脂性肌や脂漏性皮膚炎に効果があります。一つずつ具体的にご説明しますね。
①ニキビの改善
皮脂の分泌抑制効果・抗菌作用・抗炎症作用があり、赤いニキビだけではなく、ニキビの原因となる毛穴のつまりの角化を抑制する効果があります。
ディフェリンゲルやダラシンが刺激があって使えなかった方も使えます。しかも抗生剤と違うので耐性菌も出ないから長期使用が出来ます。
効き目は多少弱いけどアゼライン酸は一つで、コメドから炎症性ニキビに効果がります。妊娠中・授乳中やBPOなど使えない人、12歳以下にも使えるので幅広い方にお使いいただけます。殺菌作用はあるけど抗生剤みたいに耐性菌の心配がないので、抗生剤をずっと使いたくない方、ニキビ治療が終わったけど予防しておきたい方にもおススメです。
②ニキビ跡
ニキビができてしまうと炎症が起きるので、メラノサイトが活発になってメラニンが作られしみになることがあります。アゼライン酸はチロシナーゼを抑えるのでメラニンを作りにくなりますので、ニキビが治ってからも継続して使った方が良いです。
③美白作用
チロシナーゼ活性を阻害する効果があるので色素沈着やしみに効果があります。ハイドロキノンが使えない方も使えます。
④酒さ
酒さの原因ははっきりとはわかっていませんが、中年以降の女性に多い病気でお酒を飲んだみたいに顔が赤く見える病気です。
酒さの記事は以前にもアップしていますので気になる方はこちらもご覧くださいね。

ロゼックスやイベルメクチンクリームよりは効果が劣りますが、ロゼックスやイベルメクチンと一緒に使えるので是非試してみてください。
⑤毛穴開き改善
アゼライン酸は皮脂腺の働きを15%下げたと言われており、毛穴の開きに対しても効果が期待できます。ただ毛穴の黒ずみが目立つ方はレチノイド系を使った方が効果は高いです。
⑥脂性肌や脂漏性皮膚炎
アゼライン酸には皮脂の分泌を抑える働きがあるので、テカリが気になる油っぽい肌の方も効きます。全体的にテカリが気になる方は顔全体、鼻だけ気になる方は部分使いでも大丈夫です。
脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌が盛んな場所に起こる炎症性の病気なので、アゼライン酸で皮脂分泌が抑制される事で炎症も抑えられます。
アゼライン酸の効果が出るまでの期間
このようにアゼライン酸は、ニキビ・シミ・酒さ・毛穴開き・脂性肌や脂漏性皮膚炎に効果がありますが、作用がマイルドなので2~3ヶ月使わないと効果を感じにくいことはご注意ください。
販売されている化粧品
ロート製薬 DRX AZAクリア
ロート製薬のDRX AZAクリアはクリニック専売品で売られています。
1本に15g入っていて朝晩1センチ大くらいを顔全体に使うので1ヶ月でなくなりますが、1980円とお安いです。
ロート製薬 ダーマセプト RX
ロート製薬ではクリニックに行かなくても高濃度のアゼライン酸が手に入れられるようにネットサイトでダーマセプトRXを販売をされています。
同じ15gで4950円なのでクリニックで購入するほうが断然お安いですね。
当院でも取り扱いしております!
グラファ スキンケアエマルジョン AZ
グラファ社から酒さの赤みをカバーするアゼライン酸が10%配合された化粧品スキンエマルジョンAZというカバーファンデーションが発売されました。12g入っているので3ケ月位もちます。こちらもクリニック専売品ですが、お値段は3850円。
これは酒さの悪化因子でもある紫外線から肌を守るためにSPF35・PA3プラスで紫外線吸収剤も使用されていません。
この他にも市販だと様々なものが販売されていますが、一番有名なのはやはりロート製薬さんのロート製薬のDRX AZAクリアと思います。
アゼライン酸をおすすめする方
アゼライン酸は、ニキビ、酒さ、肝斑、毛穴の開き、脂性肌、脂漏性皮膚炎など、様々な肌トラブルに悩む方におすすめです。特に以下のような方には、アゼライン酸が有効と考えられます。
- ニキビに悩む方:アゼライン酸は、皮脂の分泌を抑制し、抗菌作用、抗炎症作用があり、ニキビの原因となる毛穴のつまりを解消する効果があります。ディフェリンゲルやベピオゲルなどの保険診療のニキビ治療薬が合わない方や、刺激が強くて使えない方にもおすすめです。また、抗生物質とは異なるため、耐性菌の心配がなく、長期的に使用可能です。
- 酒さで悩む方:アゼライン酸は、酒さによる赤みやほてりを改善する効果があります。
- 妊娠中や授乳中で、保険診療のニキビ治療薬が使えない方:アゼライン酸は、妊娠中でも使用できる安全性の高い成分です。
- ニキビ跡の色素沈着を残したくない方:アゼライン酸には、メラニン産生を抑制する効果があり、ニキビ跡の色素沈着を予防する効果が期待できます。
- 肌のくすみが気になる方:アゼライン酸は、メラニン生成を抑えるため、肌のくすみを改善し、肌のトーンを均一にする効果が期待できます。
- 毛穴のトラブルに悩む方:アゼライン酸には、過剰な皮脂を抑制する効果があるため、毛穴の詰まりや開きを予防する効果があります。
- 脂性肌でテカリが気になる方:アゼライン酸は、皮脂の分泌を抑制するため、テカリを抑える効果が期待できます。
- 脂漏性皮膚炎の方:アゼライン酸は、皮脂の分泌を抑制することで、炎症を抑える効果が期待できます。
- 肌が敏感な方:アゼライン酸は、天然由来の成分で、刺激が少ないため、敏感肌の方でも比較的使いやすいとされています。ただし、使い始めは赤み、かゆみ、ひりつきなどが生じる場合がありますが、使い続けることで慣れていくことが多いです。
アゼライン酸は、マイルドな作用のため、効果を感じるまでには2~3ヶ月程度かかる場合があることに注意が必要です。
アゼライン酸の使用方法
①洗顔と保湿
アゼライン酸を使用する際の洗顔と保湿について、以下の点に注意すると良いでしょう。
洗顔
- 洗顔料は刺激の少ないものを選び、優しく泡立てて洗いましょう。
- 熱すぎるお湯は避け、ぬるま湯で洗い流しましょう。
- 洗顔は1日2回が目安です。過剰な洗顔は皮脂の分泌を増やしてしまうため、注意しましょう。
- 洗顔後は、タオルでこすらず、優しく水分を拭き取ってください。
保湿
- 洗顔後、すぐに保湿を行いましょう。
- 化粧水や乳液、保湿クリームなどを使用し、肌に水分を補給しましょう。
- アゼライン酸は乾燥を引き起こす可能性があるため、保湿はしっかりと行うことが大切です。
- 保湿剤は、ノンコメドジェニックテスト済みのものを選ぶと、毛穴の詰まりを防ぐことができます。
②アゼライン酸の使用
使用量は、顔全体の場合、1回あたりパール粒大(直径1cm程度)が目安です。
- 塗布方法: ニキビができやすい部分や気になる部分に優しく塗り広げます。 肌全体に使用することも可能で、肌を正常な状態に整える効果が期待できます。
- 刺激が気になる場合: 使用初期には、ひりつき、かゆみ、赤みなどの刺激症状が出ることがありますが、1〜2週間程度で慣れることが多いです。刺激が気になる場合は、症状の強い部分にピンポイントで使用したり、夜だけ使用したり、1日おきに使用するなど、使用頻度を減らして様子を見ると良いでしょう。
- 他の外用薬との併用: ニキビ治療薬と併用する場合は、アゼライン酸を先に塗って肌を保湿してから、その上から治療薬を使用してください。
継続使用: ニキビの症状が出ていない部分にも使用でき、肌を正常な状態に整えるために顔全体に使用することが推奨されています。
③日焼け対策を忘れずに
- 紫外線は、ニキビやニキビ跡の悪化、シミの原因となるため、毎日日焼け止めを使用することが非常に重要です。
- 日焼け止めは、晴れの日だけでなく、曇りの日や室内でも使用する必要があります。
- 日焼け止めの適切な使用量は、クリーム状のものでパール2個以上、液体タイプで1円玉2個以上が目安です。
アゼライン酸やピーリングなどの治療後は、特に肌が紫外線に敏感になるため、日焼け止めによる紫外線対策を徹底しましょう。
アゼライン酸の副作用
アゼライン酸は比較的安全な成分ですが、使用初期にいくつかの副作用が現れることがあります。主な副作用は以下の通りです。
- 刺激感: 使い始めに、ひりつき、かゆみ、赤みなどの刺激を感じることがあります。これらの症状は、1〜2週間程度で徐々に慣れてくることが多いです。
- その他の副作用: まれに、アレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)を起こす可能性があります。
これらの症状が出た場合は、使用頻度を減らしたり、塗布量を調整することで様子を見ましょう。 例えば、夜のみ使用する、1日おきに使用する、症状の強い部分のみにピンポイントで使用するなどの方法があります。2週間以上症状が続く場合は、皮膚科医に相談することが推奨されています。
アゼライン酸の使用上の注意点
アゼライン酸使用上の注意点について、以下にまとめます。
- 使用初期の刺激: 使い始めに、ひりつき、かゆみ、赤みなどの刺激を感じることがありますが、通常、1~2週間程度で慣れることが多いです。刺激が気になる場合は、使用頻度を減らす(夜のみ、1日おき)か、症状の強い部分にピンポイントで使用するなど調整しましょう。
- 乾燥: アゼライン酸は皮脂分泌を抑えるため、肌の乾燥を感じることがあります。保湿をしっかり行うことが重要です。
- 使用方法: 朝晩1日2回、洗顔後、化粧水や乳液で肌を整えた後に使用します。顔全体にパール粒大(直径1cm程度)を優しく塗り広げます。ニキビ治療薬と併用する場合は、アゼライン酸を先に塗ってから治療薬を重ねます。
- 使用期間: 効果を実感するには、2~3ヶ月程度継続して使用することが推奨されます。
- その他: まれにアレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)を起こす可能性があります。赤みや痛みが2週間以上続く場合は、皮膚科医に相談しましょう。
アゼライン酸は比較的安全な成分ですが、使用初期は肌の状態を観察しながら慎重に使用し、日焼け対策を忘れないようにしましょう。
まとめ
アゼライン酸は、ニキビ、酒さ、肝斑、毛穴の開き、脂性肌、脂漏性皮膚炎など、様々な肌トラブルに有効な成分です。妊娠中や授乳中でも使用可能で、刺激が少なく、比較的安全に使用できます。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。