【増加中?!】酒さ(しゅさ)とは?赤ら顔の症状や原因、具体的な治療方法と薬について皮膚科医が解説【酒さ様皮膚炎】【ステロイド酒さ】

シミ・美肌
顔の赤みが気になるんですが何が原因でしょうか?
玉城有紀
玉城有紀

それは酒さかもしれませんね。それでは

今回は酒さについて解説していきますよ。

よろしくお願いします!

 

みなさんこんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。

今日は日常生活で赤ら顔でお困りな方のために「酒さ」ついてお話します

お話する内容はこちらです!!

1酒さとは
2酒さの分類
3酒さの治療方法
4生活習慣で気をつけること

1 酒さとは

顔の赤みや原因不明の赤ら顔に悩んでいる方は多いかもしれませんね。

実はそれ「酒さ(しゅさ)」かもしれません。

あたかもお酒を飲んで酔っ払っているように見えるので、この症状が出ている方は想像以上につらい思いをしていることが多いです。

 

 

 

 

最近は酒さを知ってるという方が増えてきたような気がします。

コロナになる前はあんまり見かけなかったのですが、コロナでマスクをする方が増えてから急激に増えました。

 

 

 

 

マスクの刺激で新たに酒さになる方やもともと酒さがある方がマスクによる蒸れや摩擦で悪化し、長期間ステロイドを使うことによる「ステロイド酒さ」が増えているように感じます。

ただ悪いことばかりではありません。

今まで酒さに対して保険で使える塗り薬がなかったのですが、2022年からロゼックスゲルが保険適応になりました。

酒さはもともと40代~50代の女性に多い病気で、鼻や頬・額に赤みやぶつぶつ・毛細血管の拡張がでる病気です。

ほてり感や灼熱感を感じることがあります。

かゆみはないことが多いですが、見た目が赤いのでお仕事に支障が出る方もいらっしゃいます。

 

 

 

 

 

また他の病気との見分け方が難しい点も酒さの特徴と言えます。

なぜかというと「赤ら顔=酒さ」ではないからです。

なにかにかぶれたり、脂漏性皮膚炎と呼ばれる皮膚炎やアトピー性皮膚炎でも顔が赤く見えてしまいます。

酒さ用皮膚炎といって、ステロイドの塗り薬を長い間不用意に使っていると酒さに見える赤ら顔になることもあります。

また純粋に酒さだけをお持ちの方もいれば他の皮膚炎も一緒にお持ちの方もいらっしゃるので、診断までに時間がかかってしまう人がいる病気なのです。

 

 

 

 

 

酒さの診断には、だんだんと悪化していく経過と紫外線や寒暖差で悪くなっているかなどの悪化因子が重要なポイントになります。

最初の酒さの症状は、ほてりを伴った赤みが眉間や頬とか鼻に出てきます

最初の頃は皮膚の下の毛細管が拡張したり収縮したりを繰り返すので赤みが出たり引いたりします。

時間が経つにつれて赤みが取れなくなって、更にひどくなると赤いボツボツがでてきます。

実際、皮膚科を受診される方の多くはすでに赤みが取れなくなっている方が多いです。

2 酒さの分類

酒さには3段階あります。

第1度酒さ:顔の赤みや皮膚の下の細かい血管が見えてきます。ほてり感が強く、寒暖差やお酒を飲むと悪化しやすくて、更年期の女性に多いです。

第2度酒さ:顔の赤みや血管の拡張に加えて、赤みがかったニキビに似ているぽつぽつした出来物が特徴です。しかし本当のニキビとは違うので「面ぽう」というニキビがある方に見られる毛穴の詰まりはありません。

第3度酒さ:鼻の強い赤みやボツボツが長く続いて重症化してしまうと、鼻のぶつぶつした赤みがくっついて見えます。凹凸がひどくなって大きく見えます。さらに長年の炎症によって肌の性質が変わってしまい「鼻瘤」といって毛穴が開いてみかんの皮みたいにごわごわになります。これは男性に多いです。

 

 

 

 

 

3 酒さの治療方法

残念ながら原因が明らかになっていないので確立された治療はありません

なので悪化因子を避けたり症状によって治療を決めるのですが、効果が出ないときは他の治療に変えてみるなど試行錯誤しています。

・酒さの外用治療

塗り薬はメトロニダゾールという抗生剤の一種であるロゼックスゲルが保険適応になりました。

ロゼックスは抗炎症作用・免疫抑制作用により、慢性の皮膚の炎症を抑えてくれます。

1日2回、赤みやぶつぶつのところに洗顔・化粧水・乳液の後に塗ります

副作用として皮膚の刺激や乾燥・かゆみを感じる方がいます。

その時は主治医の先生にご相談ください。

妊娠して3ケ月以内の方には使えませんのご注意ください。

またデモデックスというニキビダニがもともと毛穴には生息していますが、デモデックスが過剰に増えるのが酒さの原因の一つとも言われています。

そういう方はニキビのような赤いぽつぽつが出ます。

 

 

 

 

 

それを抑えるのがイベルメクチンクリームです。

残念ながら3割負担の保険適応外の治療になります。

漢方も酒さの治療に使います。

加味逍遙散(かみしょうほうさん)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)などがあります。

 

 

 

 

 

健康保険の適応外にはなりますが、アゼライン酸という塗り薬も効果があります。

アゼライン酸は酒さの他にニキビにも効果があって予防も兼ねるので、よくなっても続けたほうがいいです。

アゼライン酸は最近では化粧水にも配合されていますが、一般的に化粧品に配合されているアゼライン酸は濃度が低くいです。

酒さに効果があるとしたら濃度が20%くらいはほしいところです。

有名なところでいうとロート製薬から20%のアゼライン酸が配合されている化粧品がクリニック専売品としてでています。

しかもアゼライン酸は妊娠・授乳中でも使える薬です。

・酒さの内服薬

ぶつぶつした出来物が多いときや赤みが強いときにはミノマイシン・ビブラマイシンなどの抗生物質の内服を行います。

少し長めにのまないと効果がないことがあり、長く内服すると耐性菌ができる可能性が問題になってきます。

塗り薬や抗生物質の内服で改善がないときは、重症のニキビの方に使うイソトレチノインの内服を行うことがありますが、残念ながら3割負担の健康保険は使えない自費の治療になります。

イソトレチノインは目立つ毛穴・過剰な皮脂・酒さ独特のゴワゴワした肌を改善する効果があります。

・酒さのレーザー治療

健康保険適応外にはなりますが、赤みの原因となる血管内にあるヘモグロビンを壊すような波長の光をあてるVビームというレーザーを選択される方もいます。

皮膚の浅い場所の毛細血管拡張や赤ら顔には効果が高いですがこれも1回で治るわけではなく、繰り返し行うことが必要になります。

気になる方はVビームがおいてあるお近くの皮膚科を受診なさってくださいね。

4 生活習慣で気をつけること

酒さを悪化させる原因は患者さんによって様々ですが、生活習慣で気をつけることとして血管を開くような刺激があると酒さは悪化します。

冬は暖房で寒暖差が大きくなって悪化しますし、他には入浴、運動、辛い食べ物を食べる、飲酒などの血行が良くなる行動をすると赤みが増します。他にも紫外線も悪化因子であることがわかっています。

症状の悪化につながる生活習慣がわかっている場合、避けられるものは避けていただくといいですね。

例えば入浴後に真っ赤になる方は、熱いお湯を避けて軽めのシャワーにしてみてください。

 

 

 

 

スキンケアを丁寧に行いましょう。

洗顔はしっかり泡立てて優しく洗う、タオルでふくときも摩擦をさけるなどにも気をつけましょう。

紫外線は酒さを悪化させることが知られていますので、紫外線対策は最も重要な治療の一つです。

日傘や帽子・日焼け止めクリームは必須です。日焼け止めクリームは低刺激のもの選んでください。

 

 

 

 

 

こういう対応をすることで、症状が緩和されることがありますのでぜひなさってみてください。

まとめ
・酒さは鼻や頬・額に赤みやぶつぶつ・毛細血管の拡張がでる病気
・酒さには3段階あり、放っておくと肌がゴワゴワになってしまう
・原因が明らかになっていないので確立された治療はまだないが、外用薬・内服薬・レーザーといった治療を選択できる
・日常生活では血管を開くような刺激を避ける

動画でも解説していますので、是非ご覧ください。

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