

水ぶくれの原因となる虫はいろいろいますから
よく調べてみないとですね。

そうなんですか!?
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
虫刺されって皆さんも経験されたことありますよね。虫刺されは蚊・ブヨ・ダニ・ノミ・毛虫・蜂、ムカデ等によって起きる皮膚炎のことで「虫刺症」(ちゅうししょう) と言います。大体2日くらいで自然に治りますが、かき壊してしまったり刺した虫の種類によっては水ぶくれができてしまいます。
刺されるとどうなるか、予防や治療法について見ていきましょう。
虫刺されによる水ぶくれの原因は?
水ぶくれは医学的には「水疱」と言います。靴ずれを起こしたときや細菌感染を起こしたときにできますよね。
水ぶくれは、蚊やノミ、やけど虫などに刺された際によく見られます。虫の持つ毒液による科学的刺激によって皮膚の細胞が傷つけられるので水ぶくれができます。他にも虫が吸血するときに注入した成分に対するアレルギー反応、つまり体内に侵入した異物に対する防御反応で水ぶくれができます。
虫刺されによって水ぶくれができるかは、どの虫にさされたかよりは個人の体質によるものが大きいです。
同じ虫にさされても人によって赤みだけ出る人もいれば酷く水ぶくれになる方もいて、症状の出方には差があります。
水ぶくれを掻き破ると、細菌感染を起こしてとびひになる可能性があるので、掻かずに、冷やしたり、市販薬を塗ったりして対処しましょう。 症状がひどい場合は、医療機関を受診してください。
虫に刺されるとどうなる?
虫刺されの症状として代表的なものは以下の通りです。
・赤み
・痛み
・腫れ
・アナフィラキシーショック

上記でご説明した水ぶくれ以外の症状についても簡単に見ていきましょう。
かゆみ
虫刺されのかゆみは、虫の毒や唾液に対するアレルギー反応で、ヒスタミンなどの物質が分泌されることで起こります。 かゆみが強い場合は、患部を冷やす、市販薬を塗る、皮膚科を受診してステロイド外用薬を処方してもらうなどの対処法があります。 また、掻きむしると症状が悪化したり、とびひになる可能性があるので注意が必要です。
赤み
虫刺されの赤みは、虫の毒や唾液に対する体の防御反応として起こる炎症です。 血管が拡張し、血流が増加することで赤く見えます。 ほとんどの場合、数日以内に自然に消えていきます。 しかし、症状がひどい場合は、ステロイド外用薬などを使用して炎症を抑える必要があります。 掻きむしると悪化するため、冷やす、薬を塗るなどの対処をしましょう。
痛み
虫刺されの痛みは、虫が皮膚を刺したり噛んだりする物理的な刺激、または虫が注入する毒成分によって引き起こされます。 痛みは刺された直後から感じる場合もあれば、時間が経ってから感じる場合もあります。 ほとんどの場合、痛みは数日以内に治まりますが、強い痛みや腫れが続く場合は医療機関への受診が必要です。 特に、ハチやムカデなどの毒性の強い虫に刺された場合は、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため注意が必要です。
腫れ
虫刺されの腫れは、虫の毒や唾液に対する体の防御反応で、炎症によって起こります。 血管が拡張し、その周辺組織に水分や体液が溜まることで腫れが生じます。 多くの場合、数日以内に自然に引きますが、腫れがひどい場合は、冷やす、ステロイド外用薬を塗る、医療機関を受診するなどの対処が必要です。 特にハチやムカデなどの毒性の強い虫に刺された場合は、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため注意が必要です。
アナフィラキシーショック
虫刺されによるアナフィラキシーショックは、ハチやムカデなど毒性の強い虫に刺された際に、アレルギー反応によって引き起こされます。 症状は、じんましん、呼吸困難、意識障害など、命に関わる危険な状態です。 刺された後、体調に異変を感じたら、すぐに医療機関を受診してください。
虫刺されになる虫の種類
5つのタイプに分けてそれぞれ解説します。
②咬む虫
③刺す虫
④有毒の虫
⑤触れると危ない虫
①吸血する虫
蚊
国内に蚊の種類は130種類ほどですが、大体の虫刺されがヒトスジシマカかアカイエカ、チカイエカです。
蚊は血を吸うときに唾液を注入するので刺されたところが赤く腫れます。
症状がどのようにでるかはかなり個人差があります。たまに蚊に刺されたところが赤く痒くなる以外に、血豆や酷いかさぶたや水ぶくれができてその傷跡が1ケ付き以上も残ることもあります。
他に熱が出たりリンパ節がはれた下痢がおこったりもします。
「蚊アレルギー」や「蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)」ともいわれるかなり稀な病気も存在します

ブヨ
ブヨは小さいハエみたいな見た目をしていて蚊と同じように人の血を吸います。キャンプ場や川で遊んだときにさされることが多いです。赤みやしこりが暫く残ることがあります。
ノミ
ノミはネコノミにさされた場合がほとんどです。
人を刺すことがありますので、ペットがいると室内でもさされることがあります。ネコノミは2ミリ位の羽がない昆虫で、オスもメスも野良猫や犬の体に寄生して吸血します。
犬の体に寄生した場合は1~3週間、猫の体に寄生した場合は2~5週間生きます。寄生すると10分以内に吸血し翌日産卵します。卵が室内のカーペットなどに落ちると1週間以内に羽化して幼虫になります。
この幼虫はカーペット、ソファ、部屋のすみっこなどの湿気が高いところで脱皮してサナギになります。サナギは湿度がある環境下だと数ヶ月生きて羽化し、成虫になり、猫や犬に寄生するのです。
ちなみに犬や猫に寄生している成虫の状態は、ノミ全体のたった5%のみで、卵・幼虫・サナギとして室内の中に存在している未成熟期のノミが全体の95%を占めています。室内の掃除をすることがいかに大切かがおわかりいただけると思います
他にもメスが公園などの土があるところに卵を生むと、1週間位で幼虫になってじきに成虫になります。公園で遊んだ時に成虫が人間の皮膚に飛びついて吸血すると、1~2日経ってから赤いぶつぶつができます。
膝から下を刺されることが多いです。かなり痒く、掻いていると水ぶくれになります。
ダニ
室内で刺されるダニはほとんどがイエダニです。お腹・二の腕など服で隠れているところが刺されやすいです。イエダニはネズミに寄生しているので、ネズミが住み着いている古いお家やマンションにはイエダニが出やすいです。
それに対してマダニは屋外で刺されます。マダニはキャンプ場で刺されている方が多いです。
マダニは数日皮膚にくっついています。これを無理に引っ張って取るとマダニの尖った牙だけ皮膚の中に残ってしまうことがありますので、マダニが皮膚にくっついているのを見つけたら自分で引っ張らずにお近くの皮膚科を受診なさってください。


アブ
アブは蚊と違って皮膚を咬んで出てきた血を吸うので、さされたときは痛いです。
②咬む虫
クモ
虫刺されを起こすクモには、セアカゴケグモなどの毒を持つ種類がいます。
クモに刺されると、毒成分の刺激によって痛みや腫れが生じます。症状の程度は個人差がありますが、毒性の強いクモに刺された場合は、呼吸困難などの全身症状が出ることもあるため注意が必要です。
ムカデ
ムカデは牙で皮膚を咬んで毒成分を注入しますので、強い痛みや赤み、腫れが起きます。噛まれたところから線状に症状が出ることもあります。蜂と同じようにアナフィラキシーショックを起こすこともあります。
アリ
人を咬むアリには、イエヒメアリやヒメアリなどがいます。咬まれた箇所は、体質によっては腫れることがあります。毒針を持つアリには、オオハリアリなどがいます。
刺されると、赤みや痛み、熱感などの症状が現れます。ヒアリやアカカミヒアリなど毒性の強いアリに刺された場合は、呼吸困難などの全身症状が出る可能性があり、アナフィラキシーショックを起こすこともあるので、すぐに医療機関を受診する必要があります。
③刺す虫
ハチ
人を刺す蜂はミツバチ・スズメバチ・アシナガバチの3種類です。
蜂に刺されると蜂毒の刺激作用によって、強い痛みがあり赤く腫れて水ぶくれができることがあります。
ほとんどの場合が刺されてから30分以内にかゆみ・蕁麻疹・吐き気・むくみがおきてからアナフィラキシーショックになります。
「数時間前に蜂に刺されたけど、アナフィラキシーになりますか?」と心配される方がおられますが、歩いて外来にお越しになられている場合は大丈夫です。

④有毒の虫
毛虫
毛虫にはハリに毒があり、特に有名なのがチャドクガです。ツツジや椿の庭木にいますので、庭仕事のときに毛虫に触れてしまう方も多いです。毛虫に触ると赤いぶつぶつができます。
刺されたところをかいてしまうと肌に刺さった毛虫の毛をさらにこすりつけてしまい、広がっていきますので絶対にしないでください。
毛虫に触れてしまったときはテープで皮膚についた毛虫のハリやトゲを取ってから、シャワーで洗い流してください。

⑤触れると危ない虫
アオバアリガタハネカクシ(やけど虫)
アオバアリガタハネカクシ(やけど虫)は、体長約7mmで、黒とオレンジ色の縞模様が特徴的な甲虫です。日本全国に生息し、水田や湿った草地を好みます。この虫は攻撃性はありませんが、触ると体液中の有毒物質「ペデリン」によって、火傷のような痛みと水ぶくれを引き起こします。皮膚に体液が付着した場合は、すぐに水で洗い流し、症状が出たら医療機関を受診しましょう。

虫刺されの予防
外出時の注意点
外出時は、肌の露出を減らすことが大切です。
特に、ブヨは渓流沿いに、ハチは巣の近くに多く生息するため注意が必要です。
家の中での注意点
自宅での虫刺され予防には、窓を開ける際は網戸を使用し、こまめな掃除で虫の発生源を減らすことが重要です。 イエダニ対策には、布団乾燥機や天日干しを行い、ダニの温床をなくしましょう。 また、ペットがいる場合はノミの駆除も忘れずに行いましょう。
虫に刺された場合の対策と治療法
噛まれた場所を洗う
虫に刺されたら、まず患部を流水で洗い、清潔にしましょう。
かゆみが強い場合は、冷やすと和らぎます。 市販薬のかゆみ止めも有効ですが、 赤みや腫れがひどい場合は、ステロイド外用薬の使用を検討しましょう。 症状が改善しない場合は、医療機関を受診してください。 ハチに刺された場合は、針が残っている場合があるので注意が必要です。
冷やす
虫に刺されたときは、まず患部を冷やすことが大切です。冷やすことで、かゆみや痛み、腫れなどの炎症症状を和らげることができます。 冷やす際には、冷水で濡らしたタオルやハンカチで包んだ保冷剤などを患部に当てましょう。 症状が重い場合は、冷やしながら医療機関を受診しましょう。
掻きむしらない
虫に刺されたときは、患部を掻きむしらないことが非常に重要です。
かゆみが我慢できない場合は、冷やしたり、市販薬を塗ったり、医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。
市販薬の使用
虫刺されの治療には、市販薬も有効です。かゆみにはかゆみ止め、炎症が強い場合はステロイド外用薬を選びましょう。 子供に使用する場合には、年齢制限を確認し、用法・用量を守ることが大切です。 市販薬を使用しても改善が見られない場合は、医療機関を受診しましょう。
患部を保護する
虫刺され後は、患部を掻きむしらないよう保護することが大切です。特に、子どもは痒みに我慢できないことが多いので注意が必要です。掻き壊すと、細菌感染を起こし、とびひになるリスクがあります。 絆創膏や清潔なガーゼなどで患部を覆い、掻きむしりを防ぎましょう。
皮膚科の受診
虫刺されの症状が重い場合や、市販薬で改善しない場合は、皮膚科を受診しましょう。 特に、水ぶくれが大きい場合、広範囲にわたる場合、強い痛みや腫れがある場合は、早めの受診が大切です。 皮膚科では、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の処方、症状に応じた適切な治療を受けることができます。
虫刺され跡がシミになる理由
虫刺されはうまく治せないとシミのような色が残ります。
特に、かき壊して炎症が長引くと、シミになりやすくなります。 早めに治療を行い、炎症を抑えることが重要です。
炎症後の色素沈着はにきびの跡や日焼け、擦り傷の跡でも起こります。
皮膚に炎症が起きると組織が傷つきます。傷ついた組織を修復する過程でメラノサイトが活性化するとメラニン色素が作られ色素沈着になります。
通常は皮膚はターンオーバーによってシミは消えていきますが、消えるのに1年以上かかることもあります。
特に大人になると肌のターンオーバーが遅くなり、痕になりやすいです。
虫にさされたときは炎症を早く抑えるためにステロイドを塗ることが大切ですし、紫外線対策もしっかりしてもらいます。
炎症がおきて赤くなっているところに日光を浴びてしまうと、メラノサイトが活発になってさらにシミになりやすくなります。
まとめ
最近は海外から様々な生き物が国内に侵入しています。刺されるとアナフィラキシー症状を起こすことがありますので注意が必要です。
また、子供の場合は「かかないで!!」と言っても我慢出来ずに掻きむしってとびひになったりもしますので、早めにお近くの皮膚科を受診なさってください。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。