【衝撃!】ムカデに噛まれたらどうなる?刺された時の症状と対処方法について皮膚科専門医が詳しく解説【アナフィラキシーショック、破傷風】

虫刺され
家の中にムカデが出ました!!
玉城有紀
玉城有紀

噛まれないように注意してください!!

噛まれたらどうなるんですか?

みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。

今日お話する内容です。

1 ムカデ
2 ムカデに咬まれた症状
3 アナフィラキシーとは
4 破傷風
5 注意が必要な時期・場所
6 対策

ムカデに咬まれるとかなり痛くて腫れやかゆみなどの炎症が起こります。

咬まれないような対応が大切です。

1 ムカデ

百足(ひゃくあし)と書いてムカデと読みます。

足がたくさんある生き物という意味でムカデと言うことですね。

ムカデに刺されたときはほとんどがトビズムカデによるものです。

トビズムカデは10センチくらいの大きさで特徴的な色をしています。

 

 

 

 

 

赤い頭、黒い長い胴体、黄色い色を持つムカデです。

ムカデは水分がないと生きられないため、基本的に暗くてジメジメした場所に潜伏しています。石や岩、落ち葉の下に生息していているので、庭の石や植木鉢を移動させようとしたときに刺される時があります。

夜15度以下の気温だと動かなくなり、冬は土の中に冬眠しています。

ムカデは刺激をしなければ自分から人を咬むことはしません。

靴の中に潜んでいて、靴を履くときにムカデに噛まれて痛い思いをした方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

 

 

 

そもそもどうしてムカデさんは靴の中に入るのでしょう?

ムカデは視力はあまりないのですが、水を見つける能力がとても高いのです。

空気中に漂うわずかな湿気を感知して、その湿気の発生源を突き止めます。

玄関から侵入したムカデは湿気のある靴に潜んでしまうのですね。

なのでムカデが発生しやすい地域では靴を履く前にムカデが潜んでいないかチェックしましょうね。

2 ムカデに咬まれた症状

ムカデに刺されると皮膚に激痛が走ります。

頭の先にある一対の大きな毒牙(どくが)から毒が注入されて、咬まれたところが炎症が起きて赤く腫れます。

しびれが出ることもあります。

この毒には血液中の赤血球を破壊する力やアレルギーを起こすヒスタミン、精神バランスに影響を与えるセロトニンなどいろんな毒素を含んでいます

痛みは数時間で収まりますが、翌日にさらに腫れたりかゆみ、しびれが起きることがあります。

 

 

 

 

あとは稀ではありますが、ハチに刺されたときと同じように咬まれた直後に蕁麻疹がでたり、呼吸が苦しくなったり、めまいなどのアナフィラキシーショックが起こることがあります。

3 アナフィラキシーとは

以前にムカデに咬まれた事がある人で、ムカデに対する抗体ができてしまう方がいます。

そういう方が2回目以降にムカデに咬まれると、免疫機能が過剰に反応してアナフィラキシーショックを起こすことがあります。

アナフィラキシーショックになると意識がなくなり呼吸が苦しくなることがあります。

意識が薄れる前にすぐに救急車を呼んでください。

刺された場所が腫れて痛いのは、ショックではなく普通の虫刺されです。

 

 

 

 

 

アナフィラキシーショックになる方はほとんどの場合、30分以内にかゆみ・手が震える・冷や汗がでる・蕁麻疹・吐き気・むくみ・血圧が下がります。早い方は5分くらいでその症状が現れます。

「数時間前にムカデに刺されたけど、アナフィラキシーになりますか?」と心配される方がおられますが、歩いて外来にお越しにならている場合は大丈夫です。

またどんなムカデにさされても初めて刺された場合はアナフィラキシーショックは起こりません

ムカデの毒に対する抗体ができた場合に、2回目以降に咬まれるとこのアレルギー反応がでます。

4 破傷風

アナフィラキシーショックももちろん怖いのですが、実はムカデはそれ以上に毒牙についた「菌」が危険です。

ムカデは実はきれい好きで、全身を丁寧に舐めて自分の体を清潔に保っています。

でも頭の先についた毒牙には口がどうにも届かないため、毒牙には獲物の体液やカビや細菌などさまざまな汚れが付いたままです。

この放置された毒牙に実は深刻な危険が潜んでいるのです。

ムカデは土の中に潜っていることが多いことから、怖いのが破傷風菌です。

「破傷風」というのは致死率の高い感染症だってことはご存知でしょうか。

だいたい日本でも毎年100人くらいが発病し、5人くらいの死者が報告されています。

なのでムカデに咬まれたら、すぐに傷口をよく洗い流して、最寄りの病院に「破傷風トキソイド」の投与についてご相談ください。

 

 

 

ムカデに咬まれてから数日内に発熱したり、顎(あご)が開け閉しにくい症状が出た時には、決して放置せず必ず病院を受診してください。

実は2011311日の東日本大震災の後に、岩手県と宮城県を中心に震災に関連した破傷風症例が10例ありました。

破傷風は広く土の中にいる破傷風菌が傷口から侵入増殖し、その菌の出す毒素によって全身の痙攣や呼吸停止を引き起こす命に関わる病気です。

基本的には、混合ワクチンや破傷風ワクチンの予防接種で破傷風に対する免疫をつけて予防することができます。

 

 

 

 

 

60歳以上の方で、破傷風トキソイドを含む混合ワクチンを全く受けていない人は、基礎免疫がない可能性があります。

破傷風ワクチンは、約半年かけて、3回接種することで基礎免疫が得られますので、その後は510年間隔で破傷風トキソイドを接種し続ければ破傷風免疫が持続します。

5 注意が必要な時期・場所

ムカデの被害は冬以外の季節で起こります。

特に多いのが暖かくなる5~6月です。

湿気を好み夜行性なので、日中は岩・石・落ち葉の下・土の中・植木鉢の水受け皿に潜んでいて、夜になるとエサになるゴキブリや蜘蛛を捕まえるために活動を始めます。

なのでゴキブリや蜘蛛がいそうな屋根裏、家具の隙間などに、ムカデは侵入しています。

あとは屋外だとガーデニングや庭木の手入れのときにムカデに触れて咬まれることもあります。

6 対策

ムカデの体はとても薄くて数ミリの隙間があれば簡単に家に侵入してしまいます。

窓枠やドアの下の隙間を埋めたり、ムカデのエサであるゴキブリが繁殖しないようにゴキブリを駆除するのも効果的です。

 

 

 

 

 

屋外の場合は、ムカデが生息する草むらや庭の植木鉢や石を移動させるときにムカデが潜んでいないかを確認することが大切です。

素手ではなく手袋を着用してください。

 

 

 

 

 

ムカデが発生し易い山間部では、ムカデが靴やスリッパの中に潜んでいないか注意してから履くようにしてください。

ちなみに殺虫剤はムカデにはあまり効果がありません。

 

 

 

 

 

というのも、ムカデは関節が露出しておらず前後の関節が鎧みたいに重なりあって全身が覆われているので殺虫剤を浴びても、簡単に皮膚から有効成分が浸透してくれないからです。

しかも3億年近い大昔から形を変えずに生きている生命体なので、驚異的な生命力を持っていて、殺虫剤がなかなか効かないのです。

市販でムカデを遠ざける忌避剤(きひざい)が売っていて、直接退治するわけではないのですがムカデの嫌いなニオイで寄せ付けなくすることはできます。

また土の中で眠るムカデを駆除しようと殺虫剤を大量に散布してもほぼ無意味です。

 

 

 

 

分厚い土に阻まれて殺虫剤はほとんどムカデに届きません。

ムカデが冬眠してる冬の寒いうちに、家の周りに放置された植木鉢を処分して、夏の活動期にムカデが忍び込まないよう整理整頓しましょう。

ムカデに刺されたときは、まずは水で洗い流しましょう。

 

 

 

 

 

傷口を洗うことで雑菌が皮膚に入り込むのをある程度防ぐことができますし、毒成分も少しは洗い流すこともできます。

しっかり洗った後は氷や水で患部を冷やして腫れをさらに抑えます。

かゆみや赤みがあるときは皮膚に炎症が起こっていますので、ステロイドを塗って炎症を抑えることも大切です。

まとめ
・ムカデは暗くてジメジメした場所にいるので気をつける
・アナフィラキシーショックや破傷風に注意
・ムカデのエサであるゴキブリが繁殖しないようにする
・屋外作業では手袋を着用する
・ムカデに刺されたらよく洗い冷やす

動画でも解説していますので、是非ご覧ください。

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