こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
今回の記事では、患者さんからも質問の多い 「機械性蕁麻疹」と「遅発性圧蕁麻疹」 について、症状・原因・治療、そして一般的な蕁麻疹との違いまで詳しく解説します。
「触ったあとにミミズ腫れのように腫れる」「荷物を持った翌日に腫れる」など、心当たりがある方はぜひ参考にしてください。
■ 機械性蕁麻疹とは?
まず、機械性蕁麻疹とは、皮膚に加わる物理的な刺激によって発生する蕁麻疹です。
代表的な刺激は以下の通りです。
●腕時計・手袋の圧迫
●カバンのストラップ
●爪で引っかく行為
刺激誘発性蕁麻疹の中でも最も多いタイプで、日常のちょっとした動作でも誘発されます。

■ 遅発性圧蕁麻疹とは?
次に、遅発性圧蕁麻疹 です。
これは “圧” がかかった後、数時間経ってから 蕁麻疹が出るタイプのものです。
刺激が加わってからの経過は以下が典型的です。
●腫れ・痛み・赤みが 2~3日ほど続く
症状が出やすい部位は、
●足の裏
●お尻
●長時間座ったときの体重がかかる場所

また、特発性蕁麻疹(原因不明の一般的な蕁麻疹)がある方は、
機械性蕁麻疹や遅発性圧蕁麻疹を合併しやすい と言われています。
■ 刺激誘発性蕁麻疹の種類
刺激によって起こる蕁麻疹(刺激誘発性蕁麻疹)は、以下のように分類されます。
●コリン性蕁麻疹:5%
●寒冷蕁麻疹:0.8%
●温熱蕁麻疹:0.4%
●日光蕁麻疹:0.3%
●食事・薬剤による蕁麻疹:0.7%
この中で最も多いのが 機械性蕁麻疹 です。
刺激誘発性蕁麻疹は、内服だけでは完全に抑えきれないことも多く、

■ 治療法と治るまでの期間
基本的な治療は 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬) の内服です。
症状が強い場合は、薬の増量を行うこともあります。

ですが、治療で最も重要なのは
原因となる刺激を避けること
です。

治るまでの期間には個人差がありますが、おおよその目安は次の通りです。
●遅発性圧蕁麻疹:約7年
●寒冷蕁麻疹:約6年
●日光蕁麻疹:約5年
長い期間続くこともありますが、
これらの刺激誘発性蕁麻疹は 自然に治ることも多い 病気です。
■ 普通の蕁麻疹との違い
一般的な「特発性蕁麻疹」との違いは次の通りです。
▼ 発疹の形
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特発性蕁麻疹:丸・花びら・地図状など形がさまざま
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機械性蕁麻疹:刺激が加わった部分に沿った線状の膨疹
▼ 持続時間
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特発性蕁麻疹:半日〜1日
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刺激性蕁麻疹:多くは2時間以内に消える
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遅発性圧蕁麻疹:2〜3日続く
このように、症状の出方や持続時間が大きく異なります。

■ まとめ
今回は、機械性蕁麻疹と遅発性圧蕁麻疹について解説しました。
日常生活の中での工夫がとても大切な病気です。
原因を知り、うまく付き合いながら治療を続けていきましょう。



