そうですね。場合によっては低温やけどの方が重症
になることもあります。今回は低温やけどについてお話します。
よろしくお願いします!
みなさんこんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
今日は、意外と知られていない糖尿病をお持ちの方に気をつけていただきたい低温やけどについてお話します。
糖尿病はインスリンがうまく働いてくれないので、血液中を流れるブドウ糖が増える病気です。
何年間も血糖の濃度が高いままで放置してしまうと血管が傷ついてしまい、将来的に心臓病や失明、腎不全といったより重い病気に繋がります。
実は糖尿病は皮膚症状との関係がとても高い病気です。
たくさんの患者さんが皮膚の乾燥やかゆみ、手足の感覚が弱くなる、切り傷が治りにくいなどの肌トラブルに悩まされています。
1 低温やけどとは?
冬にカイロや湯たんぽを使って皮膚がヒリヒリしたり赤くなったりしたことはありますか?
これは低温やけどです!
低温やけどは放っておくと普通のやけどよりも酷くなることがあります。
一般的にやけどというと、お湯がかかったとか料理中に火や鍋に触れたとか高温のものに接触したというイメージがあると思います。
65度以上のものに皮膚が触れると瞬時にやけどは起こります。
大体44度なら7時間、50度なら2分くらいで低温やけどを起こします。
低温やけどは60度以下の熱によって引き起こされるものですが、やけど自体は1度・2度・2度と3つに分類されています。
1度:皮膚の一番上の表皮までの軽いやけどで、皮膚が赤くなってヒリヒリしますが傷跡は残りません。
2度:火傷が真皮にまで及んでしまい水ぶくれができて、かなりひりひりした強い痛みが出ます。大体この状態で皮膚科を受診される方が多いです。
3度:火傷が皮下組織まで及んでしまい、神経もダメージを受けて逆に痛みが出なくなります。こうなると治るのに非常に時間がかかり皮膚の移植とかが必要になることがあります。
人は熱いものにふれるとすぐに気づくので、熱いものから離れることで対応できます。
寒い日に湯たんぽとかカイロをつけているとなんとなく心地よくてずっとつけていることがあります。
数時間同じ場所に当たっていると皮膚の奥の方までじわじわと暖かくなっていきやけどが広がるため、予想以上に深いやけどになることがあります。
低温なのでやけども軽いのでは?と思われがちですが、重症化すると高温のふつうのやけどよりも治りにくくなってしまいます。
最初は浅いやけどに見えても時間とともに深いやけどに変化していくので本当に注意深く診察する必要があります。
低温やけどはすぐだと赤みとか水ぶくれが起きますが、血流が悪いと皮膚が黒ずんでいきひきつれたようになっていきます。
2 低温やけどが起こりやすい状況
よく耳にするのがカイロや湯たんぽ、こたつなどです。
特に注意してもらいたいのが、無意識に暖房器具に寝てるときに触れていてやけどすることがあります。
例えば湯たんぽの温度が44度くらいだとして、ただ足を湯たんぽの上に軽く載せているだけの場合と寝ている間にじわじわおいて寝てしまって圧がかかっている場合では低温やけどを起こすまでの時間が違います。
44度で7時間くらいで低温やけどになると言われていますが、圧がかかってしまうと4時間くらいでもやけどします。
特に糖尿病の方はちょっとした擦り傷から細菌が入って蜂窩織炎や壊死性筋膜炎などの入院が必要な皮膚の感染症を起こしやすくなります。
足を綺麗に洗って傷がないか日常的にチェックして、保湿したり血糖のコントロールをつけることが大切です。
3 気をつけること
湯たんぽは寝るときには布団から出すか体から離すようにして足を湯たんぽの上においたまま寝ないでください。
使い捨てカイロは衣類の上から貼って直接貼らないようにしましょう。
ノートパソコンはバッテリーが熱くなるので、膝に長時間おいて作業しないように。
糖尿病をお持ちでない方でも、皮膚が薄い高齢者や寝たきりで体を動かせない人、糖尿病で神経障害があって間隔が鈍くなっている人、アルコールを飲みすぎて熟睡しちゃった時は暖房機部やカイロには気をつけて下さい。
4 対処方法
低温やけどはじわじわダメージがくるので、気が付かない間に進行していることがあります。
まずは流水で30分間くらいやけどしたところを冷やしましょう。
冷やすことで痛みや赤みを取り除くことができます。
水ぶくれのところは破らないで下さい。
そこから細菌が入ってしまうことがあります。
特に糖尿病の方は感覚が低下していて皮膚が壊死するまで深いやけどになってから受診する方がいますので、早めに受診して下さい。
糖尿病をお持ちの方は皮膚トラブルが起こりやすく、最悪の場合足を切断して失ってしまうこともありますので皮膚のケア·チェックは欠かさず行ってくださいね。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。