日焼け止めは大事ですよ!では今日は日焼け止めが
大事な理由と正しい塗り方を話しますね。
わかりました。ぜひ教えてください♪
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
今日お話する内容は日焼けと日焼け止めについてです。
1 日焼け
皮膚科では日焼けのことを「日光皮膚炎」という病気に分類します。
皆さんも経験されたことがあるかなって思いますが、日焼けすると赤くてヒリヒリしますよね?
ひどい日焼けになると腫れ上がって水ぶくれができます。
日焼けすると1時間くらいで赤くなりますが、実はピークは3日後くらいです。
酷い日焼けだと熱が出たり低血圧や失神などのショック状態になることがありますので、夏の海を甘く見ないようになさってくださいね。
日焼けすると皮がむけてかゆくなりますが、一旦皮が向けた場所は数週間は通常より日焼けしやすくなるし感染を起こしやすくなります。
それに若いうちに日焼けしてしまうと、のちのち皮膚がん、特にメラノーマといってメラノサイトという皮膚の細胞が悪性化する癌になるリスクも高くなります。
2 紫外線
紫外線は波長が10~400nmで、目に見える可視光線の紫の外側という意味で「紫外線」と言われます。
紫外線は波長の長い方からUVA/UVB/UVCがあります。
UVC:一番波長が短いUVCは障害性が強く殺菌灯に使われますが、波長が短いので地表には届きません。
UVB:280~320nmの波長です。
UBA:320~400nmの波長です。
3 日焼けした時の対応
日焼けは日に浴びた直後から1~3日かけて進行していくので、ケアをしないで放置すると症状が悪化します。
日焼けしたらすぐに対処しましょう。
①冷やす:ほてり感やヒリヒリしたときはスグに冷やしてください。
②ステロイドを塗る:冷やしてもなかなか赤みや痛みが取れないときは、炎症を抑えるためにステロイドを数日塗ります。
③保湿する:ダメージを受けた肌は皮膚の表面が荒れて水分が蒸発しやすくとても乾燥しています。きれいな肌を再生させるためにもしっかり保湿しましょう。
④新たな日焼けを防ぐ:新しい表皮が出来上がるまでに日光でダメージをうけてしまうと、再び炎症が起きたりシミになったりしますので、日焼けしないようにしましょう。
4 日焼けを防ぐ方法
①紫外線の強い時間、特にお昼12時前後の太陽が一番高くなるときを避ける
②屋外にいるときはできるだけ日陰を利用する
③日傘や帽子・サングラスを使いましょう
なので日焼け止めも必須です。
日焼け止めは紫外線吸収剤と紫外線散乱剤のどちらかの紫外線防止剤が配合されています。
紫外線吸収剤:皮膚が白くなりにくいですが、たまにアレルギー反応を起こす人がいます。
紫外線散乱剤:膚が白くなりやすいですが、アレルギーは起こしにくいです。
5 皮膚障害
日光を浴びると体内でビタミンDを作り一部の皮膚病には役立ちます。
でも基本的には日光はいろんな皮膚障害を引き起こします。
①光老化:歳を重ねるとシワができますが、シワができる原因は年齢によるものが2割、日光によるものが8割と言われています。
②癌が起こりやすい:有棘細胞癌・基底細胞がん・メラノーマが起こりやすいです。
③日光アレルギー:「光線過敏症」とも言われ、日光によって引き起こされる免疫系の反応です。日光にさらされた部分の皮膚にかゆみや赤みが出ます。
6 赤ちゃんと紫外線
ここまでは「紫外線はよくないもの」と言いましたが、そうは言っても女性であまり日光を避けすぎると赤ちゃんに影響がでてしまいます。
人間は食事と日光からビタミンDを得ていますが、日焼けを過度に避けてしまうと赤ちゃんのビタミンDが不足してしまいます。
骨の成長にはビタミンDが必要です。ビタミンDが不足するとカルシウムが不足して痙攣を起こしたり、歩き始める頃に骨が曲がりやすくなったりしてO脚になったりします。妊婦さんや授乳中の方は適度な日差しを浴びることが必要です。
赤ちゃんは皮膚が薄いので、強い日光を浴びるのは良くありません。
ただ、後でも説明しますが、薄くつけても意味がないので塗る量はたっぷり使用してください。
7 日焼け止め
日焼け止めの効果を示すのはSPFとPAがあります。
SPF:日焼けを起こしたりシミを作るUVBを防ぐ数値。SPFは最高50の表示があり、日焼け止めをつけないときに比べて何倍の紫外線を当てると翌日肌が赤くなるかを示しています。数値が大きいほど効果が高いです。
PA:皮膚の奥まで届きシワやたるみの原因となるUVAを防ぐ数値。PAは+1から+4までの4段階の表記があります。
「面倒だから数値が高いものを選べばいいのでは??」とおっしゃる方がいますが、それは違います。
大人ならSPF15以上でPA+以上の紫外線防御機能がある日焼け止めであれば、シワやしみなどの光老化を抑えることができます。
重要なのは塗り方です。
皆さんここをかなり間違えておられます。
日焼け止めは「1平方センチメートルあたり2mgの日焼け度目を肌に塗った場合に効果がある」と定義されています。
ということは、この量を塗れていないと十分に効果が得られないのです。
顔の大きさが20センチ×20センチの400平方センチメートルだとすると、顔全体に必要な日焼け止めは2mg×400で800mgつまり0,8gとなります。
しかも顔に塗るときに絶対少し手についてしまいますよね。
かなり多いのでべたべたします。
髪、頭皮、手や首の後ろ、デコルテは塗り忘れる事が多く、うっかり日焼けする方が多いのでご注意ください。
8 プールの日焼け止め
プールに入るときは当然、耐水性のあるウォータープルーフの日焼け止めを使わないといけません。
汗や水に強いという意味です。
2022年12月以降、ウォータープルーフの日焼け止めに新しい基準が加わりました。
40分水に使ってSPFの値が水に浸かる前の50%維持できているものが「UV耐水性★」、80分水に使ってSPFの値が水に浸かる前の50%維持できているものが「UV耐水性★★」と星印が2つになります。
少し水遊びをするくらいなら★、海やプールに入るときは★★を使ったほうがいいですね。
ラッシュガードを着るという手もありますね。
プールの水が汚染されないように日焼け止めは無着色のものを選んでください。
ラッシュガードや日焼け止めについては学校によって取り決めが異なりますので、学校に先にお問い合わせなさってみてくださいね。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。