軟膏や保湿剤、ステロイドを正しく使えていますか?
意外と知られていない「塗り方のコツ」や「保管の注意点」、ステロイドと保湿剤の正しい順番など、皮膚科医の視点から詳しく解説します。
肌トラブルを繰り返さないために、ぜひ最後までご覧ください。
軟膏の適量はどのくらい?
飲み薬のように「朝・晩1錠」と決められていない塗り薬は、量の目安が分かりにくいものです。
皮膚科では「FTU(Finger Tip Unit)」という単位を使用します。
これは、人差し指の先から第一関節まで出した軟膏の量=1FTUと定義されており、手のひら2枚分の広さに塗る量になります。
ローションタイプの場合は、1円玉大が目安です。
保湿剤を全身に塗る場合の量は?
大人が全身に保湿剤を塗る場合、1日40g(1回20g×2回)必要とされます。
1カ月に換算すると約1,200gとかなりの量です。
小児の場合は月に400g程度が目安とされています。
間違った塗り方に注意
「擦り込む方が効きそう」と、軟膏を強くこすりつける方がいらっしゃいますが、これはNGです。
かえって皮膚を傷つけてしまい、治りが遅くなる原因になります。
【塗るときのポイント】
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何か所かに分けて「点置き」してから広げる
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皮膚のシワに沿って「横方向」に優しくのばす
軟膏・クリームの使用期限と保存方法
未開封の場合、チューブの先端に記載された期限まで使用可能です。
しかし、開封後は指で触れたり患部に直接塗ったりすることで雑菌が入りやすく、6カ月〜1年以内を目安に使い切るのが理想です。綿棒を使うとより衛生的です。
混合処方(保湿剤+薬剤)の場合は期限がさらに短くなるため、見た目やにおいに異常があれば使用を中止しましょう。
【保存の注意点】
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室温(1℃〜30℃)が基本
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夏場に室温が30℃以上になる場合は冷蔵庫保存も可(※0℃以下になると凍結・劣化に注意)
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車内放置はNG!一度溶けた軟膏は使えません
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冬場で硬くなった場合は、手のひらで温めてから塗布
保湿剤とステロイドの正しい順番

答えは、保湿剤→ステロイドの順です。
【理由】
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保湿剤は広範囲に塗るため、ステロイドの上から塗ると意図せず拡散してしまう
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ステロイドが必要ない部位にまで作用すると、皮膚が薄くなる・ニキビ・血管拡張・感染症(カンジダ、水虫など)のリスクが高まる

まとめ
軟膏の正しい使い方を知って、効果的なスキンケアを習慣にしましょう。
肌トラブルを防ぎ、健康的で美しい皮膚を維持するために、今日から実践してみてくださいね。
動画でも解説しています。ぜひご覧ください!