こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
日焼け(日光皮膚炎)とは
日焼けは、皮膚科では「日光皮膚炎」という立派な病気の一つです。日焼けをすると赤くなってヒリヒリしますが、ひどい場合は皮膚が腫れ上がり、水ぶくれができることもあります。

非常にひどい日焼けをすると、発熱や低血圧、湿疹などのショック状態に陥ることもあるため、夏の海やレジャーでの長時間の日光浴は油断しないようにしましょう。

また、日焼け後に皮がむけると、むけた部分は数週間ほど通常より日焼けしやすく、感染も起こしやすい状態になります。さらに、若いうちに強い日焼けを繰り返すと、将来的に皮膚がん(特にメラノサイトが悪性化するメラノーマ)のリスクが高くなることも分かっています。
紫外線の種類と特徴(UVA・UVB)
紫外線は波長10〜400nmの光で、目に見える可視光線の「紫の外側」にあることから「紫外線」と呼ばれます。波長の長い方からUVA・UVB・UVCの3種類に分けられます。
- UVC:波長が最も短く障害性が強い紫外線。殺菌灯などに利用されますが、オゾン層に吸収されるため通常は地表にほとんど届きません
- UVB(280〜320nm):日焼けを起こす主な原因。皮膚の細胞のDNAに直接吸収され、傷をつけてしまいます
- UVA(320〜400nm):波長が長く皮膚の深くまで届きます。日焼けを起こす力はUVBよりずっと弱いですが、シワ・たるみの原因になります

日焼け(赤み)を起こす力は、UVBの方がUVAよりもはるかに強いことが知られています。

日焼けしてしまったときの対処法
日焼けは紫外線を浴びた直後から1〜3日かけて進行するため、何もせず放置すると症状が悪化してしまいます。次の順番でケアしましょう。
- 冷やす:ほてりやヒリヒリ感を感じたらすぐに冷やしましょう。氷水を直接肌に当てると冷えすぎることがあるため、水道水で30分以上冷やすか、濡れタオルを当てて上から扇風機の風を当てる方法もおすすめです
- ステロイドを塗る:冷やしてもなかなか赤みや痛みが引かないときは、炎症を抑えるためにステロイド外用薬を数日間使用します
- 保湿する:ダメージを受けた肌は表面が荒れて水分が蒸発しやすく、とても乾燥した状態になっています。きれいな肌を再生させるためにもしっかり保湿しましょう
- 新たな日焼けを防ぐ:新しい表皮ができあがるまでの間にさらに日光でダメージを受けると、炎症がぶり返したりシミになったりすることがあります。治るまでは日焼けをしないよう注意してください


日焼けを防ぐ方法
- 紫外線が強い時間帯、特に太陽が最も高くなる正午前後の外出を避ける
- 屋外にいるときはできるだけ日陰を利用する
- 日傘や帽子、サングラスを活用する

ただし紫外線は空気中で散乱したり、地面や建物から反射したりするため、日陰にいても、帽子をかぶっていても、それだけで完全に防ぐことはできません。そのため日焼け止めの使用も欠かせません。
日焼け止めには「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」のどちらかの紫外線防止成分が配合されています。
- 紫外線吸収剤:皮膚が白くならず使用感がよいですが、まれにアレルギー反応を起こすことがあります
- 紫外線散乱剤:皮膚が白くなりやすいですが、アレルギーは起こしにくいという特徴があります

日光による皮膚への影響
紫外線をたくさん浴びると、将来的にシワやシミができやすくなったり、皮膚がんになる確率が上がったりします。そのため、赤ちゃんのうちから強い日焼けを避けることが大切です。
一方で、日光を浴びると体内でビタミンDが作られ、一部の皮膚病に役立つ面もあります。ただし基本的には、日光は次のようなさまざまな皮膚障害を引き起こします。
- 光老化:加齢に伴うシワの原因のうち、年齢によるものは2割程度で、残りの8割は紫外線による「光老化」といわれています
- 皮膚がんのリスク上昇:有棘細胞がん、基底細胞がん、メラノーマなどが起こりやすくなります
- 日光アレルギー(光線過敏症):日光によって引き起こされる免疫反応で、日光にさらされた部分の皮膚にかゆみや赤みが出ます

赤ちゃんと紫外線・ビタミンD
ここまで紫外線のデメリットを中心にお話ししてきましたが、日光を避けすぎることにも注意が必要です。人は食事と日光の両方からビタミンDを得ているため、日焼けを過度に避けると体内のビタミンDが不足してしまうことがあります。
骨の成長にはビタミンDが必要です。不足するとカルシウムも不足し、痙攣を起こしたり、歩き始める頃に骨が曲がってO脚になったりすることがあります。妊娠中・授乳中の方も、適度に日光を浴びることが大切です。
目安として、1日に手の甲を15分程度日光に当てるだけでも、骨づくりに必要なビタミンDを作ることができるといわれています。
日焼け止めのSPF・PAの見方
日焼け止めの効果を示す指標には「SPF」と「PA」があります。
- SPF:日焼け(赤み)やシミの原因となるUVBを防ぐ効果を示す数値で、最大50まで表示があります。数値が大きいほど高い効果を発揮します
- PA:皮膚の奥まで届きシワやたるみの原因となるUVAを防ぐ効果を示す指標で、「PA+」から「PA++++」までの4段階で表記されます
「面倒だから数値が高いものを選べばいい」と思う方もいますが、それは誤りです。乾燥肌や敏感肌の方が数値の高さだけで選んでしまうと、肌に余計な負担がかかり、かえって肌トラブルを引き起こすことがあります。

子どもの日焼け止めの選び方・塗り方
お子さんの肌はデリケートで角質が薄く、皮脂の分泌も少ないため、紫外線によるダメージを受けやすい状態です。日焼け止めは一般的に生後6ヶ月以降から使用可能とされています。それより小さい赤ちゃんは皮膚がとても薄く敏感なため、日焼け止めよりも日光を避けることを優先しましょう。
特に午前10時〜午後2時は紫外線量がピークになり、4月から9月にかけて強くなります。つばの広さが7cmある帽子であれば、紫外線の約60%をカットできるといわれています。日差しが直接肌に当たらないよう、次のようなアイテムも活用してください。
- つばの広い帽子
- 目の詰まった薄手の長袖(淡い色や、紫外線防止効果のある繊維でできたものがおすすめ)
- ベビーカーの日除け

日陰は日なたに比べて紫外線量が約50%減りますが、曇りの日でも晴天時の約80%の紫外線が届いています。天気にかかわらず、毎日の紫外線対策が必要です。
お子さんの日焼け止めを選ぶポイントは次の通りです。
- 肌への刺激が少ない紫外線散乱剤を使用したもの
- 子ども用・低刺激タイプで、SPF15〜20、PA++〜+++程度を目安にする(数値が高すぎるものは肌への負担も大きくなります)
- 石鹸やボディソープで洗い流せるもの
外出の15分ほど前に塗り、耳の裏や足の甲など塗り忘れやすい部分にも忘れずに塗りましょう。お子さんは汗をかきやすく、せっかく塗った日焼け止めが落ちてしまうこともあるため、2〜3時間おきに塗り直すのがおすすめです。
正しい塗る量
実は、多くの方が間違えやすいのが「塗る量」です。目安はクリームタイプはパール2個分、液体タイプは1円硬貨2枚分です。

この量はかなり多く感じられ、べたつく原因にもなりますが、効果を十分に得るためには必要な量です。あわせて、髪の生え際・頭皮・首の後ろ・デコルテなども塗り忘れやすい部分なので注意してください。
プールに入るときの日焼け止め
プールや海に入るときは、汗や水に強い「ウォータープルーフ」タイプの日焼け止めを選びましょう。2024年12月から、耐水性を示す新しい表示基準が導入されています。
| 表示 | 基準 |
|---|---|
| UV耐水性★ | 合計40分の水浸後もSPF値が浸水前の50%以上を維持 |
| UV耐水性★★ | 合計80分の水浸後もSPF値が浸水前の50%以上を維持 |
軽く水遊びをする程度なら★、海やプールでしっかり遊ぶ場合は★★を目安に選ぶとよいでしょう。ただしこの表示はあくまで「水に浸かったとき」を想定したもので、タオルで擦ったり激しく動いたりすると効果が落ちてしまう点は覚えておいてください。
ラッシュガードを着用するのもおすすめです。

プールの水を汚さないよう、日焼け止めは無着色のものを選びましょう。ラッシュガードや日焼け止めの使用については学校ごとに取り決めが異なる場合があるため、事前に学校へ確認しておくと安心です。
まとめ
今回は、日焼けの仕組みから紫外線の種類、日焼けしてしまったときの対処法、日焼けを防ぐ方法、赤ちゃんと紫外線の関係、そしてお子さんの日焼け止めの選び方・正しい塗り方・プールでの対策まで、幅広くお話ししました。
日焼けは単に肌が赤くなるだけでなく、将来のシミやシワ、皮膚がんのリスクにもつながる、れっきとした皮膚のダメージです。特にお子さんの肌は大人よりもデリケートで紫外線の影響を受けやすいため、正しい知識で日々の対策を積み重ねることが将来の肌を守ることにつながります。
一方で、日光には体に必要なビタミンDを作るという役割もあるため、極端に避けすぎる必要はありません。適切な量の日焼け止めをこまめに塗り直しながら、上手に紫外線と付き合っていきましょう。
