トコジラミに噛まれました…
えぇぇ?
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
2023年に韓国に仕事に行ったのですが、朝足にかゆみを感じました。
見ると蚊に刺されたみたいな赤いものがぶつぶつができていて、異常にかゆいのです。
あまりにもかゆくて仕事に集中できないくらいで、ずっとボリボリかいてしまいました…
トコジラミに刺されたのですね。
皆さんにもトコジラミについて知ってもらいたくて原稿を作りました。
1トコジラミ
トコジラミは別名「南京虫」(なんきんむし)と言いますが、中国産の虫ではありません。
中国とか南京に関係ないのにナンキンムシっていうのはおかしい…となってトコジラミという名前になったらしいです。(何かの政治的圧力が働いたのでしょうか…)
トコジラミは名前の通り「床」(ゆか)(とこ)つまり「ベッドのしらみ」と思ってください。海外ではBed Bug (ベッドバグ)と呼ばれています。
日本にトコジラミがやってきたのは江戸時代です。
昔は住宅が密集している地域にいる一般的な虫だったのですが、1970年代以後殺虫剤が普及したため、一旦は日本からはほとんど撲滅しました。
でも最近、海外からの旅行者のスーツケースのキャスターの隙間とか手荷物に紛れ込んで日本に居付いて繁殖したため、再びトコジラミの被害が増加しています。
トコジラミという名前ではありますが、シラミではなくカメムシに属します。
体長は5ミリ位でよく間違えられるダニとは違い、肉眼でも十分に確認することができます。
空腹時は厚みがなく平たくて茶褐色をしているのですが、吸血すると赤黒い色になって丸くぷっくりと膨れ上がります。
トコジラミは幼虫でも体重の5倍位の血液を吸血するので、なかなかな量を吸血します。
夜寝ているときに吸血して吸血するとすばやく潜伏場所に戻ってしまうので、トコジラミの存在に気づかれないことがあります。
しかもトコジラミの成虫は1日3~6個産卵して、一生かけて200~500個も卵を産むのです。
産卵数がすごいですし繁殖力もすごいので、うっかり家に持ち帰ることは避けたいですね。
卵は1週間でふ化して幼虫になって、1ケ月で成虫になります。
温かい温度を好みますが、日本だと冬でも暖房がついている部屋だったりすると一年中生息が可能なのです。
2生息場所
家具やカーペット、たたみのへり、引き出しの隙間、床や壁の継ぎ目、衣類・かばん・放置された雑誌の中、などあらゆる隙間に潜り込みます。
私達が寝ているときに吸血するので,ベッド周りに生息することが最も多いです。
しかも物に付着して生息場所を拡大していくのです。
トコジラミ自体が壁の隙間や天井裏を移動していることもあります。
かくれんぼが特技??っていうくらい見つけるのも大変です。
ホテルなどから気づかずに持ち帰ってしまうと、それがきっかけで家庭内で繁殖することもあります。
3症状
トコジラミは吸血している間、血液が固まるのを防ぐために唾液を注入します。
私も刺された時、本当にかゆくてかゆくて「これがトコジラミのかゆみか…」と辛かったです。
5日くらいで治りました。
刺されやすいのは夜間で、狙われやすいのは腕とか足の寝ているときにパジャマから出ている部分です。
本当にかゆいくて市販薬では抑えられないレベルなので、刺された方はお近くの皮膚科を受診なさってくださいね。
4ダニとの見分け方
寝ているときに刺されたらダニかトコジラミのどちらなのか、気になる方もおられると思います。
ダニは肉眼だと見つけられませんので、肉眼で認識できるサイズの虫だったらダニ以外と言えそうです。
トコジラミは動きが素早くて、吸血するとさっさと隠れるのですが、吸血した大部分を糞として出すので、血が混じった赤い糞を見つけたら、トコジラミの可能性が高いです。
また明るい状態だとトコジラミを見つけるのは難しいですが、部屋を暗くすると出てきます。
夜に30分くらい電気を消して、再び電気をつけたときに探すと見つけやすいです。
5旅行中気をつけるポイント
①まずはホテルについたら隙間をチェックしましょう。
グレードの高いホテルに泊まったからといって油断はできません。
②念のため駆除剤を持参しましょう。
トコジラミは飛べないので素早く歩きまわりますが、有効成分が入ったパウダーを床にまいてベッドの隙間にはスプレーをするなどしてください。
③電気をつけたまま寝ます。
トコジラミは明るい場所が苦手なので、電気をつけたままにして寝たら刺されるリスクを減らせます。
④ホテルから持ち帰らないようにします。
荷造りは明るい場所でして、帰宅後もスーツケースにトコジラミがくっついていないかチェックしてください。
6駆除対策
トコジラミは一旦繁殖すると大変で、駆除するのに労力もお金もかかってしまいます。
先程ご説明したように、生息場所をどんどん拡大していくので被害が広がっていきます。
発見してしまったら掃除機で吸い取ったり熱湯洗濯も大事ですが、もう大量に繁殖していたら個人での駆除は残念ですが難しいです。
困ったときは駆除御者に電話するしかありません。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。