

ヒルドイドは確かに保湿剤として効果ですね。
では今回はヒルドイドについてお話しましょうか!

お願いします。
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
世の中にはたくさんの保湿剤がありすぎて何を使っていいかわからなくなりますよね?そこで今回は皮膚科でよく処方されるヒルドイドについて徹底解説します!
ヒルドイドを顔に使うと後悔するという噂は本当?
ヒルドイドを顔に使うと「将来たるむ。後悔する。」という噂は誤解です。
- ヒルドイドには線維芽細胞増殖抑制効果がありますが、これは過剰なコラーゲンの生成を抑えるものであり、肌の健康維持に必要な成分まで抑制するものではありません。
- ヒルドイドが肌のたるみを引き起こすという科学的な根拠はないため、安心して使用できます。
- ヒルドイドは保湿効果、血行促進効果、抗炎症効果があり、肌の状態を改善する可能性がありますが、美容効果は認められていません。
- ヒルドイドは医療用医薬品であり、医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。自己判断で使用することは推奨されません。
- 美容目的での使用は国の医療費を圧迫するので、避けるべきです。
ヒルドイドは、適切に使用すれば、肌の健康を保つための有用な薬です。不安な場合は、医師に相談しましょう。
ヒルドイドの正しい使い方
ヒルドイドを塗る量
日頃診察をしていて「保湿剤の塗り量が明らかに足りない!」という方がいらっしゃいます。保湿剤を正しく使えてる方って以外に少ないです。
軟膏クリームは人差し指の先端から第一関節まで出す量で手のひら2枚分の面積を塗ることができます。
ローションは1円玉の大きさで手のひら2枚分です。フォームはフォームのキャップと同じくらいの泡を出すと手のひら4枚分の面積に使えます。
皮膚がてかるくらい、ティッシュペーパーをふんわり落としたときにペタっと張り付くくらいがちょうどいい量だと思って下さい。
ヒルドイドの塗り方
ヒルドイドは、1日2回程度、患部に優しく塗布します。洗顔後や入浴後など皮膚が水分を多く含んでいる時に使用するとより効果的です。ヒルドイドには、ソフト軟膏、クリーム、ローション、フォームの4つの剤型があり、使用感や部位によって使い分けられます。傷口には使用しないように注意してください。
ヒルドイドを塗る順番
ステロイドと併用する場合は、先にヒルドイドで保湿をしてから、幹部にステロイドを塗ってください。

ヒルドイドを塗る期間
乾燥がよくなったらすぐに保湿をぬるのをやめてしまう方が非常に多いのですが、良くなっても2~3週間は続けて保湿クリームを使い続けたほうがまた乾燥が起こりにくくなります。しっかり保湿をして肌荒れのない状態を保つことで将来の肌質改善につながります。是非、乾燥肌の方は毎日保湿をなさってみてください。
ヒルドイドとは?
保湿剤は大きく分けて以下の2種類あります。
この2種類は乾燥の度合いによって使い分けています。
ヒルドイドは「ヘパリン類似物質」という一般名のほうも有名で、ジェネリックでもらっている方はヘパリン類似物質のほうが馴染みがあるかもしれませんね。
ジェネリックを含めると本当にたくさんの種類があるのですが、大きく分けるとヒルドイドは4つの製品が販売されています。
今回はそこのところを解説してきたいと思います。皆さんが上手に保湿が出来るようになると嬉しいです。
2 ヒルドイドの種類
ヒルドイドソフト軟膏
クリーム状で他のものよりも保湿力が高く刺激が少なくてどんな肌にも使えます。少しべとつくので水で洗い流されにくいです。冬で乾燥がひどい時や他の保湿剤で刺激を感じやすい時、お子さんで角質の水分を保つ能力が少ない場合に向いています。
ヒルドイドクリーム
クリーム状で軟膏とローションの中間的な感じのものです。ヒルドイド軟膏よりも皮膚浸透性が高いのでアトピー性皮膚炎の方には一番効果が高いです。水で洗い流されやすいので、ヒルドイド軟膏ではベタつくけどローションでは乾燥が改善されない時に使うのがオススメです。
ヒルドイドローション
さらっとした使い心地で化粧品の乳液に近いです。広範囲に塗り拡げたい時に便利です。ベタツキ感もなくて伸びもいいので、頭にも使いたい時や夏で乾燥がそんなに酷くない時、ベタつきが苦手な方に向いています。
ヒルドイドローションをジェネリックにすると、ビーソフテンローションというほぼ化粧水みたいなものに変わります。すごくとろっとした化粧水です。
ヒルドイドフォーム
これは一番新しい商品で2018年9月に販売されました。泡で出てくる保湿剤でヒルドイドローションよりもさらに水分が多くなっているのでベタつきにくいです。だから夏で大量に汗をかくときや広範囲に使用したい時に向いています。
おすすめの使い分け
まとめると…
朝はサラッとしたいけど夜はしっとりさせたいときは、朝ヒルドイドローション、夜ヒルドイドソフト軟膏などの組み合わせするのもありですね。
季節
ヒルドイドの剤型は、季節によって使い分けるのがおすすめです。湿気の多い季節には、べたつきにくいローションやフォームが使いやすく、乾燥する季節には、油分の多いソフト軟膏が推奨されます。クリームは一年を通して使いやすいため、使い分けが難しい場合はクリームを使用すると良いでしょう。ヒルドイドは、保湿効果があり、肌のバリア機能を改善する効果が期待できます。
時間
ヒルドイドの剤型は、時間帯によって使い分けるのがおすすめです。忙しい時間帯には、短時間で塗布しやすいフォームやローションが便利です。時間に余裕がある場合や入浴後には、ソフト軟膏やクリームなど、油分を多く含む製剤でしっかりと保湿するのが良いでしょう。夜にしっかり保湿したい場合には、ソフト軟膏を、日中などベタつきを避けたい場合には、クリームやローションを使い分けるのがおすすめです。ヒルドイドは保湿効果があり、肌のバリア機能を改善する効果が期待できます。
部位
ヒルドイドの剤型は、塗布する部位によって使い分けるのがおすすめです。顔面には、クリームやローションの使用感が良いでしょう。頭皮など毛が生えている部位や、広範囲に塗布する場合は、伸びやすいフォームやローション、スプレーが適しています。手、肘、膝、かかとなど、しっかりと保湿したい部位には、ソフト軟膏やクリームが適しています。乾燥が気になる場合はソフト軟膏を、ベタつきが気になる場合はローションやクリームを選ぶとよいでしょう。これらの使い分けにより、ヒルドイドの効果を最大限に引き出すことができます。
ヒルドイドの効果
保湿効果
ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質は、水分子を引き寄せて保持する能力があり、皮膚に浸透することで保湿力を発揮します。角質層の水分を保持する機能を改善し、肌が本来持っている保湿能力を取り戻す効果が期待できます。肌表面からの水分の蒸発を防ぐだけでなく、肌の内側から保湿してくれるため、肌のバリア機能の改善や乱れたターンオーバーを整える効果も期待できます。また、持続的な保湿効果があるため、多くの保湿剤に使用されています。
血行促進
ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質には、血液を固まりにくくする作用があり、血行を促進する効果があります。これにより、しもやけなどの血行障害からくる痛みが緩和されたり、外傷後の腫れや血腫(皮下出血)、筋肉痛、関節炎などの症状も緩和されます。また、血行促進によって肌の新陳代謝が促され、皮膚の赤みや炎症が抑えられる効果も期待できます。
抗炎症作用
ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質は、炎症時に活性化する「ヒアルロニターゼ」の働きを抑制することにより、抗炎症作用を発揮します。ヒアルロニターゼはヒアルロン酸を分解し、肌の保湿力を低下させますが、ヘパリン類似物質はこれを抑え、肌の炎症を鎮めます。この抗炎症作用は、筋肉痛や関節炎などにも効果が期待できます。また、ヘパリン類似物質は血行やリンパの流れを良くすることでも抗炎症作用を示すとされています。ヒルドイドは、この穏やかな抗炎症作用により、様々な炎症性疾患に使用されています。
繊維芽細胞増殖抑制作用
ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質には、線維芽細胞の過剰な増殖を抑制する作用があります。線維芽細胞は、通常はヒアルロン酸やコラーゲンなどを生成し肌を美しく保つために重要な細胞ですが、炎症時に過剰に増殖すると、コラーゲンも過剰に生成され、ケロイドや肥厚性瘢痕の原因となります。ヘパリン類似物質は、この過剰な線維芽細胞の増殖を抑えることで、これらの症状の改善に効果が期待できます。
ヒルドイド使用の注意点
ヒルドイドの副作用
ヒルドイドは一般的に副作用のリスクが低いとされていますが、まれに皮膚炎、かゆみ、赤み、発疹、過敏症、紫斑などの副作用が出ることがあります。初めて使用する際は、狭い範囲に塗り、皮膚に異常が出ないか確認することが推奨されます。副作用と思われる症状が出た場合は、ヒルドイドの使用を中止し、医師に相談することが重要です。これらの症状は、発生する確率が0.1~5%未満と低いものの、注意が必要です。
傷口を避ける
ヒルドイドは、有効成分であるヘパリン類似物質に血液を固まりにくくする作用があるため、傷口への使用は避けるべきです。傷口に塗布すると、出血を助長する危険性があります。ヒルドイドは傷跡の治療に使用されることがありますが、傷が完全に治ってから使用するようにしてください。出血している箇所やジュクジュクした状態の傷口への使用はNGです。血行促進作用もあるため、傷口に使用すると治癒を遅らせる可能性もあります。
美容目的はNG
ヒルドイドは医療用医薬品であり、美容目的での使用は推奨されていません。ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質には保湿効果があるため、アトピーや乾燥による皮膚トラブルの治療で処方されることがありますが、薬剤としての保湿効果は認められていません。近年SNSを中心に「ヒルドイドは肌トラブルに効果がある」という情報が拡散されていますが、承認されている効果効能以外の目的での使用は避けるべきです。また、美容目的でヒルドイドを使用することは、副作用のリスクも伴うため、推奨されません。美容目的で保湿クリームなどの代用として使用するのは適切ではありません。
持病をお持ちの方や他の薬を服用中の方は医師へ相談
ヒルドイドの使用にあたり、持病をお持ちの方や他の薬を服用中の方は、医師に相談することが重要です。特に、血友病や血小板減少症などの出血のリスクが高い病気をお持ちの方は、医師や薬剤師に相談する必要があります。ヘパリン類似物質には血液を固まりにくくする作用があるため、これらの疾患を持つ方が使用すると、出血傾向を助長する可能性があります。また、他の薬との併用によって、相互作用が生じる可能性もあるため、必ず医師に相談し、指示に従って使用してください。自己判断での使用は避けましょう。
ヒルドイドが向いている人と向いていない人
ヒルドイドが向いている人
ヒルドイドは、乾燥肌の方や、アトピー性皮膚炎、皮脂欠乏症などによる皮膚の乾燥トラブルがある方に向いています。しもやけ、傷や火傷の後の皮膚のつっぱり、しこり、捻挫や打撲後の腫れ、筋肉痛や関節痛 などにも効果が期待できます。また、ケロイドや肥厚性瘢痕 の治療や予防にも用いられます。ヒルドイドは、保湿効果、血行促進効果、抗炎症作用、線維芽細胞増殖抑制作用など、様々な効果があるため、幅広い症状に対応できます。ただし、ヒルドイドは医療用医薬品であり、美容目的での使用は推奨されていません。
ヒルドイドが向いていない人
ヒルドイドは、以下のような方には向いていない、または注意が必要です。
- 出血している箇所やジュクジュクした状態の傷口がある方。ヒルドイドには血液を固まりにくくする作用があるため、出血を助長する危険性があります。
- 美容目的での使用を考えている方。ヒルドイドは医療用医薬品であり、美容目的での使用は推奨されていません。
- 血友病や血小板減少症など、出血のリスクが高い病気をお持ちの方。ヒルドイドの血行促進作用により、出血傾向を悪化させる可能性があります。
- 過去にヒルドイドで過敏症の症状が出た方は、再度使用するとアレルギー反応を起こす可能性があります。
3 ヒルドイドの闇
2014年のある時、突然SNSや雑誌で「美容には何万円もする高級クリームよりヒルドイドがいい」とヒルドイドがもてはやされたのを覚えている方もいるかもしれません。
この保険でもらえるヒルドイドが1本何万円もする美容クリームよりもいいと発信した方がいて、それがきっかけになり美容目的でヒルドイドを処方してほしいという方が一気に増えました。ヒルドイドの処方が増えると当然医療費が増加します。その額はなんと60億円とも言われ、ついには新聞に「高級美容クリームより処方薬希望。 医療費増。乏しい危機感」と記事が掲載されました。ヒルドイドは「保険の効く美容クリームで」ではなく、そのような使い方は医療費の無駄です。保湿剤が内科・外科などを含めた日本の医療費全体の0.4%をしめたわけです。
この問題があってからヒルドイドを大量に処方することはできなくなりました。1ケ月に処方できる量は県によっても違うようです。かゆみを感じる乾燥肌の方は毎日保湿を塗り続けたほうがいいです。
まとめ
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。