【その噂信じちゃダメ！】ステロイドとは？副作用、軟膏の強さの一覧、塗り薬と飲み薬について皮膚科医が分かりやすく解説

みなさんこんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。

ステロイドの巷で言われている噂についてお話します。

皆さんはステロイドの塗り薬ってどのようなイメージをお持ちでしょうか？？

ステロイドは湿疹の治療で皮膚科でよく処方されますし、アトピー性皮膚炎の治療のガイドラインでも最も重要な薬に位置づけられています。

このようにとても効果がある薬なのですが、SNSで誤った情報が発信されてしまったり間違った使い方のせいで

「ステロイドは怖いから使いたくない」

という方がいらっしゃいます。

でも怖いからといって少ししか使わなかったりすぐに塗るのをやめてしまうと、十分な効果が得られません。

安全に効果的に使っていただくためにステロイドについてちゃんと説明しようと思います。

ステロイドは適切に使っていただければ、副作用をほとんど気にせず効果を最大限に引き出せるとてもいい薬です。

１ ステロイドってどんな種類があるの？

日本では強い順に

・ストロンゲスト

・ベリーストロング

・ストロング

・ミディアム

・ウィーク

の５つのランクに分類されています。

主に血管収縮作用の強さによって分類されています。

ただ薬のランクが症状に見合ったものでないと効果がないので、市販のものを購入する場合は薬剤師さんに相談してから購入するようにしてください。

 

 

 

 

 

2 体にもらったステロイドを顔につけてもいいの？

体の場所によってステロイドの吸収率は違います。

腕の薬の吸収のしやすさを1とすると顔は13倍、陰部はなんと42倍も薬の吸収率がいいのです。

このように薬が吸収されやすくて副作用が出やすい部位の使用は1ランク弱いステロイドを使わないといけません。

 

 

 

 

お子さんの場合も皮膚が薄いので大人よりもランクを下げて処方する場合が多いです。

3 どのくらい塗るのが適切なの？

これも診察室で患者さんからよくご質問をうけるのですが、大体の方が間違った塗り方をされています。

これではせっかく病院に来て薬をもらったのに効果がありません。

 

 

 

 

 

ティッシュペーパーを上から垂らしたときにピタッと張り付くくらいが適量です。

たまに「ステロイドの副作用が怖いから、薄く塗ってます」という方がいらっしゃいますが、強弱は薬の塗り方ではなくランクでつけるものなので、これは間違った塗り方です。

4 保湿剤と混ぜて処方されると効果が落ちるのか

この質問もよくうけるのですが、これは誤解です。

数十倍まで薄めればさすがに弱まりますが、大体ステロイドと保湿剤は１対１で混ぜることが多いので、効果が少なくなったり副作用が少なくなることはありません。

ではどうしてよく混ぜて処方するかというと、軟膏が小さくて塗りづらいからです。

 

 

 

 

 

体全体に湿疹がある方が塗りやすいように混ぜて処方しているのです。

なので混ぜて処方をもらっている方は早めに薬を取りに行ってくださいね。

5 ステロイドを使うと緑内障になるの？

目の周りにステロイドを塗り続けていると、眼圧が上がって緑内障を発症するリスクはあります。

 

 

 

 

なので目の周りの湿疹を繰り返す場合は、一時的にステロイドを使って良くなったらステロイド以外の薬に切り替えるということをよくします。

6 ステロイドの実際の副作用

 

 

 

 

 

7 どうしたら副作用を減らせるのか

まずステロイドの副作用について間違っている部分をしっかり確認してみて下さい。

基本的にはステロイドの副作用は一時的なもので、むやみに怖がらなくても大丈夫です。

 

 

 

 

 

また湿疹の強さに応じてステロイドのランクを変える必要があります。

ちょっとした湿疹に強いステロイドを使う必要はありません。

逆に湿疹を繰り返してしまう場合は、湿疹が消えたように見えてもまだ炎症の火種がくすぶっていることがあります。

メンテナンスのためにステロイド以外の保湿クリームや、プロトピック・コレクチム・モイゼルとなどのステロイドではない他の薬に切り替えることもあります。

いちばん大事なことはご自身の判断で塗る量ややめるタイミングを決めないことです。

皮膚科でもステロイドは使いますが「ステロイドは使いたくない」という患者さんには無理強いしません。

 

 

 

 

どうして使いたくないのかをお伺いし、ステロイドではない他の治療をご提案して治療をしますので、　使いたくない方は遠慮なく主治医の先生に仰ってくださいね。

動画でも解説していますので、是非ご覧ください。