【アトピー性皮膚炎の非ステロイド塗り薬3選】副作用が苦手な方のためのステロイドを使わない治療、プロトピック コレクチム モイゼルト 軟膏について皮膚科医が解説

かゆい(痒い)
アトピーなんですが、ステロイドは使いたくないんです…
玉城有紀
玉城有紀

大丈夫ですよ。ステロイド以外にも

アトピーに使えるお薬がありますよ。

そうなんですね!ぜひ教えてください♪

みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。

今日お話する内容は,ガンとほくろの違いについてです。

1 プロトピック軟膏
2 コレクチム軟膏
3 モイゼルト軟膏
4 3つの薬の共通点

アトピー性皮膚炎の治療薬で最も有名なものはやはりステロイドです。

とても効果が高いですし60年以上の歴史もあるのでよい薬です。

ただ顔に長期的に使うと皮膚が薄くなる、赤くなる、血管が拡張するなどの副作用が見られることがあります。

実はステロイド以外の塗り薬もあるので今日は他の塗り薬についても徹底的に解説してみたいと思います。

1999年にプロトピック軟膏が登場して以降しばらく塗り薬で新しいものが出ていなかったのですが、2020年に約20年ぶりにアトピー性皮膚炎の新薬としてコレクチム軟膏、2022年にはモイゼルト軟膏が登場しました。

ステロイドとは異なる作用機序でアトピー性皮膚炎の炎症を抑える塗り薬です。

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1 プロトピック軟膏

プロトピック軟膏はステロイドではない塗り薬です。

体の過剰な免疫反応を抑えてかゆみや炎症を抑えます。

プロトピックの成分の粒が結構大きいので、皮膚炎があるような状態の悪い病気のところからは吸収されますが正常な皮膚からはほとんど吸収されません

 

 

 

 

なので効くべきところには効いて、良くなったところやもともと正常な皮膚には吸収されない」という塗り過ぎの心配のいらない薬いえます。

ただ分子量が大きいので、顔や首の皮膚が薄いところは効果が出やすいですが体のように皮膚が分厚いところは少し効果が出にくいです。

プロトピック軟膏は長い間使っても皮膚が薄くなったりするといった副作用が起きないのでとてもいい薬ですが、残念ながら使い始めるとヒリヒリしたり火照ったり痒くなったりなどの刺激を感じることがあります。

そうすると「症状が悪くなった」とか「自分には合わない薬だ」と思ってしまわれる方がいます。

 

 

 

 

使い始めたときのこの刺激はほとんどの方が感じるものなのですが、1週間位塗り続けていただくとこの副作用はほとんど感じなくなってきます。

どうして刺激を感じるのかというと、プロトピック軟膏の有効成分のタクロリムスが皮膚から吸収されると知覚神経に働きかけ刺激やかゆみの元となる物質が大量にでます。

だからヒリヒリ感じます。

でも塗り続けていると、知覚神経が慣れてきて反応しなくなってきますのでご安心ください。

あとはジュクジュクした皮膚にプロトピック軟膏をつけると刺激を感じやすいです。

そういうところはまずはステロイドを使って少し皮膚の状態を良くしてから使うことが多いです。

 

 

 

 

 

またお風呂上がりの体が火照った状態でつけるとより刺激を感じやすいので、入浴後のほてりがとれてから塗るようにしてください。

大人の方で大人用でヒリヒリが強い方は子供用を処方することもあります。

さらに刺激が強いときは先に保湿クリームで肌を保護してから塗ると刺激を感じにくいです。

初めて使うときはいきなり広い範囲に塗ると刺激を感じやすいので、はじめは狭い範囲から試してくみてください。

一番大切なことは自分では「もう良くなったかな」と思ってもすぐに塗るのをやめないことです。

すぐに塗るのを止めてしまうと、炎症の火種がくすぶっていてまたぶり返してしまうかもしれません。

 

 

 

 

 

プロトピックは濃度が0,03%と0,1%があります。

2歳から15歳の方は0,03%、16歳以上の方はどちらの軟膏も使用できますが、プロトピックの外用薬は1回に塗る量の上限が決められています

大人の場合は0.1%112回塗ります。15gなので1回に使う量は1本までとなっています。小児の場合は0.03%小児用を112回塗ります。15gまで(年齢によって減量)となっています。

2 コレクチム軟膏

コレクチム軟膏もプロトピックと同様、ステロイドではない塗り薬です。

世界初の外用JAK阻害薬と言われ、2020年から処方可能となりました。

ヤヌスキナーゼという酵素を阻害することによって、アトピー性皮膚炎に関連する様々なサイトカインを阻害します。

プロトピック軟膏で見られるような皮膚の刺激感がなく使いやすい薬です。

コレクチム軟膏は0,25%と0,5%がありますが、どちらも6ケ月以上の方は使うことができます

 

 

モイゼルトとプロトピックは2歳以上しか使えないので、ステロイドから切り替える際に一番小さい時期から使える薬がコレクチムです。

プロトピックと同様に1回の使用量は5gまでとなっています。

3 モイゼルト軟膏

2022年と一番新しく登場したモイゼルト軟膏は、ホスホジエステラーゼ4阻害薬です。

こちらもステロイドではありません。

アトピー性皮膚炎はサイトカインやケモカインといった物質が関与しているのですが、モイゼルト軟膏はこの物質を抑制することで皮膚の炎症やかゆみを抑えて皮膚炎を治します。

ステロイドで見られる長期使用による血管拡張や皮膚が薄くなることもありませんし、タクロリムス軟膏のように使い始めのひりひり感もありません

ただアトピー性皮膚炎を治す薬は免疫細胞の過剰な活性を抑えることで効果が出るので、まれにニキビ、ヘルペス、とびひなどの皮膚表面の感染症を起こすことがあります。

モイゼルト軟膏は0,3%と1%があり2歳以上から使えますが、15歳以上の方は濃度の濃い1%しか使えませんのでご注意ください。

 

 

 

大体3割負担の方で1本450円くらいのお薬です。

モイゼルトはプロトピックやコレクチムのように1回の使用量の制限はありません。

4 3つの薬の共通点

塗り方です。

 

 

 

 

 

人差し指の先端から1つ目の関節まで出すとワンフィンガーチップユニットで大人の手のひら2枚分に相当します。

ティッシュペーパーを上からふんわり落としたときにペタッと張り付くくらいが適量です。

ステロイドの副作用で見られる皮膚萎縮や毛細血管拡張が起こらないです。

ステロイドは部位によって薬の吸収率が異なるので部位ごとに薬を変える必要がありますが、使い分けもしなくていいので便利です。

アトピー性皮膚炎の治療目標は「症状があってもわずかで、日常生活の支障がなく、薬物療法をあまり必要としない状態を維持すること」です。

そのために症状がまた出てくるのを防ぐプロアクティブ療法をお勧めすることもあります。

「プロ」は英語で「前もって」、「アクティブ」は英語で「動く」という意味です。

つまり炎症を抑えるために前もってやるという治療法です。

 

 

 

 

具体的にお話すると湿疹があるときはステロイドを多めに1日2回塗ります。

湿疹がなくなったら良い状態を保つために1日1回塗る、1日おきに塗るなどして徐々にステロイドを減らしていきます

そして今回お話させていただきました、プロトピック・コレクチム・モイゼルトルなどのステロイド以外のに切り替えます。

最終的には保湿クリームのみでいい状態を保てるようにするのが目標です。

まとめ

プロトピック:2歳から15歳の方は0,03%、16歳以上の方はどちらの軟膏も使用できますが、1回に塗る量の上限が決められていて1回に使う量は1本までとなっています。1本460円くらいで今回ご紹介した中では一番お安いです。

コレクチム軟膏:0,25%と0,5%がありますが、どちらも生後6ケ月以上の方は使うことができます。プロトピックと同様に1回の使用量は5gまでとなっています。1本700円くらいなのでこの3本の中ではちょうど真ん中のお値段です。

モイゼルト軟膏:0,3%と1%があり2歳以上から使えますが、15歳以上の方は濃度の濃い1%しか使えません。塗る量の制限はありませんが1本1500円と高い薬です。

動画でも解説していますので、是非ご覧ください。

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