【アトピー性皮膚炎】アトピー の原因と治し方、一般的な薬ステロイド について皮膚科医が完全解説!!

かゆい(痒い)
この痒いぶつぶつはアトピーでしょうか…
玉城有紀
玉城有紀

アトピーにも診断基準があるので、痒い湿疹

全てがアトピーというわけではないんですよ。

そうなんですね。じゃアトピーって何ですか?

みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。

今日お話する内容はアトピー性皮膚炎についてです。

1 アトピーの診断基準
2 年齢別の特徴
3 アトピーの原因
4 合併症
5 どうしてかゆみがとまらないのか
6 ステロイドについて
7 治療
8 スキンケアのコツ

皮膚科には痒みに悩む患者さんがよくいらっしゃいます。

その際「私の症状はアトピーですか?」とよく聞かれます。

アトピー性皮膚炎をどのように診断するのかあまり知られていないので、解説してみたいと思います。

1 アトピーの診断基準

日本皮膚科学会で「アトピー性皮膚炎の定義・診断基準」というものが作られていて、それに従って診断をしています。

簡単に言うとアトピーとは、皮膚の乾燥やバリア機能に異常があって少しの刺激で痒みがある湿疹ができて良くなったり悪くなったりを繰り返す病気のことです。

 

 

 

 

ものすごく痒みが酷いので、掻き壊し▶炎症が起きる▶皮膚のバリア機能が壊れる▶掻き壊す・・と延々とこの悪循環を繰り返してしまいます。

ご両親もアトピーの方が多くて、喘息・アレルギー性鼻炎・結膜炎を合併しやすいです。

診断基準としては3つあります。

1:痒い 

2:特徴的な皮膚症状 

3:生後1歳くらいまではでは2ケ月以上、1才以上だと半年以上慢性的に湿疹を繰り返す 

この2番目の特徴的な皮膚症状についてもっと具体的にどんなものなのか説明をしますね。

 

 

 

 

まずは見た目なのですが、最初は赤くてかさかさして細かいぶつぶつや小さい水疱ができて、掻きむしってしまうと皮膚がめくれてかさぶたになります。

これが酷くなると、じゅくじゅくした液体が出たりぞうさんの皮膚みたいにゴワゴワしたアツい皮膚になって、色素沈着したり逆に色が白く抜けてしまうこともあります。

左右対称に右側にも左側にも同じように痒く赤くなるのも特徴です。

2 年齢別の特徴

どの時期でも痒くて季節によって良くなったり悪くなったりを繰り返す点は同じなのですが、乳幼児期・思春期・大人の3つに分けて年齢によってよく見られる症状の特徴があります。

2才以下のお子さんの症状:頭や顔にかさかさ赤い痒いものができてだんだん体にも広がります。

小児期の症状:皮膚全体が乾燥して光沢ががってきて少しごわごわしてきます。膝の裏側、肘の内側、手首足首に症状がでやすく耳が切れたりします。

子供の頃にアトピーがあっても自然に7割位の方は治りますが、残りの3割の方が大人になってもアトピーを持ち続けます。

大人の症状:子供のころより一層ごわごわした皮膚になります。眉毛の外側3分の1が薄くなり、かきすぎて首が黒くなったり、精神的なストレスで悪化することもあります。

 

 

 

 

 

3 アトピーの原因

なぜアトピーになるのか決定的な原因は残念ながら分かっていませんが、様々な原因が複雑に絡み合ってできると言われています。

アトピックスキンと言って遺伝的な皮膚の弱さが原因のこともあります。

 

 

 

 

他にも皮膚のバリア機能の低下によって、下着とかの少しの刺激でも痒みを感じやすくなります。

またホコリ、ハウスダスト、湿度、気候、精神的ストレスなどいろんな事が悪化因子になります。

 

 

 

 

例えば暖房の効いた室内は湿度が低下しますので肌を乾燥させます。

肌が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下するので、それだけでも痒みが出てきます。

アトピー性皮膚炎の方は汗に含まれる物質に対してアレルギーがある事があり、汗をかくと痒くなる方もいます。

4 合併症

大人でアトピーが重症な方は10%くらいの方が白内障をお持ちです。

 

 

 

痒くて目の周りをかいてしまうので、刺激になって網膜剥離を起こす方もいらっしゃいます。

 

 

 

 

他にもカポジ水痘様発疹症というウィルスの病気や、子供にみられる水いぼやとびひが大人になってもかかったりします。

5 どうして痒みがとまらないのか

アトピーの痒みが止まらなくなるのはどうしてでしょうか?

 

 

 

 

これは痒みを感じる知覚神経が表皮と真皮の間で増えるからなのです。

アトピーではない方の痒みの神経は、表皮と真皮の境目に存在しています。

アトピーの方は痒みを伝える神経が表皮の上の方にまで増えてしまうのです。

そうなるとちょっと皮膚を掻くことが刺激になって、敏感になっている痒みの神経が反応して強い痒みを感じます。

なので

かゆみを感じる▶掻き壊す▶かゆみを伝える神経がのびる▶かゆみが悪化▶掻き壊す

の悪循環が止まらなくなります。

 

 

 

 

これを治すのがステロイドを塗ったり保険でできる光線治療です。光線治療はこの増えて伸びた痒みの神経を減らしてもとに戻すので痒みに効きます

6 ステロイドについて

皆さんはステロイドの塗り薬ってどのようなイメージをお持ちでしょうか?

皮膚科でよく処方されますし効果もある薬なのですが、SNSで誤った情報が発信されてしまったり間違った使い方のせいで

「ステロイドは怖いから使いたくない」

という方がいらっしゃいます。

でも怖いからといって少ししか使わなかったりすぐに塗るのをやめてしまうと、十分な効果が得られません。

安全に効果的に使っていただくためにステロイドについてちゃんと説明しようと思います。

ステロイドは適切に使っていただければ、副作用をほとんど気にせず効果を最大限に引き出せるとてもいい薬です。

 

 

 

 

特に小さいこどものアトピーを無治療で放置してしまうと、家の中のアレルゲンが皮膚から吸収されて過分になりアレルギーを起こします。小さい頃からしっかり肌のバリア機能を整えるため治療することが必要です。

ステロイドはもともと体の中にある副腎という臓器から作られるホルモンのことで、これを人工的に作ったものがステロイドの塗り薬です。

ステロイドは炎症を抑える効果があるよい薬です。

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7 治療

治療は

1.外用 

2.痒み止めの内服 

3.保険でできる光治療

が基本です。

この3つを組み合わせて痒みの湿疹が出ないようにしていきます。

1.外用薬

皮膚が痒くて赤い時はステロイドを使うのが第一選択です。

湿疹の程度に応じてステロイドのランクを調整して、中途半端なコントロールや副作用を起こさないようにするのが皮膚科医の仕事だと思います。

ステロイドには塗り方にコツがあります。

アトピー性皮膚炎の方はよくなったように見えても、炎症の火種が内部に残っていることがあります。ですから治ったように見えてもお薬を塗り続けないといけません。

これをプロアクティブ療法と言います。

「プロ」は英語で「前もって」、「アクティブ」は英語で「動く」という意味です。

つまり炎症を抑えるために前もってやるという治療法です。

 

 

 

 

具体的にお話すると湿疹があるときはステロイドを多めに1日2回塗ります。

湿疹がなくなったら良い状態を保つために1日1回塗るかステロイド以外の薬に切り替えます。

プロアクティブ療法が目指すのは、ステロイドの副作用が出にくいように量を減らしていき、最終的には保湿剤だけでコントロールできることです。

塗り方やもう塗るのをやめてもいいのかは主治医の先生にしっかり聞いてやってみてくださいね。

8 スキンケアのコツ

お湯が熱いと痒みが出やすくなるので、お風呂やシャワーは熱すぎない38度くらいがおすすめです。

 

 

 

 

洗うときはたっぷりの泡で手のひら全体で優しく洗います。

タオルでゴシゴシ洗う方がいますが、もともとバリア機能が弱いのでゴシゴシ洗うのは刺激になるのでやめてください。

 

 

 

 

お子さんの場合、首やおしり、わきの下、耳など泡が残りやすい場所はすすぎ残しがないようにしっかり洗い流しましょう。

刺激が少ないものであれば固形、液体、泡タイプのどれを使っても構いません。ポイントは泡立てることです。

まとめ
・アトピーは「掻き壊し▶炎症が起きる▶皮膚のバリア機能が壊れる▶掻き壊す」を繰り返す病気
・アトピーは様々な原因が複雑に絡み合ってできる
・アトピーの方は痒みを伝える神経が表皮の上の方にまで増えるため、少し皮膚を掻くだけで刺激になる
・小さい頃から肌のバリア機能を整えるためアトピーは治療が必要
・治療は外用、痒み止めの内服、保険でできる光治療が基本

動画でも解説していますので、是非ご覧ください。

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