気になりますね…では今回は水虫の薬や予防法
についてお話しますね。
よろしくお願いします!
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
夏になると、足が痒いんです・・と病院にいらっしゃる方が増えます。
ということで今日のお話する内容は水虫についてです。
1 水虫とは
日本人の水虫患者さんは約2500万人もいらっしゃいます。
実に5人に1人が足水虫にかかっているのです。
爪の水虫は10人に1人がかかっています。
カビの一種でもある水虫菌が皮膚の角質に寄生することによっておこる皮膚の病気です。
体にもできますが9割が足にできます。
足に繁殖しやすのは、靴を履くので足が蒸れて菌にとって過ごしやすい高温多湿な環境を作るからです。
ではそもそも水虫って何なのでしょうか?
水虫は真菌つまりカビのことで、足以外にも水虫はできます。
一般的には足の指の間がジュクジュクしたり、痒くなったり白くふやけたりしている方が多いのですが、かかとの角質が固くなったり、小さい水ぶくれが足の裏にできることもあります。
皆さん、水虫かもって思ってても放置してたりしてませんか?
しかも水虫かもしれないって市販薬使ったりしてませんか?
水虫に似てるけど実は水虫ではない疥癬とか掌蹠膿疱症・汗疱という病気もあるのでご注意下さい。
水虫は命に関わるものではないのですが、人によっては命に関わることもあるのはご存知でしたか??
特に糖尿病があると細菌感染を起こしやすくなります。
知覚が鈍ってしまい痛みを感じにくくなるので、かなり悪化してから受診される方もいらっしゃいます。
そうすると本当に酷い方だと、足が壊死しかかっていて切断する方もいらっしゃいます。
入院して治療をしても酷い細菌感染を起こすと壊死性筋膜炎になり死に至ることがあります。
2 水虫はどこに潜んでいるのか
皮膚は外側から表皮・真皮となっていますが、表皮の一番外側に角質細胞と言われる平べったい死んだ細胞がれんがみたいに積み重なっています。
角質細胞は最終的にはアカとなって剥がれ落ち、これが皮膚のターンオーバーと呼ばれるものです。
水虫菌は普段は角層に潜んでいてケラチナーゼというタンパク質を分解する酵素を出して角質細胞を溶かし増えていきます。
角質は先程申し上げた通り死んだ細胞の集まりなので、ここで水虫菌が増えている間は症状はありません。
しかし水虫菌が増えながらどんどん角質の下まで進んでいくと、やがて顆粒層というもっと真皮に近い層に接触します。
3 水虫薬の効果的な塗り方
みなさん、水虫の薬は水虫の症状があるところだけに塗ればいいと思っていませんか?
それは間違った塗り方です!!
水虫菌は症状がなくてもひそんでいますので、足のすべての指の間、付け根、足の裏全体、背面、かかとまで広く隙間なく塗るのが正しい塗り方になります。
重要なのことが両足です!!
片方の足だけ水虫菌を踏んでいるとは限りません。
こうやって塗ると大体1本10gのお薬を1週間で使い切ることになります。
塗る時間はお風呂上がりが効果的です。入浴後は皮膚が清潔になっていて角層が柔らかくなっているので、薬が浸透しやすいからです。
きれいにしたくてゴシゴシ擦るのはやめて下さい。
洗いすぎると皮膚を傷つけてしまい、そこから水虫が角層に入りやすくなりますので逆効果です。
またよくありがちな間違いですが、かゆみがなくなるとすぐに塗り薬をやめたりしていませんか?
角層が垢になって剥がれ落ちるまでは1~2ケ月かかりますので、見た目がきれいになってからも1~2ケ月塗り続ける必要があります。
爪にも水虫菌が感染すると爪が分厚くなったり、脆くてがたがたと2重になったり、爪が伸びにくくなります。
皮膚の水虫は塗り薬で治療することもありますが、爪にも症状が出てくると塗り薬では何年間もかかってしまうので内服治療が必要になります。
4 家庭に水虫を持ち込まないためにすること
治療をしていない水虫の患者さんからは、常に水虫菌を含んだ垢が家中にばらまかれています。
特にトイレのスリッパやバスマットに潜んでいます。
垢と一緒だと水虫菌は1年以上生き続けます。
さらに銭湯やサウナなど大勢の人が使用する浴場の足拭きマットには100%水虫菌がいると思ってください。
ですから十分に水気を拭き取って、靴下を履いちゃいましょう。
もしも十分に足を乾かす時間がない場合は、家に帰ってからすぐに足を洗って下さい。
水虫菌は感染が成立するのに24時間くらいかかるので、それまでに足をきれいに洗えば感染のリスクを防ぐことができます。ただ足の裏に傷があると12時間くらいで感染しますので、傷がある方はご注意ください。
靴もしっかり乾燥させて、毎日同じ靴を履かないようにして下さい。
できるだけ通気性に良い靴下やサンダルを履くようにして、スリッパを家族で同じものを使うのはやめてくださいね。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。