きちんと治療を行えば1週間位で症状は落ち着きますよ
よかった!!そしたらどうしたらいいんですか?
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
毛虫に刺されたことはありますか?
毛虫の一部にはどくしんもう(毒針毛)やどくきょく(毒棘)とよばれる有毒な毛をもつものがあってそれにより皮膚炎が引き起こされます。
実は毛虫に直接触わらなくても、風で飛ばされてきた毛に触れたり毛が付着した葉っぱに触るだけでも起こりますし、毛虫の抜け殻や死骸にも有毒な毛は付着しているので注意が必要です。
1 毛虫皮膚炎の原因
毛虫とは蝶や蛾の幼虫の中で、毛を持つタイプの幼虫のことです。
毛虫の毛には毒がることがあり、かぶれたり赤くなったり皮膚に症状がでます。
すべての毛虫が毒を持っているわけではありません。
有毒毛を持っている毛虫に触れたときだけ皮膚炎を起こします。
・チャドクガ
毒針毛を持つチャドクガには長さ0,1ミリ程度のとても小さい釘みたいな針が50万本以上がついています。
それに触れると激しいかゆみと小さい赤いぶつぶつが出ます。
ツツジ・ツバキ・サザンカの庭木にいますので、庭の手入れのときに毛虫に触れて赤いぶつぶつが出ます。
刺されたところをかいてしまうと肌に刺さった毛虫の毛をさらにこすりつけてしまい広がっていきます。
毛虫皮膚炎で受診される患者さんの中で特に多いのがこのチャドクガ皮膚炎です。
・イラガ
毒棘を持つイラガは日本には17種類いますが、すべて有毒です。
桜・カエデ・バラ・くすのきについています。
イラガの幼虫は7~10月に出現します。
2 毛虫皮膚炎の症状
有毒毛に触れた場所を中心に皮膚がピリピリして痛痒くなります。
基本的には痒いので、かき壊してしまうと水ぶくれになったり痛くなります。
特に子供の場合は「かかないで!」と言っても我慢出来ずに掻きむしってしまい、トビヒになったりもしますので特に注意が必要です。
3 治療と予防
特に子供の場合は早めにお近くの皮膚科を受診なさってくださいね。
ただ治療は皮膚症状を抑えるだけになりますので、原因となる毛虫が身近にいるとまた刺されてしまいます。
まずは毛虫に触れないように注意しましょう。
近づかない・触らないことです。
毛虫がいる木には幼虫が葉を食べた跡が残っているので、それを見つけたら近づかないようにしましょう。
たとえ毛虫に直接触れていなくても、毛虫が葉っぱから落ちてきたり風で飛ばされてきた毛に触れたり毛が付着した葉っぱに触るだけでも炎症を起こします。
毛虫の抜け殻や死骸にも有毒な毛は付着しているので注意が必要です。
毛虫に触れてしまった場合は、刺されたところを触らないようにしてガムテープやセロハンテープなどの粘着テープを使って皮膚についた毒針毛を取り除いてから、泡立てた石鹸とシャワーで洗い流してください。
衣類にも毛が付着していることがあるので、触らないように気をつけて脱いで他の洗濯物とは分けて洗ったほうがいいです。1回で毛が取り切れないこともあるので、数回洗ったほうが安心です。
公園に行く時は夏場は大変だと思いますが、長袖・長ズボン・軍手・帽子・スカーフなどを使って肌の露出を控えて毛虫に刺されないようにしてください
4 痕になるのか
適切に治療を行えば1週間位で症状は落ち着きますので、痕にはなりません。
虫にさされたときに炎症後の色素沈着になるのは早く治療をしないからなのです。
炎症後の色素沈着はにきびの跡や日焼け、擦り傷の跡でも起こります。
皮膚に炎症が起きると組織が傷つきます。傷ついた組織を修復する過程でメラノサイトが活性化するとメラニン色素が作られ色素沈着になります。
通常は皮膚はターンオーバーによってシミは消えていきますが、消えるのに1年以上かかることもあります。
特に大人になると肌のターンオーバーが遅くなり、痕になりやすいです。
虫にさされたときは炎症を早く抑えるためにステロイドを塗ることが大切ですし、紫外線対策もしっかりしてもらいます。
炎症がおきて赤くなっているところに日光を浴びてしまうと、メラノサイトが活発になってさらにシミになりやすくなります。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。