

保険適用には条件があるんですよ

知りたいです!!
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
私は顔にあるほくろをレーザーで取ったのですが、再発を繰り返しどんどん大きくなったので、3回もレーザーしたあとに結局手術で取りました。ちなみにレーザーは自費で、手術は悪性か調べたかったので保険が効きました。どうしてレーザーを最初やったかというと、やはり手術に比べて心理的なハードルが低いからです。
今回は「ほくろの除去に保険が効くなら取りたい」という方もいらっしゃると思いますので、ほくろを取るときの保険適用の条件についてお話します。
今日お話する内容です。
ほくろ除去の保険適用の条件は?
除去の方法がメスをつかった手術であることは必須です。その他にかゆみ、出血、異物感などの症状があるか、あとは日常生活に支障があるかが条件になります。例えば目の上のほくろで視界が遮られるとか、徐々に大きくなったり形がいびつで悪性かどうか知りたいということが保険で取る治療の前提条件となります。
保険でとる最大のメリットは、取ったデキモノを病理組織の検査に出すことです。専門の施設に送って顕微鏡下で病理の先生が悪性か良性かを判断してくれます。肉眼で見て・形が非対称・境界が不明瞭・色調が不均一・直径が6mm以上・膨らんでいるなどがあれば悪性を疑い、保険で手術で取るべきです。レーザーに比べると再発率が少ないこともメリットと言えると思います。
ほくろが悪性の疑いがある場合
ほくろ除去で保険が適用されるのは、ほくろが悪性である疑いがある場合です。具体的には、医師が診察で悪性腫瘍の可能性があると判断した場合、またはほくろが急に大きくなったり、出血を繰り返している場合、病理検査が必要な場合 などが挙げられます。これらの条件に該当しない美容目的の除去は保険適用外となります。保険適用の場合、自己負担は3割になります 。

日常生活に支障をきたす場合
ほくろ除去で保険が適用される条件の一つに、ほくろが日常生活に支障をきたす場合があります。これは、ほくろの位置や大きさ、症状などが原因で、日常生活に何らかの不便や困難が生じている状態を指します。具体的には以下のようなケースが該当します。
- 視界が遮られる場合:例えば、目の上のほくろが大きくなり、視界を妨げている場合。
- 衣服の着脱に支障がある場合:ほくろが衣服に引っかかったり、擦れたりして痛みや出血を伴う場合。
- かゆみ、出血、異物感などの症状がある場合。
- 徐々に大きくなったり、形がいびつで悪性かどうかの判断が必要な場合。
ほくろ除去の費用
ほくろ除去のかかる料金は保険なら3割負担なのでだいたい1万5000円くらいで済みます。
自費の場合は全額自己負担になります。クリニックによって異なりますが、1万円~数万円かかります。
大体のクリニックが自費の場合、ほくろの大きさが小さいほうがお安く、ほくろの大きさが大きいとお高く設定されています。基本的には保険のほうが費用は抑えられると思います。
ほくろ除去は何科に行けばいい?
ほくろの除去で後悔しないためには治療を受けるクリニック選びも大切です。
手術とレーザーのメリット・デメリットをしっかり説明してくれる病院を選んで、ご自身にあった方法を見つけてください。ほくろに見えてメラノーマだったということもありますので、ダーモスコピーでほくろか悪性のものかをしっかり見てくれるクリニックを受診してください。
レーザーの場合は、クリニックによって1年以内の再発は半額などにしてくれるところもあるので、保証はどうなっているのかを確認することも大切です。
皮膚科
- ほくろが病的な側面が強い場合や、悪性の疑いがある場合は、皮膚科を受診することが推奨されます。
- 保険適用での治療を希望する場合も、まずは皮膚科を受診し、医師の診察を受ける必要があります。
- 皮膚科では、ダーモカメラという特殊な機器を用いてほくろの状態を詳しく観察し、より精度の高い診断を行います。
- 悪性腫瘍の可能性を考慮して、切除が必要な場合には、皮膚科で対応することが可能です。
- 皮膚科でのほくろ除去は、再発しないことに重点を置いているため、治療期間が長くなる可能性があります。
- 治療の目的は、ほくろの悪性(がんのリスク)の診断が重視され、必要に応じて切除されます。
- 医療的な視点からの治療が行われます。
- 保険が適用されることが多く、医療費の負担を軽減できる場合があります。
形成外科
- ほくろの除去においては、手術による切除や縫合などを専門としています。
- 皮膚科と連携して治療を行う場合もあります。
- 傷跡をできるだけ目立たなくするための手術技術を持っています。
- ほくろが大きい場合や、深く根を張っている場合は、形成外科での治療が適していることがあります。
- 保険適用での治療が可能な場合もあります。
美容皮膚科・美容外科
- 外見を美しくすることを主な目的としており、容姿を整えることに特化しています。
- ほくろをきれいに取り除くことに特化しており、施術方法が豊富です。
- 美容的な観点から、傷跡をできるだけ残さないような治療を行います。
- 主に見た目や美容面の改善を目的としており、ほくろが悪性ではなくても除去することができます。
- レーザー治療などの機械を使った施術を多く行います。
- 自由診療となるため、費用は高額になる傾向があります。
- 様々な治療法を選択することができます。
ほくろ除去の方法3選
一つはレーザーで、これは3割負担の保険が聞かない治療です。数mmの小さいほくろで平たいものであれば、レーザーが適しています。治療時間もダウンタイムも短いですし、傷跡も目立ちにくいです。ただ大きな盛り上がったほくろや、深くまであるほくろはなかなか取れません。またレーザーをしたあとは少しだけ肌が凹みます。だんだん肌が再生するので、1ケ月くらいするとニキビ跡の赤みくらいに残りますが、時間とともに目立たなくなります。
もう一つは手術です。手術は美容目的以外であれば保険適応になりますので、だいたい自己負担額は1万5000円以内かと思います。手術の仕方は担当する先生が決めますが、方法は2つあってくり抜き法と切開法があります。くり抜き法は手術用のパンチを使ってほくろを円形にくり抜きます。結構深くまでくり抜きますので、再発のリスクが少ないです。ほくろが小さければ、縫わずに軟膏を塗って傷口が自然に塞がるのを待ちます。結構大きいほくろやかなり盛り上がっているものは切開法で取ります。メスを使って紡錘形にしっかり取って縫います。大体1週間後に抜糸します。傷口は皮膚のしわに沿って切りますので、傷跡はさほど目立たないです。
1. 炭酸ガスレーザー
ほくろ除去における炭酸ガスレーザーは、数ミリ程度の小さく平らなほくろに適した治療法です。メスを使わないため、施術時間が短く、ダウンタイムも少ないのが特徴です。レーザーでほくろをピンポイントで焼き、除去します。
施術後は、肌が少し凹むことがありますが、1ヶ月程度で赤みが目立たなくなり、傷跡も残りにくいとされています。ただし、ほくろの色素が濃い場合は、複数回の治療が必要になることもあります。また、盛り上がったほくろや、深いほくろにはレーザーは適していません。
保険適用外となるため、費用は自費診療となりますが、クリニックによっては1万円~数万円程度で治療が受けられます。施術箇所はテープで保護する必要があります。施術後の赤みは半年~1年続くことがあります。
2. 電気メス
電気メスを用いたほくろ除去は、メスで切除する方法と並んで、ほくろを除去する一般的な方法の一つです。
- 電気メスは、高周波の電気を利用して組織を焼灼・切除する医療機器です。
- 電気メスを使用する主な目的は、ほくろの組織を直接的に除去することです。
- 電気メスでの施術は、ほくろのサイズや深さ、形状によって調整が可能であり、様々なケースに対応できます。
- 施術時間は、ほくろの大きさや状態によって異なりますが、一般的に5~30分程度です。
電気メスでの治療は、保険適用となる場合があります。
- 保険適用となる条件は、ほくろが悪性である疑いがある場合や、日常生活に支障をきたす場合などです。
- 美容目的の除去は保険適用外となり、自由診療となるため、費用は全額自己負担となります。
3. 切開法
切開法は、メスを使ってほくろを除去する方法です。この方法は、5mm以上の大きなほくろや、盛り上がったほくろ、根が深いほくろに適しています。
- 切開法では、ほくろの周囲をメスで切り取り、ほくろ全体を完全に除去します。
- 必要に応じて、切除した部分を縫合します。
- 切開法は、ほくろを根元から取り除くため、再発のリスクが低いとされています。
- 切開法は、保険適用となる場合があり、その場合、自己負担額は1万5千円程度になります。
- 保険適用となる条件は、ほくろが悪性である疑いがある場合や、日常生活に支障がある場合です。
- 美容目的の場合は、自由診療となり、費用は全額自己負担になります.
- 施術後1週間程度で抜糸が必要となります。
- 傷跡は、皮膚のしわに沿って切開することで、目立ちにくくする工夫がされます.
- ほくろの大きさや深さによっては、傷跡が残る可能性もあります。
- 切開による凹みや縫合跡が残る場合があります。
ほくろ除去の流れ
診察
- ダーモスコピーを使用し、ほくろが悪性のものではないかを確認します。
- 悪性の疑いがある場合や、色素が濃く大きい場合は、外科手術が推奨されます。
- 皮膚科専門医は、ほくろの状態を詳細に観察し、適切な治療法を選択します。
- 患者の希望やほくろの状態に合わせて、最適な治療法を提案します。
麻酔
外科手術の場合は、局所麻酔の注射を行います。
施術
- くり抜き法:手術用のパンチでほくろを円形にくり抜きます。
- 再発のリスクが少ないです。
- ほくろが小さければ縫合はせず、軟膏を塗って傷口が自然に塞がるのを待ちます。
- 切開法:メスでほくろを紡錘形に切除し、縫合します。
- 大きなほくろや、かなり盛り上がっているものに適しています。
- 傷跡は皮膚のしわに沿って切るため、目立ちにくいです。
- 1週間後に抜糸を行います。
経過
- 術後、抗生剤が処方されることがありますので、指示された期間は内服する必要があります。
- 軟膏や保護テープの指示があった場合は、医師の指示に従ってください。
- 抜糸直後から縫合した部分に赤みが生じ、術後1ヶ月までは赤みが強く出ます。
- 通常の経過であれば、約半年程度で少しずつ目立たなくなります。
- 患部をガーゼで覆い、翌日まで外さないようにします。
- 1~2週間後に抜糸のため来院します。
- 傷跡は1年程度で目立たなくなることがあります。
- かさぶたになった部分を触ったり、剥がしたりすると傷跡が残りやすいため、自然に剥がれるまで触らないようにしてください。
ほくろ除去の注意点
ほくろ除去後のアフターケア
手術をした場合は抗生剤を処方されることがありますので、決められた期間はしっかり内服をしてください。軟膏や保護テープの指示があった場合は、手術した先生の指示に従いましょう。
ほくろを除去したあとの肌は紫外線に敏感になっているので、普段以上にしっかりと紫外線対策を行ってください。
赤みはだいたい半年から1年かけてなくなっていきますので、焦らず待ちましょう。かさぶたになったところが気になって、触ったり剥がしたりすると傷跡として残りやすくなりますので自然に剥がれるまで剥がさないようにしてください。
ほくろ除去後の治療跡
ほくろ除去後の治療跡は、除去方法やほくろの状態によって異なり、完全に跡が残らないわけではありません。
- レーザー治療の場合、肌が少し凹むことがありますが、数ケ月程度で赤みが目立たなくなり、傷跡は比較的残りにくいとされています。
- 電気メスでの治療では、赤みや腫れ、かさぶたなどが生じることがありますが、数日から数週間で自然に治癒します。
- 切開法では、切除による凹みや縫合跡が残る可能性があり、傷跡を目立ちにくくする工夫はされますが、ほくろの大きさや深さによっては傷跡が残る可能性もあります。
ほくろの再発の可能性
ほくろ除去後の再発の可能性は、除去方法によって異なります。
- レーザー治療の場合、再発の可能性が指摘されています。
- 電気メスでの治療は、炭酸ガスレーザーと比較すると再発の可能性が低いとされています。
- 切開法は、ほくろを根元から除去できるため、再発のリスクが低いとされています。
ほくろとは?
ほくろの種類
ほくろは、医学的には色素性母斑や母斑細胞母斑と呼ばれ、良性の皮膚腫瘍です。一般的に、ほくろはメラノサイトという色素細胞が増殖することで発生します。ほくろには、生まれつきある先天性のものと、後天性のものがあります。
ほくろは、顔、腕、背中など体のあらゆる部位にできます。肌への刺激や紫外線などが、ほくろの原因とされています。ほくろの除去を検討する際には、皮膚科専門医による診断を受けることが重要です。専門医は、ダーモスコピーという特殊な機器を用いて、ほくろが悪性かどうかを詳しく調べることができます。
ほくろに似た病気
皮膚線維腫
腕や足に見られることが多く、やや茶色い直径3cm位までの腫瘍です。少し盛り上がっていて、触ると硬いです。蚊に刺されたり、小さな擦り傷をきっかけにできることが多いです。
基底細胞がん
基底細胞がんは皮膚がんの一種で、体の表面のどこにでもできますが、顔に発生することが多いがんで、転移することはまれです。発生要因としては、紫外線、放射線などが関係していると考えられています。最初は黒い点のようでほくろのようにも見えますが、進行すると中央が潰瘍化します。ダーモスコピーで皮膚科ではほくろか基底細胞癌かを見分けています。
悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫はメラノサイトという細胞が癌化して発生する悪性腫瘍です。日本人は10万人あたり1~2人くらいの割合でみられ、ほくろとの区別が重要です。特徴としては、左右が非対称で不規則な形、病変境界の不明瞭さ、色調の濃淡差、大きさがやや大きい、表面が隆起しているなど良性のほくろといえない所見を有していることが多く、ダーモスコピーを見て判断しています。
ほくろとしみの違い
ほくろとシミは、どちらも皮膚に現れる色素の変化ですが、その原因や性質には違いがあります。
- ほくろ(黒子)は、医学的には色素性母斑または母斑細胞母斑と呼ばれ、良性の皮膚腫瘍です。ほくろは、メラノサイトという色素細胞が増殖することで発生し、生まれつきある先天性のものと後天性のものがあります。
- シミは、メラニン色素が皮膚に沈着した状態で、紫外線、加齢、炎症などが原因で発生します。
- 色は茶色っぽく、平らなことが多いです。
- シミは、紫外線による影響が大きいため、紫外線対策が重要です。
- シミは、ニキビ跡の炎症後色素沈着によっても発生することがあります。

まとめ
ほくろの除去をお考えの方の参考になったでしょうか。目立つところにほくろがあり長年お悩みの方、別の病気が心配な方もいらっしゃると思います。ぜひ医療機関にお気軽にご相談ください。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください