自分で引っ張らないでください。
すぐに皮膚科を受診しましょう。
他にどうしたらいいですか?
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
今日お話する内容です。
虫刺されって皆さんも経験されたことありますよね。
虫刺されは蚊・ブヨ・ダニ・ノミ・毛虫・蜂、ムカデ等によって起きる皮膚炎のことで「虫刺症」(ちゅうししょう) と言います。
1 イエダニ
実はよく耳にする、布団やカーペットに潜んでいるヒョウヒダニは皮膚からは吸血しません。
人を刺すダニはイエダニ・マダニです。
まずはイエダニからご説明します。
大きさが0,7ミリ位と他の種類のダニと比べると大きいので、肉眼でも見えることが多いです。
もともとイエダニは白っぽい色をしていますが、血を吸うと赤黒い色になりより見つけやすくなります。
私達が寝ている間に洋服の中に侵入して吸血するので、足とか出ているところではなく、お腹・二の腕・太ももの内側など服で隠れていて皮膚が柔らかいところを複数箇所一気に刺されやすくいのが特徴です。
イエダニって名前から「家にいるダニなの?」って思われるかもしれませんが、イエダニは主にネズミに寄生しています。
繁華街や下水にもネズミがいますので、倉庫や学校・オフィスビルでもイエダニは生息しています。
あとイエダニは鳥にも寄生していますので、ベランダに鳥の巣があるお家もイエダニが出やすいです。
季節的なお話をしますと、イエダニはネズミの巣とかネズミの毛の中に住んでいて、5月頃から増え始め、6月から9月に繁殖のピークを迎えます。
なのでイエダニに刺されるのは夏から秋が多いです。
イエダニに刺されると、翌日くらいから激しいかゆみや・赤いポツポツ・水ぶくれや水ぶくれができます。
水ぶくれができてジュクジュクしているときは消毒はしないでまずは石鹸で洗ってください。
子供の場合は「かかないで!!」と言っても我慢出来ずに掻きむしってトビヒになったりもしますので、早めにお近くの皮膚科を受診なさってくださいね。
イエダニを駆除するのは、まず根本的な原因となっているネズミや鳥の巣を駆除しなければなりません。
ネズミの巣は、家電の裏・押し入れの奥・屋根裏・床下などの暖かくて餌が豊富な場所に作られやすいので、餌になる生ゴミや食材を置かないように注意しましょう。
他にイエダニが生息しやすいのは、畳・カーペット・床の割れ目・布団・こたつです。
ネズミを家から追い出したら、バルサンなどのくん煙剤(くんえんざい)を使ってイエダニを駆除しましょう。
ただくん煙剤は、卵には効果がないので、くん煙剤をつかった後は卵がふ化するタイミング(2日後くらい)で再びくん煙剤を使う必要があります。
布団に潜んだイエダニは、洗濯だけしてもあまり効果はありません。
ダニを死滅させたあとは、必ず掃除機でダニの死骸も取り除いておきましょう。
ダニが繁殖しやすい夏は2週間に一度、冬は1ケ月に一度の頻度で布団乾燥機をかけるのは非常に効果的です。湿気が70%以上あるとダニが繁殖しやすいので、除湿機をつかって湿度を60%以下に保つことも意識してみてください。
日頃からエアコンの除湿機能を使ったり、窓を開けて換気するだけでもダニの発生率はさがります。
2 マダニ
イエダニが屋内で刺されるのに対してマダニは屋外で刺されます。
特にハイキングやキャンプに行って刺されている方がおられます。
マダニはイエダニと違って7ミリ位と大きめなダニで、本来は野生動物に寄生しています。草地に潜んでいて、人間が通ると飛びついて皮膚から時間をかけてじわじわ吸血して、数日から1週間吸血すると満腹になりマダニのお腹が大きくなって自然に脱落します。
この吸血中どうして私達が気づかないかというと、マダ二は麻酔用物質を含む唾液を注入するので刺されていてもかゆみを感じにくいのです。
ですから吸血が終わってお腹が大きくなったマダニになってから気づく事が多いのです。
吸血中のマダニは数日皮膚にくっついていますが、この時皮膚に噛みつきながらセメント物質を出して固着しています。
マダニの種類によってはライム病や日本紅斑熱などの感染症を起こすことがあります。
あとは吸血中のマダニをつまんだり、潰したりもしないでください。
マダニの体液の病原体が体内に逆流してしまうと感染症を引き起こすのでとっても危険です。
3 ダニさされが痕になるのはどうしてか
ダニに刺されれたときにうまく治せないと、シミのような茶色い色が残ります。
ダニにさされたときに炎症後の色素沈着になるのは早く治療をしないからなのです。
炎症後の色素沈着はにきびの跡や日焼け、擦り傷の跡でも起こります。
こうした皮膚に炎症が起きると組織が傷つきます。
傷ついた組織を修復する過程でメラノサイトが活性化するとメラニン色素が作られ色素沈着になります。
通常は皮膚はターンオーバーによってシミは消えていきますが、消えるのに1年以上かかることもあります。
特に大人になると肌のターンオーバーが遅くなり、痕になりやすいです。
ダニにさされたときは炎症を早く抑えるためにステロイドを塗ることが大切ですし、紫外線対策もしっかりしてもらいます。