かゆくてつらい蕁麻疹|蕁麻疹(じんましん)はなぜ起こる?症状・治療・治療期間・正しいセルフケアを皮膚科医が徹底解説

かゆい(痒い)

こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。

今回は「蕁麻疹(じんましん)」について、症状・原因・治療法・治療期間・ご自宅でできるケアについて詳しくお話します。


蕁麻疹の症状

蕁麻疹とは、突然、蚊に刺されたような赤くてかゆみを伴うふくらみ(膨疹)が出る病気です。

特徴的なのは、数時間以内に跡形もなく消えることが多いという点です。

形は虫刺されのような円形のものから、数ミリ程度の小さなもの、手のひら以上の大きさのものまでさまざまです。

複数の発疹がくっつき、地図のような形になることもあります。

また、一度消えても場所を変えて繰り返し出現するのが特徴です。

発症してから6週間以内のものを「急性蕁麻疹」、6週間以上続くものを「慢性蕁麻疹」と呼びます。

診察のタイミングで発疹が消えてしまうことも多いため、症状が出ている時にスマホで写真を撮っておくと診断がスムーズです。

まれに喉の粘膜が腫れて呼吸が苦しくなることもあります。

そのような場合は、ステロイドの内服や救急外来の受診が必要です。

ちなみに、70%の方が1週間以内に、90%の方が1か月以内に治るといわれています。
https://hifuka.or.jp/blog/palms-itchy/

蕁麻疹で困ること

蕁麻疹の一番のつらさは「繰り返すこと」です。

強いかゆみで眠れなかったり、夜中に何度も目が覚めたりする方も多くいらっしゃいます。

また、赤い発疹が目立つため、顔や首、腕などに出ると人目が気になってしまいます。

そのため、夏でも長袖を着て隠したり、外出を控えたりと、生活の質が下がってしまうこともあります。


蕁麻疹の原因

蕁麻疹は、血液中のIgE抗体が刺激を受けることで、皮膚の下にある肥満細胞(マスト細胞)に結合します。

すると、ヒスタミンやロイコトリエンといった炎症性物質が放出され、かゆみを起こし、血管を拡張させて赤いふくらみを生じます。

「アレルギーですか?」とよく聞かれますが、実際には原因が特定できない特発性蕁麻疹が全体の7割以上を占めます。
原因が特定できるケースでは、アレルゲンを摂取または接触した15〜30分以内に症状が出るのが特徴です。

また、蕁麻疹は夕方から夜にかけて出やすい傾向があります。

これはマスト細胞の活性が休息期に高まるためで、夜にかゆくなりやすい理由でもあります。

その結果、眠れずに掻いて悪化する…という悪循環に陥ることがあります。


慢性蕁麻疹の治療

治療の基本は抗ヒスタミン薬です。

効果が弱い場合は、抗ヒスタミン薬を2倍量に増やしたり、ヒスタミンを抑える胃薬(ガスター)を追加したりします。

また、シングレア・キプレス・オノンなどの抗ロイコトリエン薬を併用することもあります。

通常量の抗ヒスタミン薬で効果があるのは約40%ですが、増量で約60%の方に改善が見られるといわれています。

それでも改善しない場合は、生物学的製剤「ゾレア」を使用することもあります。

短期間であればステロイドの内服も行いますが、長期使用は推奨されません。

治療の目標は、まず症状を出さない状態を維持すること
3週間ほど症状が出なければ、少しずつ薬を減らして最終的に薬なしでも安定する状態を目指します。

焦って薬を中断すると再発することが多いため、主治医と相談しながら段階的に減薬していくことが大切です。


蕁麻疹に似た病気

見た目が似ていて区別が難しいのが「多形紅斑(たけいこうはん)」です。

見分け方のポイントは、数時間で消えるなら蕁麻疹同じ場所に長く残るなら多形紅斑です。
https://hifuka.or.jp/blog/herpes-zoster/

治療期間

慢性蕁麻疹の平均的な治療期間は1〜5年といわれています。

長く感じるかもしれませんが、時間とともに治ることが多い病気です。

多くの方が、薬の量を少しずつ減らしていくことで、やがて中止できるようになります。

焦らず、根気よく治療を続けましょう。


ご自宅でできるケア

蕁麻疹が出ているときは、以下の点に気をつけてみてください。

  • 運動や熱いお風呂は避けて、涼しい場所で安静に

  • 患部を保冷剤や氷で冷やすと楽になります

  • アルコールや辛い食べ物は血流を促進し、かゆみを悪化させるため控える

体を温めすぎない・刺激を避けることが、症状を軽くするポイントです。


まとめ

今回は、蕁麻疹の症状・原因・治療法・治療期間・ご自宅でできるケアについてお話ししました。

蕁麻疹はつらいですが、多くの方が時間とともに改善します。

かゆみで眠れない、繰り返し出るなどの症状がある方は、我慢せずに皮膚科を受診してくださいね。

あなたの症状に合った治療を見つけ、安心して過ごせる毎日を取り戻しましょう。

まとめ
•蕁麻疹は、突然赤く膨らんだ発疹が現れ、数時間で消えるのが特徴です。
•発症から6週間以内は急性6週間以上続く場合は慢性蕁麻疹と呼ばれます。
•多くは原因不明ですが、アレルギーやストレス、疲労などが誘因となることがあります。
•治療は主に抗ヒスタミン薬で行い、効果がなければ追加薬や生物学的製剤を使用します。
•慢性蕁麻疹でも根気強く治療を続けることで、多くの人が改善・治癒します。
•自宅では刺激物やアルコールを避けて安静に過ごすことが大切です。

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