【危険!】やけど虫は○○になる?!症状と治し方、対策について皮膚科専門医が解説 | 水ぶくれになる虫刺されとは?

症状別
夜に虫を払ったらミミズバレになりました…
玉城有紀
玉城有紀

やけど虫だったんでしょうね。

跡が残らないように治療しましょうね。

やけど虫ってなんでしょうか?

みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。

1 水ぶくれができる原因
2 どの虫が水ぶくれを起こすのか?
3 水ぶくれができたときの対応
4 虫刺されの予防

虫刺されって皆さんも経験されたことありますよね。

大体2日くらいで自然に治りますが、かき壊してしまったり指した虫の種類によっては水ぶくれができてしまいます。

1 水ぶくれが出来る原因

水ぶくれは医学的には「水疱」と言います。

靴ずれを起こしたときや細菌感染を起こしたときにできますよね。

水疱は皮膚の細胞が損傷を受け、組織から滲み出てきた体液やタンパク質が皮下に溜まってできます。

この水ぶくれは虫刺されでも起こります。

 

 

 

 

 

どうして虫刺されで水ぶくれが出来るかというと虫の持つ毒液による科学的刺激によって皮膚の細胞が傷つけられるので水ぶくれができます。

他にも虫が吸血するときに注入した成分に対するアレルギー反応、つまり体内に侵入した異物に対する防御反応で水ぶくれができます。

虫刺されによって水ぶくれができるかは、どの虫にさされたかよりは個人の体質によるものが大きいです。

同じ虫にさされても人によって赤みだけ出る人もいれば酷く水ぶくれになる方もいて、症状の出方には差があります。

子供の場合は大人に比べて虫刺されによる症状が強く出やすいのでご注意ください。

2 どの虫が水ぶくれを起こすのか?

皆さんは「やけど虫」って聞いたことはありますか?

これらの虫にさされると、普段水ぶくれにならない方でも水ぶくれを起こしやすいです。

 

 

 

 

 

やけど虫はアオバアリガタハネカクシという7ミリ位の黒とオレンジ色のツートンカラーの虫です。日本全国どこにでもいます。湿気がある場所を好むので、田んぼ、湖、池や沼などに生息しています。

この虫は光に集まってくるので窓を開けっ放しにしていると、家の中の光を頼りに家の中に入ってきます

大体6月から8にかけて多く見られます。

アリに似ていて大きな羽を畳んで隠しているので、アオバアリガタハネカクシという名前なのです。

この虫はペデリンという有毒物質を含んだ体液をもているのが特徴で、これを素手で触ってしまうと有毒物質が皮膚について、その刺激で皮膚炎が起きます。

 

 

 

 

 

やけどしたときのような水ぶくれや痛みができるのでやけど虫と言われています。

夜に自転車に乗っていて顔についた虫を手で払いのけたときにこの虫に当たると、体液が出て赤みやミミズバレが起こります。

最初は赤みとミミズバレだけですが、体液が真皮に達すると数日してからヒリヒリして痛みが強くなり、水ぶくれができたり膿が出てきたりします。

1ケ月位するとかさぶたになりますが、炎症が激しいのでかなり痕が残ることが多いです。

3 水ぶくれができたときの対応

水ぶくれができてジュクジュクしているときは消毒はしないでまずは石鹸で洗ってください。

 

 

 

 

痒くてかいてしまうと細菌が起きて化膿してシミや痕に残ったりもしますので、ステロイドを塗ったりかゆみ止めを飲んだりして、炎症をしっかりと抑えましょう。

やけど虫に触れた場合は、こすると液が周りに広がってしまうので危険です。

こすらず水で洗い流しましょう。

 

 

 

 

特に液がついた手で目を擦ってしまうと、角膜が傷ついて失明したり結膜炎になりますので、眼科を受診してください。

子供の場合は「かかないで!!」と言っても我慢出来ずに掻きむしってトビヒになったりもしますので、早めにお近くの皮膚科を受診なさってくださいね。

虫刺されはうまく治せないとシミのような色が残ります。

これは炎症後色素沈着と言って、皮膚を修復させる過程でメラニンという色素が沈着してしまうから起こります。

虫にさされたときに炎症後の色素沈着になるのは早く治療をしないからなのです。

炎症後の色素沈着はにきびの跡や日焼け、擦り傷の跡でも起こります。

 

 

 

 

皮膚に炎症が起きると組織が傷つきます。傷ついた組織を修復する過程でメラノサイトが活性化するとメラニン色素が作られ色素沈着になります。

通常は皮膚はターンオーバーによってシミは消えていきますが、消えるのに1年以上かかることもあります。

 

 

 

 

特にかき壊してしまって炎症が長引けば長引くほど、メラニンが表皮から真皮に落ちてしまいってターンオーバーで取れなくなります。そうすると完全にシミとなって残ることがあります。

特に大人になると肌のターンオーバーが遅くなり、痕になりやすいです。

虫にさされたときは炎症を早く抑えるためにステロイドを塗ることが大切ですし、紫外線対策もしっかりしてもらいます。

 

 

 

 

炎症がおきて赤くなっているところに日光を浴びてしまうと、メラノサイトが活発になってさらにシミになりやすくなります。

4 虫刺されの予防

まずは怪しい虫には近づかない・触らないことです。

なにかに刺されたと思ったら、こすらず水で洗ってよく冷やしましょう。

虫は基本的には光を好むので、窓を開けたまま寝たりしないで網戸を活用しましょう。

夏場でも虫にさされそうなところに行く場合は、長袖、長ズボン、首周りはタオルで覆い、虫除けグッズや殺虫剤を持ち歩くようにしましょう。

 

 

 

 

 

小さい子供はこのツートンカラーの虫が珍しくて、つい触りたくなってしまうこともあるので「この虫には触っちゃだめだよ」と教えておく必要があります。

まとめ
・虫刺されによって水ぶくれができるかは個人の体質によるものが大きい
・やけど虫の体液に触るとその有毒物質によって水ぶくれが起こる
・やけど虫に触ってしまったらまず石鹸で洗い、ステロイドを塗る
・炎症が長引くと跡が残るので皮膚科を受診し早く治す
・不用意に虫に触らない

動画でも解説していますので、是非ご覧ください。

 

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