やけど虫だったんでしょうね。
跡が残らないように治療しましょうね。
やけど虫ってなんでしょうか?
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
虫刺されって皆さんも経験されたことありますよね。
大体2日くらいで自然に治りますが、かき壊してしまったり指した虫の種類によっては水ぶくれができてしまいます。
1 水ぶくれが出来る原因
水ぶくれは医学的には「水疱」と言います。
靴ずれを起こしたときや細菌感染を起こしたときにできますよね。
この水ぶくれは虫刺されでも起こります。
どうして虫刺されで水ぶくれが出来るかというと虫の持つ毒液による科学的刺激によって皮膚の細胞が傷つけられるので水ぶくれができます。
他にも虫が吸血するときに注入した成分に対するアレルギー反応、つまり体内に侵入した異物に対する防御反応で水ぶくれができます。
虫刺されによって水ぶくれができるかは、どの虫にさされたかよりは個人の体質によるものが大きいです。
同じ虫にさされても人によって赤みだけ出る人もいれば酷く水ぶくれになる方もいて、症状の出方には差があります。
2 どの虫が水ぶくれを起こすのか?
皆さんは「やけど虫」って聞いたことはありますか?
これらの虫にさされると、普段水ぶくれにならない方でも水ぶくれを起こしやすいです。
この虫は光に集まってくるので窓を開けっ放しにしていると、家の中の光を頼りに家の中に入ってきます。
大体6月から8月にかけて多く見られます。
アリに似ていて大きな羽を畳んで隠しているので、アオバアリガタハネカクシという名前なのです。
この虫はペデリンという有毒物質を含んだ体液をもているのが特徴で、これを素手で触ってしまうと有毒物質が皮膚について、その刺激で皮膚炎が起きます。
やけどしたときのような水ぶくれや痛みができるのでやけど虫と言われています。
夜に自転車に乗っていて顔についた虫を手で払いのけたときにこの虫に当たると、体液が出て赤みやミミズバレが起こります。
1ケ月位するとかさぶたになりますが、炎症が激しいのでかなり痕が残ることが多いです。
3 水ぶくれができたときの対応
水ぶくれができてジュクジュクしているときは消毒はしないでまずは石鹸で洗ってください。
やけど虫に触れた場合は、こすると液が周りに広がってしまうので危険です。
こすらず水で洗い流しましょう。
子供の場合は「かかないで!!」と言っても我慢出来ずに掻きむしってトビヒになったりもしますので、早めにお近くの皮膚科を受診なさってくださいね。
虫刺されはうまく治せないとシミのような色が残ります。
虫にさされたときに炎症後の色素沈着になるのは早く治療をしないからなのです。
炎症後の色素沈着はにきびの跡や日焼け、擦り傷の跡でも起こります。
皮膚に炎症が起きると組織が傷つきます。傷ついた組織を修復する過程でメラノサイトが活性化するとメラニン色素が作られ色素沈着になります。
通常は皮膚はターンオーバーによってシミは消えていきますが、消えるのに1年以上かかることもあります。
特に大人になると肌のターンオーバーが遅くなり、痕になりやすいです。
虫にさされたときは炎症を早く抑えるためにステロイドを塗ることが大切ですし、紫外線対策もしっかりしてもらいます。
炎症がおきて赤くなっているところに日光を浴びてしまうと、メラノサイトが活発になってさらにシミになりやすくなります。
4 虫刺されの予防
まずは怪しい虫には近づかない・触らないことです。
なにかに刺されたと思ったら、こすらず水で洗ってよく冷やしましょう。
虫は基本的には光を好むので、窓を開けたまま寝たりしないで網戸を活用しましょう。
小さい子供はこのツートンカラーの虫が珍しくて、つい触りたくなってしまうこともあるので「この虫には触っちゃだめだよ」と教えておく必要があります。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。