まず落ち着きましょう。
対処法もお教えしますよ。
お願いします!!
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
1 蜂刺されの症状
蜂に刺されるとすぐに痛みが出て1センチくらい赤く腫れます。
2~3日経つと5センチ以上の腫れになることがあります。
蜂の種類によってはアレルギー反応が強く出て、気分が悪くなったりお腹が痛くなったりします。本当にひどい場合にはショック状態になることがあって命の危険があります。
2 どんな蜂に刺されるか
人を刺す蜂はミツバチ・スズメバチ・アシナガバチの3種類です。
蜂に刺されると蜂毒の刺激作用によって、強い痛みがあり赤く腫れて水ぶくれができることがあります。
特に秋は餌になる昆虫が少なくて気が立っているので スズメバチに刺される人が多いです。
アシナガバチとスズメバチは庭木の手入れ、農作業、ハイキングのときに刺されやすく、蜂の繁殖期の夏から秋に刺される方が多い印象です。
それに対してミツバチはいちご農家さんが刺されることが多いです。
なぜかというと苺の受粉にミツバチを使うので、いちごハウスの中で刺されるのです。
いちごの収穫期の冬から春にかけて多いです。
3 アナフィラキシーショック
蜂の毒に抗体がある人が刺されるとアナフィラキシーショックといって、意識がなくなり呼吸が苦しくなります。
意識が薄れる前にすぐに救急車を呼んでください。
刺された場所が腫れて痛いのは、ショックではなく普通の虫刺されです。
アナフィラキシーショックになる方はほとんどの場合、30分以内にかゆみ・手が震える・冷や汗がでる・蕁麻疹・吐き気・むくみ・血圧が下がります。早い方は5分くらいでその症状が現れます。
「数時間前に蜂に刺されたけど、アナフィラキシーになりますか?」と心配される方がおられますが、歩いて外来にお越しにならている場合は大丈夫です。
またどんな蜂にさされても初めて刺された場合はアナフィラキシーショックは起こりません。
何回刺されるとショックになるのかは残念ながらよく分かっていません。
何度刺されてもショックにならない方もおられます。
1回刺されたから必ず2回目にショックを起こすというものでもないのです。
一般的には、大人は1000回以上刺されても耐えられますが、子供は500回くらい刺されると死に至る危険性があります。
4 蜂アレルギーの検査
アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチについてはアレルギーがあるのか心配な方は血液検査で調べることができます。
アレルギー検査の判定は0~6まであって、0は陰性1は偽陽性で2以上を陽性と判定しています。数字が大きいほど陽性度が高いです。
初めて蜂に刺されて感作されているかを確認するための検査は、刺されてから直後だとまだ抗体が作られていないので分かりません。
ですので約1ケ月後に測定するのがおすすめです。
ただ5とか6だからといって絶対にショックになるとは言えず、体調にもよってショックを起こす確率は変わります。
なのでよく蜂に刺されやすい方は年に一度くらい定期的に採血をして、ご自身の値を確かめたほうがいいです。
アシナガバチとスズメバチの毒の成分が似ているので、アシナガバチにしか刺されていなくても初めてスズメバチにさされてショックになる可能性はあります。
もし蜂に刺されたことがあって血液検査でも陽性になったため不安を感じておられるなら、お近くの皮膚科でご相談なさってくださいね。
ショックを起こしたことがあるのでしたら、刺された時用にエピペンというアドレナリンの自己注射薬を処方してもらってください。
エピペンを処方できる先生は限られていますので、受診前にクリニックに確認してみてくださいね。
5 脱感作療法
あと刺されてもショックが起こらないように脱感作療法という治療法があります。
この治療は先程ご説明した採血の結果が2以上と陽性で、過去に蜂に刺されてアナフィラキシーショックを起こした方が対象になります。
かなり薄くした蜂毒のエキスを少しずつ増やしながら繰り返し注射していきます。
主にアシナガバチとスズメバチのハチ毒エキスが使われます。
最初は本当に薄い濃度から初めて、最終的には蜂1~2匹分の毒素量に達するまで毒素を増やしていきます。
短期集中で入院してこの治療をするクリニックもあります。
この治療をすると再び蜂に刺されても95%アナフィラキシーショックを予防できます。
3割負担の保険治療ではなく自費治療で、この治療をしている病院はかなり限られています。
気になる方はお近くのクリニックを探してみてくださいね。
6 蜂刺されの治療
まずは針を抜きます。
水ぶくれができることがありますが、水ぶくれは医学的には「水疱」と言います。
靴ずれを起こしたときや細菌感染を起こしたときにできますよね。
この水ぶくれは蜂に刺されても起こります。
どうして虫刺されで水ぶくれが出来るかというと虫の持つ毒液による科学的刺激によって皮膚の細胞が傷つけられるので水ぶくれができます。
蜂に刺されても人によって赤みだけ出る人もいれば酷く水ぶくれになる方もいて、症状の出方には差があります。
水ぶくれができてジュクジュクしているときは消毒はしないでまずは石鹸で洗ってください。
7 蜂に刺されないような対策
まずは蜂を刺激したり巣に近づかないようにしましょう。
蜂いそうなところに行く場合は長袖、長ズボンを身につけ、首周りはタオルで覆い皮膚が出ている場所を減らすようにしましょう。
急にアナフィラキシーが起こってしまうと意識がなくなり命の危険がありますので、一人で屋外で作業はしないで周りに誰かいる状況を作ってくださいね。
それでも刺されてしまったら、安全な場所で静かに横になって刺されたところを冷やしてください。
手が震える、冷や汗がでる、蕁麻疹、吐き気、お腹が痛いなどの症状がでたらショックの可能性があるので、すぐに救急車を呼んでくださいね。
動画でも解説していますので、是非ご覧ください。