なるほど…では今回は二の腕にできるぶつぶつ
の正体についてお話しますね。
よろしくお願いします!
みなさん、こんにちは。皮膚科医の玉城有紀です。
夏の暑い時期になると
「ノースリーブが恥ずかしくて着れない」
「ブツブツがあるのがコンプレックスです」
という方がクリニックに来院されることが多いです。
今日は二の腕のぶつぶつでお悩み方に役立つ情報をお届けしますよ。
今日お伝えしたいのはこちらです!!
1 二の腕のぶつぶつの病名
皮膚科学的には「毛孔性苔癬」あるいは「毛孔性角化症」というような病名になります。
苔癬って言葉は聞き慣れないかもしれませんね。
毛穴に一致した非常にちいさな(0.5mm未満くらい)丘疹と言われるブツブツ・ザラザラがたくさんできます。
場合によっては炎症を伴い毛孔に一致した赤みを呈したりもします。
とてもよくみられる疾患で、受診していない人も含めると相当の数がいそうな気がします。
何でこういったブツブツができてしまうのかっていうと理由の一つは遺伝です。
遺伝的には常染色体優性遺伝なので、皆さんのお父さん・お母さんの若い時も二の腕ののぶつぶつに悩んでいたりしたと思います。
このぶつぶつはかゆみはないことが多いのですが、症状が強い方だとざらつきが広範囲に広がることがあります。
炎症を起こしてバリア機能に異常があったりすると赤くニキビのようになったりかゆくなったりします。
2よくできる場所
二の腕にぶつぶつができる方は確かに多いのですが、人によっては太もも・肩・お尻や太ももの外側にもぶつぶつができることもあります。
あとは頬や耳の前あたりにもぶつぶつができるようなケースも中にはあります。
3いつ頃できていつ治るのか
一番その症状が目立つのは思春期です。
治療は必ずしも行う必要はありません。
でも思春期で一番肌を露出する時期にはやはり気になるので、若い方で皮膚科に受診される方は結構いらっしゃいます。
4原因
毛孔性苔癬のブツブツの組織を見ると、毛穴が拡大していてそこに角栓がたまっている状態を認めます。
本来皮膚はターンオーバーして新しい肌になっていくのですが、このターンオーバーに異常があると毛穴周辺の周辺の角質が分厚くなり毛穴も広がってしまいます。
遺伝的な要因によってターンオーバーに異常をきたしてブツブツができてしまうのです。
5治療
本には「良性で思春期を過ぎると自然消退するものなので、様子を見ていてもいい」というふうに書いてあったりしますが、やはり気になりますよね。
実は私もひどい毛孔性苔癬が頬と二の腕にあったのですが、40歳を過ぎてからは特に治療していなくても気にならない程度に落ち着いてきました。
今では腕を出す服は着なくなりましたが「若いときに治ってたら良かったなぁ」とは思います。
年齢が上がっていって30代になってくると段々落ち着いてくるケースがほとんどとはいえ、治療してもつるつるまでにはもっていけないことは覚えておいてください。
治療については、優しめの治療で気長に治療するのか、副作用なども受け入れてお金をかけて自費で積極的に治療するのか、といったスタンスや症状の強さで方針が異なります。
皮膚科ではどういった治療するかというと一つは尿素でですね。
角質を柔らかくして除去しやすくするクリームで保険適応となります。
ドラッグストアでも購入できます。
尿素は市販のハンドクリームなどによく含まれる成なので安全性が高い成分ですし、気軽に始められる治療です。
反面、効果も緩やかなので症状が軽めの方向けです。
しっかり効かせるには高濃度の尿素が必要です。尿素は10%以下などの低濃度ですと保湿成分としての役割はありますが、角質の融解作用のためには20%程度の高濃度が必要です。
なので尿素を選ぶ際は20%配合のものを選びましょう。
あと有効な成分としてはサリチル酸があげられます。
保険適応のある優しめのピーリング剤と思ってください。
トレチノインクリーム外用も効果があります。
ニキビでよく処方されるディフェリンもトレチノインの一種です。
しかし腕のぶつぶつに塗って全く効果がないわけではないとはいえ、もともと顔に使う薬なのでちょっと効果は弱いかなあと思います。
顔の皮膚に比べて腕のほうが皮膚があついので、効果が少ないのもおわかりいただけと思います。
クリニックでピーリングするのも効果があります。
ピーリングは表面の角質を溶かして除去します。
クリニックだと30%サリチル酸マクロゴールを使用することが多いですね。
1回で劇的に改善するということはないので、2週間から1ヶ月に1回のペースで受けていただくと段々目立たなくなっていくっていうようなケースが多いです。
ピーリングは色素沈着とか残すことがほぼないので一年中できます。
気になってる方は試してみてください。
それでも気になる方はダーマペン4という、髪の毛よりさらに細い「超極細針」を使用して、皮膚の表面にとても小さな穴を一時的につくる治療があります。
この治療は元々皮膚の新陳代謝を促進しニキビ痕や肌の凸凹、毛穴の開きを滑らかにするものとして始まったものです。
ただ毛孔性苔癬は遺伝性のものなので、ダーマペンによる治療後は尿素やサリチル酸などの外用治療を続け、半年に1度などダーマペンで維持治療をしたほうがいいでしょうね。
6生活習慣で気を付けること
自宅ではどういうケアをしたらいいかっていうと断然、保湿です。
もうとにかく保湿なんです!!
本気でぶつぶつに悩んでる方はぜひぜひ試してみてください。
洗い方ですが、ゴシゴシこすって角栓が取れるわけではありません。
こすってしまうと肌を傷つけたり乾燥をさせるのでやめてください。
たまった角質を適切に除去することはぶつぶつの改善につながります。ですから肌を傷つけずにつまった角質を取り除くためにピーリング成分の入った洗浄剤を使用することはいいですね。
やってはいけないこととしては、分厚くなった角栓を無理に頑張ってピンセットで抜いたりするようなことは絶対にやめてください!!
なぜかというと無理に抜こうとすると、周りの皮膚に炎症が起こってそこに変な痕が残ってしまったり感染のリスクがあるからです。
なのでピンセットで抜くことは絶対だめですよ。
毛孔性苔癬のように良性のものに対しての治療はどこまで行うかは本当に自分次第!!
どこまで気になるのか、どこまで治療したいのか、どこまで頑張るのかは人それぞれです。
効果のある治療がいくつかあることやそれに伴い副作用もあることをきちんと知ってからそれぞれが選択してもらえるといいと思います。
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